セクサロイドは眠らない

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2001年07月04日(水) ロボット同士じゃセックスもできやしない

男が来た。

「きみの夫だよ」
と言う。

写真を見せてくれた。目の前の男と、中学生くらいの女の子と、私のような女が写っていた。かつて、私は、その男と暮らしていたと言う。仕事に夢中になってしまって、家を出たのだと言う。

私は結婚していたのだろうか?

自分が結婚していても、結婚していなくても、大した違いはない。

どうせ、この街は記憶が交錯した街で、私は、朝を迎えると、夜をどこで過ごしたのかすら忘れてしまう。

「たまには帰っておいで。キミの部屋は、キミが家を出た、その時のままにしてあるから。」
と、男は、微笑む。

彼の家は広く、かつて私のものだったという部屋は、温かく乾いていた。私は、その布団にもぐると、自分が、かつてこの家にいたことが思い出されるのであった。

私は、すっかりその家が気に入り、そこで暮らすようになった。

「娘」はちょっとした反抗期というところだったが、「夫」が間に入って、「娘」と私の仲を取り持ってくれた。私は仕事を続け、夜は、乾いた布団で眠るのだった。

「夫」は、「無理するなよ。キミはキミの好きなようにすればいいんだから。」と私を優しく抱きしめ、そのまま、私と「夫」は双子のように布団に包まって眠りに落ちる。

ある朝、私は、「夫」を殺す。

「夫」は、歯車を撒き散らし、人工血液の飛沫を飛ばして、動かなくなる。
「キミノスキナヨウニスレバイイ。ジユウニスレバイイ。スレバイイ。スレバイイ・・・」

「娘」も殺す。
「アタシガコウナッタノハパパノセイ。ママノセイ。ママノセイヨ・・・」

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ロボット同士じゃセックスもできやしない。
私は、家に火をつけると、不自由な欲望の始末に困ってうろついている男を捜しに夜の街に出る。


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