セクサロイドは眠らない

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2001年07月07日(土) ふと、目を開けて、男は私の膝に顔をうずめてくる

男は、最近、あまり家に帰らなくなった。

「女房がうるさくてね。家にいても休まらない。」

部屋に入ってネクタイを緩めると、私の手首を掴んで引き寄せる。外の熱気がそのままこもったワイシャツ越しの汗の味。

「女房にも、キミみたいに理解があればいいんだがな。」

熱くした蒸しタオルを顔に載せてあげると、気持ちよさそうに息を吐き出し、ウトウトし始める。私の手首を掴んだまま、軽いいびきを立てる。

「眠ってたな。」

ふと、目を開けて、男は私の膝に顔をうずめてくる。

「この部屋にいると夢の中にいるみたいだ。」

夢を見ていたい?
「ああ。そうだな。現実はイヤなことばかりだ。キミとずっとこうしていられたら。」

--

男が仕事に出て行くのと入れ替わりに、男の妻という女が訪ねてくる。疲れた顔。生きながら死んでいる顔。

「彼を返して。」

1時間も2時間も叫んでいた女は、ふと気付く。目の前の女が空っぽの人形であることを。投げつけた言葉は、ただ、私の空洞に吸いこまれて行くだけだということを。

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男が、突然やって来て怒る。

「女房に何をしたんだ?」

どういうことかしら。

「お前に会いに来ただろう。あれからおかしいんだよ。」

何もしていないわ。子守り唄を歌っただけ。あなたと同じよ。夢を見せただけ。あなたも夢を見て行きなさい。

みな、狂気の街で殺されて、この部屋で夢を見る。


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