「静かな大地」を遠く離れて
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2002年03月29日(金) |
声に出して読みたい星野道夫 |
題:282話 砂金堀り12 画:ラディッシュ 話:わしはもともと親孝行なたちではなかった
題:283話 砂金堀り13 画:ヒメニンジン 話:五里四方におのれ一人しかいないという山の中で、のんびりと皮算用する
やっと思いついた。“声に出して読みたい×××”というフレーズで、何か自分的に 可笑しいネタをずっと考えていたのだ。いつも頭の中がそんなことでいっぱいなのか と問われると答えに窮するのだが、何かを言い当てるフレーズは力になるし楽しい。 過去の“作品”で言えば「上條恒彦オトコ」とか「ガイアおばさん」などは、ある種 “カウンター・ミーム”とも言うべき、威力を発揮しうる傑作だと思う、自分では。 とか言いつつ、あえてこの場では語義を解説することはしない。そういう性格(笑)
それで、“声に出して読みたい”の下にいろんなものをハメてみていたのだけれど、 (ノリは、みうらじゅん氏ね(^^;) どうも面白いのが思いつかなかったけど、これは 「できた!」って感じ。「声に出して読みたい星野道夫」。表題とかで検索して来た 方がいたら、あらかじめ謝りたい、…と珍しく読者を意識したもの言いしてみたり。 僕の書いた、ちゃんとした(?)ミチオ関係の文章は↓このへんに掲載しています(^^; http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=25026&pg=20010717 http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=25026&pg=20010718
『静かな大地』の現在の章の語り手も、“五里四方におのれ一人”の環境を楽しんで いる様子だが、どうもこういう状況は、セスナで原野に降りて野営の支度をして珈琲 を沸かすミチオさんを連想させられてしまう。テントの中で執筆をしたりもしたのか、 そのへんのことはそういえばちっとも知らないのだが、あの文体は書いたことを声に 出して推敲しているような感じがする。普段の生活で主に英語を使っていたであろう ことも影響しているのだろうか、手になじむ“ベーシック・ジャパニーズ”を使った 短めの文章の積み重ね方。わかりやすく、それでいて臨場感にあふれた情景描写の力。
何より、想像してみよう。夜、テントでランプの明かりの下、書き上げた原稿用紙を 光にかざして、大真面目に自分の文章を声に出して読み上げるホシノミチオさん…♪ 気に入らないところがあると立ち止まり推敲したりしながら、次第にロマンティック でドラマティックな世界が出来上がっていく。それを聞いているのは、熊や狼たち。 あるいは日本語のわからない友人が、焚き火のそばでミチオさんの声を聞いている。
そうして、あの文章が生まれたのだと思い込んでみよう。本当のところは知らない。 ただ、その気になって彼のエッセイを、声に出して読んでみること。たった一人で、 あるいは愛しい人の傍らで。結構ハマる、そして意外と笑える、というかミチオさん のキャラクターが微笑ましくて愛しくて、つまりは本に登場する多くの人々と同じく ミチオさんと対話しているような心持ちになってくる。しまいには彼の文章を読んで いながら、読む調子の変化で彼にツッコミを入れる、という高等テクも入ってくる。
「声に出して読みたい星野道夫」。手軽でお得なアラスカ追体験を、お楽しみあれ。
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