セクサロイドは眠らない

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2001年07月09日(月) 初夜の晩、誘惑に耐えかねて

長い道を、兄と妹が歩いていた。

もう食べる物もなくなり、妹が泣き出したので、困った兄は、自分の指を切り落として、妹にやった。妹は、最初、そんなものを食べるのは嫌がっていたが、空腹のあまり食べてしまった。

また、歩き続けているうちに、お腹が空いて一歩も動けなくなった。

兄は、今度は、片腕を切り落として、妹に食べさせた。

そうやって、兄は、少しずつ自分の体を切り落として、妹に食べさせた。ついに、足も、胴体も、食べさせてしまい、頭だけが残った。妹は、泣きながら、兄の頭も食べてしまった。兄の魂は、それからずっと妹に寄り添って、旅を続けた。

そうやって、妹は生き延び、美しく成長した。妹を妻に、と所望する男は絶えなかった。妹は、一人のたくましい男と結婚した。妹は男を愛していたが、初夜の晩、誘惑に耐えかねて、男を喰ってしまった。

兄は、妹が人喰いになってしまったことを知った。

妹は、そうやって旅を続け、寄って来る男を喰らい続け、骨をしゃぶり続けた。

兄は、妹に喰われる男達は幸福だと思った。なぜなら、自らが喰われる時、これほどにない恍惚に包まれたからだ。

それでも、妹は、人を喰らう時、兄の魂を想って涙を流し続ける。涙を流しながらも、人を喰らわずにおれない我が身を呪い続ける。


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