セクサロイドは眠らない
MAIL
My追加
All Rights Reserved
※ここに掲載されている文章は、全てフィクションです。
※長いこと休んでいてすみません。普通に元気にやっています。
※古いメールアドレス掲載してました。直しました。(2011.10.12)
※以下のところから、更新報告・新着情報が確認できます。 →
[エンピツ自由表現(成人向け)新着情報]
※My Selection(過去ログから幾つか選んでみました) → 金魚 トンネル 放火 風船 蝶 薔薇 砂男 流星群 クリスマス 銀のリボン 死んだ犬 バク ドラゴン テレフォンセックス 今、キスをしよう
俺はさ、男の子だから
愛人業
DiaryINDEX|past|will
2001年11月16日(金) |
きみを、その場限りで抱いてしまうには、僕は、きみのことがもう少し好きだから。 |
まだ、残暑が厳しい頃、私と男友達はフェリーで小さな島に行った。人があんまりいなくて、早朝は釣りをする人がいて、高校生くらいの女の子がスクーターの後ろにおばあちゃん乗せて走ってるみたいな、そんな島。民宿では、びっくりするくらいの量の磯の料理が。で、一緒の部屋だけど、布団はニ組敷いてもらって、その布団は、ちゃんと両方使われて。二人共、朝までちゃんと掛け布団を掛けて寝た。
なんで、そんな島に行こうという話になったのか、よく覚えてない。何となく。行こうか。って。
それくらいじゃないと、駄目。すごく行きたいね、なんていうのは、駄目。
で、一番暑い時間を過ぎて、でもまだ陽が高い時間。誰もいない浜辺で、少し泳がない?誰も見てないから裸になっても大丈夫だよ。なんて、海を見ていたら急に思いついて、彼に言ってみた。彼は、やめとこうよ、と言った。日焼け止め持ってないし。と言った。きみ、肌白いでしょう?日焼けしたら大変なことになるよ、って。
やっぱりな、と思った。彼は、いつもそんな風に言う。問題は、日焼けのことじゃないのに、日焼けが問題みたいに言う。
それで、私も、それ以上は言わないで、「そうね。」って言って、浜辺で裸足になって、足を少し波にまかせただけだった。
--
夏も終わって、秋が来て、女友達がしきりに電話してくる。彼がどうやら浮気してるの、とか何とか。どうしよう、って言うから、 「いっそ別れたら?」 って言うと、 「クリスマスに一人は嫌だから、何とか今年中は頑張る。」 と言うのだ。
「あなたはいいわよね。強いもん。」 と、彼女。
強くないよ。本当に強いなら、とっくに一人になってるわ。
--
別に何も問題ない気がする。
私には恋人はいないし、彼にも恋人はいない。
だけど、駄目なんだって。私じゃ、恋人になれないんだって。抱くわけにいかないんだって。もう、会ってもくれないんだって。電話だけなんだって。
「きみを抱かないでいられるほど、僕は聖人君子じゃないからね。」 って言う。
「きみを、その場限りで抱いてしまうには、僕は、きみのことがもう少し好きだから。」 って言う。
アホらしい。
だったらいっそ、電話もしないって言えばいいのに。言葉を変えただけで、ずるいのは一緒。
日焼けのせいにして、海に入らない男。
--
女友達が、夜、泣きながら電話してくる。
「やっぱり、駄目なの。」 って言う。
「他の子を抱いてるかと思ったら、気が変になりそうで。会っても、彼のこと責めてばっかりで。最近、連絡もなくて。」 って泣いている。 黙って放っておけば、大概の男は戻ってくるよ。私は、そう言って慰める、寂しくなったら、彼に電話せずに私に電話しておいでよ、って言う。
どうして、世の中には、女を泣かせるずるい男が沢山いるのか。どうして、世の中には、男のために泣いている愚かな女が沢山いるのか。
恋をしている間は、みんなずるくて愚かだから。
--
私と彼は、線路を挟んで違う路線の電車を待つ。
同じ電車に一緒に乗っていけたらいいのに。って、本当は思うけれど。
そう。彼は、なかなか乗ろうとしない。
私は私で、行きたい場所が分からないので、まだ乗れない。
でも、できることなら、向こうのホームにいる彼より早く電車に乗って、窓から手を振ってやりたい。「お先に失礼」ってね。
|