セクサロイドは眠らない

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2001年08月16日(木) 女の白い肌が、下半身に近付くほど赤く染まって、僕がそっと腰の線にそって手を滑らせると

妹が、旅行に行くから猫を預かってくれ、と言って連れて来た。

猫は嫌いだ。勘弁してくれよ。と思うが、大の猫好きの妹にはとても言えなかった。グレーを帯びた白い毛がフワフワとした、チンチラ、という種類のその猫は、薄いグリーンの瞳で僕を見る。俺達、うまくやっていけそうかい?

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夜中に泊まりに来た恋人とセックスをしていると、恋人が急に悲鳴を上げる。

「ねえ?何あれ。」
猫の目が暗闇で赤く光っている。
「ああ、あれ、猫だよ。預かってる。」
「やだ、気持ち悪い。部屋の外に出してよ。」

恋人は、すっかり機嫌を悪くしてしまった。猫がいる間は、僕の部屋には来ないと言う。きみ、そんなに猫嫌いだったっけ?

やれやれ。

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蒸し暑い夜。エアコンがいつの間にか切れていて、寝苦しくて目が醒めた。

そこに女がいた。裸の女。やあ、猫くん。と僕は思った。自分が寝ぼけているのかもしれないと思ったが、なんとなく、そんなことはどうでも良かった。銀色に光る髪の毛と、薄いグリーンともブルーともつかない瞳。

「歯を磨いてくれよ。魚くさい口は勘弁。」
女はクスクスと笑って、洗面所に行く。音も立てずに。

「猫じゃ、勃たない?」
と女はささやき、
「大丈夫だよ。ほら。」
と、僕は、自分を指差して笑う。

女は、僕の顔を舐める。その舌は、猫のそれのようではなく、柔らかい。女は、僕の体を時間を掛けて舐め続ける。女の白い肌が、下半身に近付くほど赤く染まって、僕がそっと腰の線にそって手を滑らせると、ピクンと体を震わせる。女の喉の奥からやさしく甘い声が漏れる。その下半身を僕の下半身にこすり付けて来て、切ない声が細く長く。僕の体の一部が、女の中にそっと入っただけで、女はもう、息も絶え絶えになって、しなやかな体を反らす。

不思議に童話的な夜。

ねっとりと絡みつき、いつまでも響く、快楽の鳴き声。

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翌朝、相変わらず、猫はけだるく台所の椅子の下に寝転んでいる。

そうして、夜になると、また。

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ある日、猫はついと姿を消していた。僕は、猫との甘い夜に疲れて、一日眠っていた。

夜、女が来た。両の腕に、産まれたばかりの人間の赤ちゃんを一人ずつ抱えている。僕は、ぎょっとして飛び起きる。

「アタシ達の赤ちゃんよ。」
女は笑う。

落ち着けよ。猫じゃないか。と、僕の心がわめいている。

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「お兄ちゃん、いくら電話しても出ないんだから。」
妹が、訪ねて行くが、兄はいない。

「お兄ちゃん?あたしの猫ちゃんは?あ、いたいた!いやあねえ。子供産んじゃったの?」
クローゼットの奥で、子猫の体を舐めている白い猫。

開け放ったドアから、フラフラと、一匹の猫が外に出て行ったが、誰も気付かない。


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