短編集は、最近その良さが解ってきた。 昔は、「長編でない!」というだけで、自分の守備範囲から意図的に はずしていたようなところがあったのだ。 しかし、その短さの中に凝縮した質のいい物がたくさんあって、そういう 「主人公が一冊ひとりと決まっていない」本が読めるようになったのは、 ちょっとは自分が成長したのかな、などと思う。 といっても、この「嘘をもうひとつだけ」は、一応全編通して加賀恭一郎 が出てくる。 しかし、加賀はいつもあくまでもサイドからの姿勢を崩さない。 主人公は彼ではなく、それぞれの短編に登場する悩める人々が手放せない 謎から解放してやるだけの役割だ。 だからこそ、加賀はたぐいまれな推理力を持っているにも関わらず、あまり 読み手の中に入り込んでこないのでは・・・・などと思ってしまう。
ふふふふ、これは「ほんだな」入り決定!
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2001年06月20日(水) |
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