セクサロイドは眠らない

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2001年07月27日(金) 彼が身悶えすると、手首を縛ったロープがこすれて血がほとばしる

男が部屋に来た。

よく見れば手首や足首に皮紐を編んだようなものをいくつもくくりつけている。

「それ、なあに?その、紐。」
「こうしてないと、体が崩れて砂になってしまうんだ。」
男は困ったように言う。

「いや。それは僕の強迫観念なんだけどね。それでうまくセックスができないんだよ。セックスしてても体の事を意識してないと、体がバラバラになっちゃいそうで、セックスに没頭できないんだよね。」

ふうん。で、どうしたいの?

「取り敢えず、この呪縛から逃れて、セックスしたい。」

困った人ね。私はカウンセラーじゃないわ。それでも、彼の切なる欲望に舌なめずりして、私は、彼をベッドルームに連れて行く。

--

もっとキツク縛りましょう。あなたの体に食い込むように。もっともっと痛いくらいに。あなたがバラバラになりそうなのは、縛りが弱いから。

「どう?落ち着くでしょう?」
「ああ。」
「身動きできないようにしてあげるね。」

ベッドの支柱に、彼の手首をくくり付けて、私は彼の体を縛っているロープのまわりをゆっくり舐める。

「あなたは呪縛から逃れてはダメなのよ。」

彼が身悶えすると、手首を縛ったロープがこすれて血がほとばしる。
あなたの「生」の証の血が、ほら。

--

幼い頃から母親に事あるごとにきつく縛られて、部屋の片隅に放置されていた少年。縛られて、細い体に残った痛みこそが、彼がその家にいていい理由となった。

大人になって、彼はロープをほどこうとしても、もうほどくことはできない。

もっと、もっと、きつく縛ってあげましょう。その呪縛こそが、あなたを「生」に繋ぎとめる唯一の方法だから。


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