★東野圭吾。 『嘘をもうひとつだけ』

短編集は、最近その良さが解ってきた。
昔は、「長編でない!」というだけで、自分の守備範囲から意図的に
はずしていたようなところがあったのだ。
しかし、その短さの中に凝縮した質のいい物がたくさんあって、そういう
「主人公が一冊ひとりと決まっていない」本が読めるようになったのは、
ちょっとは自分が成長したのかな、などと思う。
といっても、この「嘘をもうひとつだけ」は、一応全編通して加賀恭一郎
が出てくる。
しかし、加賀はいつもあくまでもサイドからの姿勢を崩さない。
主人公は彼ではなく、それぞれの短編に登場する悩める人々が手放せない
謎から解放してやるだけの役割だ。
だからこそ、加賀はたぐいまれな推理力を持っているにも関わらず、あまり
読み手の中に入り込んでこないのでは・・・・などと思ってしまう。

ふふふふ、これは「ほんだな」入り決定!

2001年06月20日(水)
By ちゃいむ

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