【虎の自叙伝〜その23】 新撰組
中学2年の時、新撰組にはまってその類の本を読み漁った。特に感銘を受けたのは、司馬遼太郎著「燃えよ剣」。当時、読書感想文にも書いたぐらいだから相当なものだ。きっかけは何だったのか、さっぱり覚えていない。特に副長の土方歳三に傾倒していて、その美学に酔いしれていた。彼の最期の地は、北海道・函館にある。どうしても行かねばという強烈な思いが、僕の足をその地に向かわせた。21歳のときである。そこには身の丈ほどの石碑があった。静かに添えてあった花が今も鮮やかに記憶に残る。 当時、僕のまわりの大人は、はらはらしていたに違いない。中2といえば思春期の真っ只中、何かにつけて影響を受けやすい年代だ。それが新撰組なのである。そこに危うさを感じ取ったとしても不思議ではない。当の本人はケロッとしたものだったのだが。 そして時は経ち、中学も卒業の時を迎える。卒業文集に僕の作文が載った。タイトルは「人間・土方歳三を探る」というもの。ここまでくれば、僕の情熱も大したものだろう。でも僕が教師だったら、たぶんこんな作文は掲載しないだろうな。どう見たって、卒業文集には似合わないと思うから。
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