★小川洋子。『博士の愛した数式』

久々にハードカバーの本を買った。
たまには…ミステリを離れるのもええやろ;^^
というわけで、参加している某メルマガの編集後記への寄稿を引用。

「小川洋子さんの話題の新刊『博士の愛した数式』を読んだ。
すべての数字がこれほどに意味を持ち、鎖で繋がっているとは驚きだ。
28という数字は、自らの持つ約数の和である。
つまり、28の約数は、1、2、4、7、14。
そしてその5つの和はやっぱり28になる。
さらに1から7までの和を順番に足しても28。
これを完全数と言う……数学は苦手だったけれど、
本当は数字とは美しいものなのだ、と思わせてくれた。
あー、もう少し勉強しとけばよかった。」

主人公が、本当に自然に呼吸するように博士との生活を
淡々とこなしていく、そのなんというか物語を覆う透明感が
なんとも言えず心洗われる。
もちろんそれは数字や数式がひと役かってはいるのだが。
そして息子「ルート」と博士のやりとり。
博士がルートに注ぐなんのてらいもないストレートな愛情と
それをきちんと受け止めることができるルート。
子どもって……オトナが思っているよりも、ずっとずっと
心はオトナなんだと思う。
そして、その「心がオトナ」な部分は、身体がオトナに
なると失われてしまうことが多いのだ。

終わり方も実に普通に、淡々としていた。
でも、ルートが数学教師になる、そのことが妙に嬉しかった。
「数学が苦手」な自分が、実に口惜しい一冊だった。
2004年03月06日(土)
By ちゃいむ

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