「静かな大地」を遠く離れて
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題:284話 砂金堀り14 画:ノビル 話:あきれたことだが、わしは熊に焦がれるようになった
砂金掘りのおじさん、山の神の偉容に打たれて人生を誤るという意外な展開。 いや、まだ誤ってないけど、鰊獲りや砂金掘りで暮らしを立てて、気ままに 生きていたいという、取り立てて主義もない、“ろくでなし”だと思ってた。 勝手にこの章の位置づけは世俗的な余所者キャラが見る遠別ユートピアだと 思っているのだが、山でずいぶん途方もないものに出会ってしまったようだ。 否が応でも『クマよ』の作者を想起せずにはいられないが、展開や如何に…。
北海道つながりで、昭和新山の誕生を描いた手塚治虫の短編劇画『火の山』 があるが、その登場人物の構図が、上の思い込みの根拠のひとつ。犯罪者が 善き人物に出会い最終的には信望者となってゆく、そうすると人物造形上の “説得力”が強化されるというプロット。古来沢山あるパターンなんだろう けど、たまたま御大が文庫版解説を書いている『火の山』で説明したまで。 まだこの砂金おじさんが、いつの時代の人かもよくわからないんだけど(^^;
『週刊読書人』紙(4月5日号)に、御大のインタビューが掲載されている。 お題は「9・11以後の世界を語る」だそうで、次号にも続きが載るみたい。 『新世紀へようこそ』を読んでいる人には目新しい話ではない。それよりも 早く『Switch』誌の新井敏記さんによるインタビュー集を読みたいのだが。 『未来圏からの風』から『静かな大地』に向かう流れを辿り直しておきたい。
いま欲しいものは、ロングスパンの思考、それを可能のする環境作りの方策。
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