セクサロイドは眠らない
MAIL
My追加
All Rights Reserved
※ここに掲載されている文章は、全てフィクションです。
※長いこと休んでいてすみません。普通に元気にやっています。
※古いメールアドレス掲載してました。直しました。(2011.10.12)
※以下のところから、更新報告・新着情報が確認できます。 →
[エンピツ自由表現(成人向け)新着情報]
※My Selection(過去ログから幾つか選んでみました) → 金魚 トンネル 放火 風船 蝶 薔薇 砂男 流星群 クリスマス 銀のリボン 死んだ犬 バク ドラゴン テレフォンセックス 今、キスをしよう
俺はさ、男の子だから
愛人業
DiaryINDEX|past|will
2001年07月28日(土) |
痛くないようにそっと指で繰り返しなぞるので、私は喉の奥で喘ぐ。ママに聞こえちゃうわ。 |
私はリー。双子の姉はルー。鏡を見ているようにそっくりで美しい双子。
私達は、お互いに愛し合っている。ルーの漆黒の髪に口をつけて、苺の唇をなぞれば、ルーが私の指を吸う。 「ねえ。いつまでもこうして私を愛して。男の人なんか愛さないで。」 「分かってるわよ。馬鹿ね。リー。」 「アタシ、男なんか大嫌い。」 「私だって、男なんかよりリーが一番可愛いわ。」 「本当に?」 「本当よ。」
ルーはやさしく唇を重ねて舌を絡めてくる。敏感な部分を痛くないようにそっと指で繰り返しなぞるので、私は喉の奥で喘ぐ。ママに聞こえちゃうわ。
双子だから。お互いの体を一番よく知っているから。どこをどんな風になぞれば快楽の世界に行けるか知っている。
--
でも、夜が明けると、私とルーの時間は終わり。ルーは私のことなんか忘れたように振舞う。ルーは快活で、おしゃべりが上手で、男の子にも女の子にも好かれる。私は、内気で、口下手で。きっと、ルーはこんな私が恥ずかしいのだ。
幼い頃、私とルーは、別々に育てられていた。悪夢は、歳の離れた兄が、受験期にノイローゼになった時から始まった。兄は、夜な夜な、私の部屋を訪れる。私が内気で他人に助けを求めることもできないのを知っていて、兄は、幼い私の体を毎夜長い時間好き勝手にいじくりまわした。
そんな時、ルーが来てくれた。勝気なルーは、兄が部屋に来た時、毅然とした態度で、そばにあるペーパーナイフで兄の脇腹を刺した。全ては明るみに出て、兄は病院へ入れられた。
--
高校生になってルーは、次々と男の子と付き合い出した。私は、過去の忌まわしい記憶から、男の子が側に来ると、吐き気さえ催すと言うのに。ルーは、淫乱だ。だらしのない女だ。
ルーが、私達の部屋に男の子を連れてセックスなんかするから。
私は、ルーと部屋で口論となる。
「ルーには私の苦しみなんか分かりっこないわよ。」 「何言ってるの?あの時助けてあげたのは私じゃない?」 「ルーには分からないわ。何もされてないもの。」 「正直に言えば、私も、あの時、あの男からひどいことされたのよ。」 「だったら、どうして?」 「分からないわ。気が付いた時には、あの男からされたみたいに、いろいろされたくてしょうがなくなるんだもん」
私は、怒りのあまり、咄嗟に台所から持って来た包丁でルーを刺した。
同時に私も、ルーの手で殺された。
--
鏡には、私と同じ愛らしい顔。
鏡の中の自分を刺し殺せば、自殺というのかしら。
遠のく意識。私の心が作り出したルーという人格は、この瞬間、どこかに消えてしまった。私が壊れてしまわないように一生懸命守って、愛してくれた、もう一人の私。サヨナラ。
|