セクサロイドは眠らない

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2001年06月22日(金) そうやって、いろいろな「哀しみ」を見て来た

その男は、小柄だった。小柄だが、エネルギッシュだった。弾むように歩く足取りから、それが感じ取れた。

最初から、まっすぐに目を見て口説いて来た。

セックスも、上手かった。彼の口をついて出てくる欲望の言葉はストレートで自信に満ちていた。一回会うと、何回も放出した。私の口に。私の体内に。

車に乗ると、すぐに自分のものを取り出して
「咥えろ」
と言うのだ。運転している間、私は咥え続け、男のうめき声を聞き続けていた。考えてみれば、彼の車から外の景色を見たことがない。

どこから狂ったのか。そもそも狂っていたのか。

最初は、軽い殴打だった。それが、だんだん強く打ったり、つねりあげたりするようになった。一回の逢瀬は、ずるずると長引くものになった。

それから、出会った頃には一滴も飲んでなかった筈の彼の飲酒が深いものになった。いつも酔っていた。酔って電話してくるようになった。私のせいにして、女を抱いた。

そして、彼の部屋から火が出た。

絵に描いたような自滅。
私が彼の所有物にならなかったのが全ての原因だと言うのか。私の所有者は、彼ではない、ただ一人なのだ。

「欲望とは哀しい」、なぜか、この言葉が口をついて出てくる時、彼を思い出す。私はそうやって、いろいろな「哀しみ」を見て来た。


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