森絵都さんの短編集。 「子どもは眠る」「彼女のアリア」「アーモンド入りチョコレートのワルツ」の3編が、それぞれシューマンの「子どもの情景」、バッハの「ゴルドベルグ変奏曲」、エリック・サティの「童話音楽の献立表」にのせて送られる。 主人公は、みな中学生。
誰もが経験した、「あの頃」を淡々と綴っている。 ただ懐かしいだけでは切り取ることのできない、不可解さを含んだ、「あの頃」。 シチュエーションは違えど、きっとオトナはみんな、あの切なさを知っている。 知っているのに、あまりにも遠いその記憶をたぐり寄せられない、もどかしさ。 この本を読んで、自分はいったい中学生のときどうだったのか?と目を閉じてじっくりと思い出したくなった。 私もきっと、知っているはずだ! あの年代の記憶はどこに? もどかしい。
個人的に好きなのは、「子どもは眠る」。 子どもたちの力関係は、こんな些細な、しかも訳のわからないことの連続で、しかもそれはある日さっくりと裏返る。
どれもピアノ曲だ。ピアノをやっていたというのに、知っているのは「子どもの情景」のトロイメライだけだなんて、ちょっと情けないかも;^^ |
2006年01月02日(月) |
|