久々にハードカバーの本を買った。 たまには…ミステリを離れるのもええやろ;^^ というわけで、参加している某メルマガの編集後記への寄稿を引用。
「小川洋子さんの話題の新刊『博士の愛した数式』を読んだ。 すべての数字がこれほどに意味を持ち、鎖で繋がっているとは驚きだ。 28という数字は、自らの持つ約数の和である。 つまり、28の約数は、1、2、4、7、14。 そしてその5つの和はやっぱり28になる。 さらに1から7までの和を順番に足しても28。 これを完全数と言う……数学は苦手だったけれど、 本当は数字とは美しいものなのだ、と思わせてくれた。 あー、もう少し勉強しとけばよかった。」
主人公が、本当に自然に呼吸するように博士との生活を 淡々とこなしていく、そのなんというか物語を覆う透明感が なんとも言えず心洗われる。 もちろんそれは数字や数式がひと役かってはいるのだが。 そして息子「ルート」と博士のやりとり。 博士がルートに注ぐなんのてらいもないストレートな愛情と それをきちんと受け止めることができるルート。 子どもって……オトナが思っているよりも、ずっとずっと 心はオトナなんだと思う。 そして、その「心がオトナ」な部分は、身体がオトナに なると失われてしまうことが多いのだ。
終わり方も実に普通に、淡々としていた。 でも、ルートが数学教師になる、そのことが妙に嬉しかった。 「数学が苦手」な自分が、実に口惜しい一冊だった。
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2004年03月06日(土) |
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