2001年01月28日(日) |
P22:エアーチェック |
【虎の自叙伝〜その22】 エアーチェック
小学生の高学年の頃、ある画期的な商品がお茶の間にデビューした(それ以前にもあったかも知れないが)。世に言う「ラジカセ」である。これにより「録音できる環境」が一般家庭にまで浸透することになった。そんな中、エアーチェックなる言葉が登場する。この言葉、一般的にはラジオやテレビでオンエアされた音楽や番組を個人的に録音・録画する行為を言うのだが、僕らにとってのそれはほとんど音楽に限定される。つまりラジオで流される音楽を録音して自分だけのオリジナルテープを作る作業のことだ。レンタルCDの登場以降、その必要性が急速に減速し、そのオリジナルテープを作ったりするのにも苦労しなくなった。だから30歳以下の世代では、エアーチェックをやったことのある人の方がむしろ少ないくらいだろう。僕らの時代は、このエアーチェックこそが音楽を入手できる最大の手段であった。できるだけノイズが入らないように工夫したり、録音レベルに細心の注意を払ったりして、それはもう宝物のように扱ったものだ。そんな経験が、ラジオ制作の現場では大いに役立ったことは言うまでも無い。毎月FM雑誌を買ってきては番組表をチェックし、ひたすらオリジナルテープの制作に励んだことが懐かしく思い出される。そして現代。CDやMD、インターネットなどのテクノロジーの進化により、私たちの音楽環境は劇的に変化し大変便利になった。ほとんどスイッチ一つで欲しい音楽が入手できのだから。だがその代償は・・・。時代は僕らに何を問い掛けているのだろう。
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