セクサロイドは眠らない

MAIL  My追加 

All Rights Reserved

※ここに掲載されている文章は、全てフィクションです。
※長いこと休んでいてすみません。普通に元気にやっています。
※古いメールアドレス掲載してました。直しました。(2011.10.12)
※以下のところから、更新報告・新着情報が確認できます。 →   [エンピツ自由表現(成人向け)新着情報]
※My Selection(過去ログから幾つか選んでみました) → 金魚 トンネル 放火 風船 蝶 薔薇 砂男 流星群 クリスマス 銀のリボン 死んだ犬 バク ドラゴン テレフォンセックス 今、キスをしよう  俺はさ、男の子だから  愛人業 

DiaryINDEXpastwill


2001年08月09日(木) 僕は、彼女の豊かでまっすぐな髪に唇を付ける。そのはじけるような乳房をそっと手で包む。

僕は、父に、おそるおそる「一人暮らしをしてもいいか」と切り出した。父は、相変わらず、僕の顔も見ずに、「好きにしたらいい」と答えた。幼い頃に母を亡くし、父に仕える年寄りばかりがいるこの屋敷は、とてつもなく陰気で、今まで何度出て行こうとしたことか。

部屋を出ようとする僕の背後で、父の声がした。

「お前の部屋はそのままにしておくから。」

2度と戻りたくない、と、僕は思いながらドアを閉める。

--

「お昼、一緒に行きませんか?」

研究室の後輩である、彼女に、ふいを突かれて、僕は驚いて顔を上げる。いつものように美しい笑顔。つやつやとした唇、ほんのりとピンク色の頬。そう。彼女に恋をしたから、僕は屋敷を出ようと思ったのだ。彼女には、僕の手に入れられない何もかもがあった。まっすぐに相手を見つめられる瞳。相手の言葉の裏を読むことなく、耳を傾けることができる素直な心。

「論文、どうですか?」
「あと少しだよ。何だか最近、調子がいいんだ。」
「最近、楽しそうですもんね。そう言えば、一人暮し始めたんですってね。」
「うん。ちょっとね。勉強に集中したかったから。また時間があったら僕の部屋に来るといい。」
「わあ!是非!」

ふと、父に以前言われた言葉がよみがえる。
「普通の女に恋することなど、無理だ。」
僕は、首を振って、父の言葉を追い払う。

--

「素敵なお部屋ですね。すごいわ。私の部屋の何倍もある。」

彼女は、心の底からの賞賛を口にする。部屋のことなんかどうだっていい。僕を見ておくれ。彼女の腰にそっと手を回すと、ソファに掛けさせる。彼女は、ため息をついて、恥ずかしそうにうつむく。顔を上げて。健康な甘い香りが彼女の体から立ち昇っている。

「僕のことが怖い?」
「いいえ・・・。私、ずっとあなたに恋をしてました。研究室であなたを見た時から。こうやっているのが夢見たい。」

可愛いね。僕は、彼女の豊かでまっすぐな髪に唇を付ける。ワンピースのファスナーを下ろすと、そのはじけるような乳房をそっと手で包む。彼女の呼吸が少し乱れる。彼女の裸身は、彼女の心を象徴するように、豊かで健康だ。茂みの奥に指をすべらせると、そこはもう驚くほど潤っていて、その時僕は彼女が処女ではないことに気付く。

時間を掛けた愛撫の後、ふいに彼女の手が僕の股間に伸びて来た。そうして、軽い失望と共に手を止める。

「ダメ・・・、なんですか?」
「ああ。ごめん。今日はダメみたいだ。」
「今日はやめておきましょう。」
「変なこと頼むけど。僕の体を、そのう、軽くでいいからぶってくれないかな。そうしてくれたら、できそうな気がする。」
彼女は、少し驚いて僕を見て、ああ、と納得した顔付きになった。

「私、そういうの嫌いです。」

僕を軽蔑したように見つめる彼女の目が不愉快で、僕は彼女の首に手を掛ける。彼女の喉が、ぐー、と音を立てると、僕は急に体の中を血が巡り出すのを感じる。

--

「戻って来ることは分かっていた。」
父は相変わらず、僕の顔を見ずに言う。

「あの部屋のものは始末しておいてやったから。」
僕は黙ったまま、父の書斎の入り口に立ち尽くす。

「何をしている?こっちへ来なさい。いつものお仕置きをしてやろう。」
父は、僕のシャツを剥ぎ取ると、血走った目で、その時初めて僕の顔を見る。

「帰って来てくれて嬉しいよ。」

父の笑い声が響く。
僕は、僕の悲鳴に欲情する。


DiaryINDEXpastwill
ドール3号  表紙  memo  MAIL  My追加
エンピツ