セクサロイドは眠らない

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2001年07月23日(月) 乱暴に脚を開かせ、押し入ってくる。私の肩に乳房に歯を食い込ませてくる。

最初から全部分かっていたことだったのだ。

大会社の秘書室に勤める私に彼が何の目的で近づいて来たか。優しい笑顔と、巧みな話術、隙のないエスコート。美しくもない私に彼が声を掛けて来た時から分かっていたのだ。

いずれにしても、それまで特定の恋人を作ったことなどない孤独な私を夢中にさせるのは簡単な事だと思ったのだろう。彼は、そうやって女性の心を掴むプロなのだから。

残念ながら、私は彼のやり口を全て知っていた。彼のひた隠すかわいらしい恋人の存在すら。むしろ、その時点で、彼のほうこそが滑稽であったが、私は、私を愛さない彼こそを愛した。

「今日は泊まって行けないんだ。」
彼は私の髪に背中に口づけながら、背後から裸の私を抱きしめて申し訳なさそうに言う。

知ってるわ。あなたの恋人の誕生日でしょう?と思っても口に出さずに、深い快楽の溜息を吐く。
「いいのよ。お仕事が忙しいんでしょう?」
と、私は悲しく微笑みながらつぶやく。

--

ある日、憔悴した彼がやって来る。私に全てを打ち明け許しを請う。恋人とも別れたと打ち明ける。

怖れていた日が来てしまった。

「どうして、今更・・・・?今までだって、私充分に満足でしたのに。」
「そうやって、僕に何も言わずに従ってくれるキミの事を愛してしまったのだよ。」

愛した?

「お願いだ。僕と結婚して、僕とずっと一緒にいてくれ。」

彼は、今までのように抑制の効いた愛し方をかなぐり捨てて、激しく私を抱いてくる。乱暴に脚を開かせ、押し入ってくる。私の肩に乳房に歯を食い込ませてくる。

なんということだろう。愛など欲しくはなかったのに。疲れて眠り込んだ彼の頬に口づけて、私は裸足のまま、彼の部屋から走り出す。あの日のように。

--

私の父は母を愛するあまり、母を監禁して、ついには殺してしまったのだ。あの日、私は見てしまった。すでに息絶えた母の骸をかき抱き快楽の声を漏らす父を。

あの日も、私は裸足で逃げた。

なんということ?

どうしてこんなことに?

愛は人を殺す。


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