セクサロイドは眠らない

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2001年07月13日(金) 濡れて開かれた唇を吸うと、女がすすり泣くようにうめく

「もう35なんだから、そろそろ身を固めたら」
などと言われても、男は、結婚する気にならない。それは、誰にも言えないことだが、夢に出てくる女に恋をしているからだ。さんざん女と遊んで来てそれはないだろう、と自分でも思うのだが、毎夜出てくる女に日増しに恋焦がれるようになっていくのだからしょうがない。

白く透き通った肌、片手で掴めそうな細い腰、いつも泣いているように濡れて睫毛がかぶさっている黒目がちの目。

しこたま飲んで、フラフラと路地の奥の占い師に手の平を差し出してみた。

「リプレイヤーだね」
と老人は言った。
「あんたと私は、もう3回会っている。」
「おい、じいさん、どういうことだよ。俺とお前が会ったのは初めてだろう?」
「15年毎に、あんたと会ってる。だけど、私もこの歳だから、お前と会うのは今回が最後だろう。時空をさまよう人。」

男は、意味が分からずにその場を離れた。

路地の更に奥に、ひっそりと営業している店。女が一人。夢に出てくる女だ。

男は息を飲む。女も、また・・・。

黙って、女の部屋に通される。やっと会えたその女を抱きしめると、華奢な女の体は、すっぽりと包めてしまう。濡れて開かれた唇を吸うと、女がすすり泣くようにうめく。

尽きない欲望に突き動かされて、何度も果てた。
「会えて良かった。」
と、目を閉じてつぶやくと、
「私もよ。」
と女は笑うように言い、そして、頭に激しい衝撃が走る。頭から流れる血を感じながら、遠のく意識の中、ああそうだった、と思う。この女は復讐のために俺を待っていたのだと。15年前、海岸沿いの道を車を走らせていて、車線を越えたため、対抗車線を走っていた家族の車はそれを避けようとしてガードレールを乗り越えてしまった。その時、唯一生き残った女の子がいたのだ。

それでも、彼女に殺されて男は幸福だった。その瞬間、男は、また彼女に殺されるためにこの時に戻ってくることを知っていた。

そうして、息絶えた。

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20歳になったばかりの青年は、ベッドから起き上がると、海岸でもドライブしようと思い立った。

天気が良く、雲一つない晴天だった。


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