セクサロイドは眠らない

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2001年07月05日(木) 今夜、イツワリの生を捧げる

その少年の側を通った時、他の人々とは違う旋律を聞いて立ち止まった。高校生くらいの少年なのだが、その旋律には、この年齢特有の混乱と激しさがなく、穏やかで澄みわたっていた。

「なあに?おねーさん」

少年は、しゃがんだままの格好で、長めの前髪をかき上げて、私を見上げて来た。

キミ、時間ある?おねえさんに付き合ってくれる?

「いいよ。ヤラせてくれるの?」

ふふふ。

「嘘だよ。僕、セックスに興味がないんだ」
ニヤニヤしながら、彼は告白する。

分かってるよ。さ、行こう。

それから、街を歩き、彼の横顔を眺めた。

「おねーさん、生きてないみたいだね。」

分かる?じゃあ、私は、今、ここで、この瞬間、キミのために生きる。

私の部屋へおいで。

「行っていいの?」

うん。今晩ずっと。そして、殺して。

私は、今夜、生きて、そして、少年に殺されるだろう。少年の体から立ち昇る血の匂い。殺戮者の匂い。人を殺すことでしか癒されない少年。今夜、キミの「生」のために、私のイツワリの「生」を捧げる。


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