セクサロイドは眠らない
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2001年08月01日(水) |
私は封じられた言葉の代わりに潤いの蜜を溢れさす。 |
神父様は、私は汚れているから、洗礼を受けるにはまだ早いと言う。 だから、御ミサで同級生達が聖体拝領を受ける時、私は、じっとそれを見ているだけだ。
私は、生まれた時から言葉をしゃべる事ができない。貧しい両親は、そんな私をもてあまして、村の名士の神父様のところに連れて行った。神父様に長い時間ジロジロと見つめられた挙句、私は神父様が運営する寄宿舎に入れてもらうことになった。
夜になると、時折、神父様が、「今夜、私の部屋に来なさい。」と言う。
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初めて神父様の部屋に呼ばれた日、神父様は、私の勉強が遅れているから見てあげよう、と言った。そうして、それは少しずつ始まった。最初は、私の腿に手を置いて、ゆっくりなでることから始まった。ある日、神父様は、私の下着に手をすべらせて来た。私は、驚いてじっと体を硬直させていただけだったし、神父様は、どこか遠くに目をやったまま、私のほうを見ようともしないのだ。そうやって、神父様は随分長いこと下着の中で荒々しく指を動かしたから、自分の部屋に戻った時、私の下着は少し血で汚れていた。私は、トイレで泣いた。
御ミサの時、神父様は、前を向き、大きな声でみなに語りかける。罪深い行いを改めよ、と言い、正しい事とは何かを説くのだった。神父様には、迷いも苦悩もなく、力強さに溢れる存在だと、みなが思っていた。神父様は、何よりも正しい存在の筈だった。
神父様が何より正しい存在なら、神父様の行為はなぜ私を苦しめるのだろう?
神父様に呼ばれた翌朝は、私はいつも青白くむくんだ顔で授業を受け、時に居眠りをしてしまうので、シスターに叱られる。
ある日、神父様の部屋に呼ばれて行くと、神父様はひどく取り乱していた。髪の毛は乱れ、指は震えていた。いつもは指で触ってくるだけなのに、その日、初めて、服を脱ぎなさい、と言った。ひどく怒ったように、お前は汚れているから清めてやる、と言った。
私が言われた通りにすると、神父様は私に覆い被さって来た。その後は、痛みと苦しみがあるだけだったが、私は、ただ、黙って人形のように神父様にされるままになっていた。
長い時間が過ぎ、神父様は、ぐったりとベッドに横たわっていた。神父様は泣いていた。嗚咽しながら、神に祈っていた。
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今、私は、大人になって、たくさんの事が分かるようになった。あの日、神父様が泣いていた理由も。
物言えぬ事をやさしさと勘違いしてたくさんの男達が私の元を訪れる。
私は、男達の行為が、あの日の下着についた血の記憶を呼び起こして、吐き気がするほどイヤなのに、同時に私は男達の悲しみに憑り付かれていて逆らえない。
男達は嗚咽するように私を求めて抱き、私は封じられた言葉の代わりに潤いの蜜を溢れさす。
私の言葉を封じた神を呪いながら、言葉の代わりにより多く与えられた官能の泉の中に溺れる。
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