セクサロイドは眠らない

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2001年06月14日(木) 快楽の記憶

夜、「誰か」のそばで一番中雨の音を聞きながら。

昨夜の行為の名残を、体に感じて。「誰か」が乳首を執拗に吸い続けるので「いたいよ」と思わず声をあげるが「ああ、ごめん」と誤る唇に、自分で乳首を押し付ける。痛くして。もっと、痛くして。あなたが帰ってしまった後、痛みの記憶だけがあなたを思い出す手がかり。快楽の記憶は、儚くて、「誰か」の挿入の記憶が別の「誰か」の挿入の記憶に入れ代わってしまうから。指で、もっと強くかき回してとねだる。

「誰か」が部屋に来た時には降ってなかった雨が、行為が終わった頃には降り出している。

「今日、泊まって行こうか?」
と、顔色をうかがうように、そっと訊ねてくるので、笑って
「どちらでも」
と答える。

「お前って男みたいだよなあ。セックスが終わったら、俺のことなんかどうだって良さそうにしさあ。」
とあきれたように、つぶやくので、
「そんなことないよ」
と、「誰か」の上にまたがる。

「誰か」の広い胸に頬を摺り寄せて、乳首を舐める。「誰か」がうめく。指で引っ掻く。「痛いよ。爪立てないで」と言うので、笑って、「あなたも痛くしてあげる」と言う。あなたには、痛みの記憶は必要ないの?

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「どうしてこんなに濡れているんだ」
と言われて、自分でもどうしてだろうと思って、お腹を空かせてヨダレを垂らしているんだよ、飢えてるから、と言おうとする声は喘ぎ声になって、最後まで言葉にできない。のどに声がからまって、鼻から抜けて行くと、動物の鳴き声みたいでおかしくなる。


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