セクサロイドは眠らない
MAIL
My追加
All Rights Reserved
※ここに掲載されている文章は、全てフィクションです。
※長いこと休んでいてすみません。普通に元気にやっています。
※古いメールアドレス掲載してました。直しました。(2011.10.12)
※以下のところから、更新報告・新着情報が確認できます。 →
[エンピツ自由表現(成人向け)新着情報]
※My Selection(過去ログから幾つか選んでみました) → 金魚 トンネル 放火 風船 蝶 薔薇 砂男 流星群 クリスマス 銀のリボン 死んだ犬 バク ドラゴン テレフォンセックス 今、キスをしよう
俺はさ、男の子だから
愛人業
DiaryINDEX|past|will
2001年08月05日(日) |
その指は、恋人のそれより遥かに繊細に、私の欲望の輪郭をなぞるので、私の体は重さを失い |
音楽室からピアノの音が響いて来る、土曜の午後。
もう、気分は良くなった?養護教諭の私は、その少女に声を掛ける。
「せんせい?ああ、ずっといてくれたんだ。良かった。」 少女は微笑む。
「放っておくわけにいかないでしょう?それより、歩けるならそろそろ帰ったほうがいいわ。無理みたいならおうちに電話するし。」 「家には、誰もいないんです。それより、もう少しここにいていいですか?」 「いいけど・・・。」
襟元のボタンを外しているせいで、白い胸元が見える。私は目をそらす。美し過ぎる彼女と保健室にいると、どことなく落ち着かない。
「ちょっと用があるから、一人で寝ててね」 私はそう言い渡すと、保健室を出る。恋人との約束には間に合いそうにないので電話をしなくては。最近、彼の機嫌が悪い。私が早く仕事を辞めないから。彼が結婚の話をしようとするのを、私が遮るから。
--
時折、少女は保健室にやってくる。いつも、私一人の時を狙っているように。私は、ドギマギしてしまう。美しい人は苦手だ。
「ねえ。先生。この前は、本当はデートだったんでしょう?私のせいでデートに間に合わなくて、彼を怒らせたんでしょう?」 「何でそんなことまで知ってるの?」 私は少し怒った顔をしてみせる。
「先生のことは何でも分かるんだもん。」
少女は微笑んで、言う。 「先生、可愛いわ。」
まるで、私よりはるかに長く生きた女のような目をして、少女は私の唇に指を触れると、保健室を出て行ってしまった。
--
「今日は、どうしたんだ?」 恋人が不思議そうに訊ねる。
私は、体に火が点いたように、彼を求める。子宮の奥が熱くて、じっとしていられない。彼の物を飲み込んでも、まだ、静まらないものが、グルグルと渦巻いて「もっと、もっと」と悲鳴を上げている。
--
私は、保健室で彼女の来るのを待ち焦がれて、早々に他の生徒を帰らせてしまった。
「先生、待っていてくれたの?」 少女が嬉しそうに、保健室に入ってくる。
「嬉しいわ。」
少女は、ベッドの上で制服を脱ぎ、真っ白い体を横たえて、私に「来て」と懇願する。私は、フラフラとベッドに吸い寄せられる。
「ねえ、先生も服を脱いで。」 「だめよ。」 「どうして?」 「あなたみたいに美しくないもの。」 「先生も、私みたいになりたい?」 「ええ。あなたになりたい。あなたそのものに。」 「じゃあ、私と来る?」 「どこへ?」 「素敵なところ。」
彼女の口づけは、熱く、燃え盛っている。彼女の細い指が、私の敏感なところをまさぐる。その指は、恋人のそれより遥かに繊細に、私の欲望の輪郭をなぞるので、私の体は重さを失い、もはや、自分をどこかにとどめておくことができない。
ねえ。一緒に来て。
彼女の瞳の奥に、欲望を食らおうと待っている、不老不死の蛇が見える。
--
ハイミスの養護教諭が一人いなくなったところで、たいして大きな事件にはならない。
そもそも、世のものとは思えぬ美少女が学校にいたことも、誰も覚えていない。
音楽室からは相変わらずピアノの音が響き、保健室には少女達がたむろする。
|