「静かな大地」を遠く離れて
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2002年03月18日(月) |
地霊たちの声を聴く者 |
題:272話 砂金堀り2 画:土筆 話:嘘か真かこれを信じた
さて、新しい章に入りました。語り手は不分明であります。『忘れられた日本人』系、 ライフヒストリー好きの御大らしい章になりそう。ゴールド・ラッシュに目が眩んだ 男というのは、視点としては面白い。物語の小さな「支流」が、宗形サーガの本流へ どう流れ込んで、これまでとは別の角度から照射してくれるのか、とても楽しみだ。
蝦夷地や北海道を舞台にするのも、腰を据えてかかれば、文明や人間の業を描き得る なかなか「有利」で魅力的な選択だと思う。「困ったときの北海道」を覆えし得る、 北海道の地霊=ゲニウス・ロキの声を聞きつつ深く掘られた、グローバル射程の物語 が読みたいものだ。「静かな大地」には、まだその可能性が残されているのだから。 実際のところ連載期間は一年程度なのだろうが、個人的には二年くらいやってほしい。
昨日ちょっと紹介した明治座の「風の砦」、楽しいのでぜひご覧下さい、と言いたい ところだけど、商業演劇なのでなにせチケットがお高い。舞台でムックリが出てきて 台詞にクシュンコタンという樺太の地名が出てくるという“レア”さを愛でることの できる人は、何を於いてもお出かけ下さいませ。ちなみに何度も書いたかもしれない けど、僕はサハリンへ行って、クシュンコタンがあったところに立ったことがある。 そこは『武揚伝』の冒頭にも出てくる地名なので、ご記憶の方もあるかもしれない。
御大的には、松浦武四郎へのオマージュを、どういう形でか、色濃く作品に盛り込む という「仕事」もまだ残っているのではないかと思われる。三郎の人生は、あり得た かもしれない武四郎の人生だったかもしれないのだし。そして、さらにその先には、 「盟友」ホシノミチオが佇む姿が見える。そういえば坂本龍一のDVDブックの企画、 なかなか面白そうだけど、『ソトコト』の仕事なのね。『Switch』さんあたりでも すぐに出来そう、企画はもちろんミチオ系で。媒体が進化しても、勝負は企画内容だ。
場所、そして人への想い。裏切れない、嘘をつけない対象。それが人を駆動する力。
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