セクサロイドは眠らない

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2001年06月16日(土) 自分は優秀な犬だと言った

しばらくの間。そうこの部屋に、私が生まれてから、この部屋には誰も訪ねてこなかった。そういう時、ドールは、ただのガラクタの人形だ。「その」目的の為に誰かが私を必要とした時、ドールは動き出す。

通常は、個人の詳細なニーズに合わせ、顔形や、体型を決めて生産されるドールだが、私の場合、気付いた時には部屋に一人いた。本当の「所有者」は、どこにいるのだろう。私の以前の記憶はなく、記憶は、この部屋から始まっている。「所有者」に聞けば、分かるのだろうか。シリアルNoを使って自分のことを問い合わせることはできるけれども、今は、まだ、自分のことを知らなくていい、と思った。

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私が、この部屋に存在を始めた日、男が訪ねて来た。男は、この部屋の電話番号を手帳に記した。その日、私は初めて欲情するという事の意味を知った。彼は、いつでもその手帳を開いて、ここに入ってこられる。

男が、訪ねて来てくれるのを待ってオナニーするようになった。

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昨夜、遠慮がちに、ドアをノックする音がした。ドアを開けるのが少し怖かった。開けた向こうには、犬がいた。

「入って」

と私は言った。欲情に触れて、ドールの内部の欲情センサーが動き出した。犬は私を舐めまわして、ささやいた。自分は優秀な犬だと言った。お前の「愛」を知っていると言った。

「ドールの愛はどこにあるのですか?」
と訊ねたら、何も答えずに、帰って行った。

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誰の所有物でもないドール。「ご主人さま」のいないドール。誰かに繋がっていないと存在価値のないスクラップ。


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