「静かな大地」を遠く離れて
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2002年05月15日(水) |
未完のスティルライフ |
5月15日は古波蔵恵里の誕生日だったりする。オメデトウねぇ、えりぃ♪ 「沖縄復帰」をめぐる現代史は、現在とも、あの戦争とも地続きで、とても 「オメデトウねぇ」なんて単純に言えるようなものではないけれど、誕生日 は無条件に祝福することが出来る。きっと毎年こんなことを考えるのだろう。
金曜日は茨城で雨の中を這いずり回っていた。月曜日は金沢から能登に居た。 それなりに先のことだと思っていた期日がどんどん過ぎていって、人生すら こうして終わっていくのか、と思ったりもする。飛行機や列車の移動中に、 梨木香歩『からくりからくさ』(新潮文庫)をゆるゆると読みすすめている。
どうして引き合いに出すのかわからないが、この小説には『スティルライフ』 に無いものが、ちゃんと在る、そんなことを思った。それはどちらの作品にも ネガティブでもポジティブでもない、ひとつの読みとして。時代とか世代とか 性差とか、そういうものに還元しても仕様がないところで重なりつつ異なる。
『スティルライフ』にシンクロしてしまった若い日を持つ者が、現在の時代と 自分の人生の時間をどう生きているのか、という問題でもある。『すば新』が 必ずしもその未来形というわけでもあるまい。どんなスティルライフを生きる ことが出来るのか、それはあるいはチコロトイの暮らしのようなものなのか。
日曜日に聴いた、レスター・ブラウン氏の講演会を思い出す。トマト農園から 地球環境へと視野を拡大した、彼の人生の冒険のワクワク感を共有できたこと が何より楽しかった。「情報」は、単独では生命を永らえない。講演会を主催 した枝廣淳子さんの“ワクワク感”が人々に共振現象を起こしているのだろう。
彼女のメールニュースを集めた新著『地球のセーターってなあに?』(海象社) の帯には坂本エレファンティズム龍一氏の推薦が載っている。『非戦』の盟友 からのエール、というわけだ。枝廣淳子さんは、自己啓発、生活術、英語学習、 ネット、そして環境…と今の出版メディアが欲しがるネタの引き出しをすべて 兼ね備えたような方。これはもう、早期の新書執筆を心待ちにしていよう(笑)
どんな小さな試みでも、共振の雛形となるような魅力的なヴィジョンが在れば 人の想いは案外とカタチになっていくものだ。変化は思いがけず急速に訪れる。
題:322話 チセを焼く22 画:十字ハンドル 話:今日の午後は客の相手でつぶれるのか
題:323話 チセを焼く23 画:おろし金 話:たくさんとしか言いようがない
題:324話 チセを焼く24 画:練り歯磨き 話:真歌の丘を見上げて、よい季節だなと思った
題:325話 チセを焼く25 画:ヘチマ 話:いずれにしてもこれは気の重いことだ
題:326話 チセを焼く26 画:靴ひも 話:今もって北海道では薩摩の力が大きい
題:327話 チセを焼く27 画:木の玩具 話:資本という言葉をご存じか
題:328話 チセを焼く28 画:写真 話:一万町歩の牧場をやってみるつもりはないか
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