「静かな大地」を遠く離れて
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題:209話 戸長の婚礼29 画:解熱剤 話:あなたはシャクシャインの話を聞いたことがあったか
題:210話 戸長の婚礼30 画:甘味料 話:半分はこちら側、半分は向こう側、苦労するよ
連載がはじまる前、ここで↓「いけざわキーワードコラムブック:火山」 http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=25026&pg=20010611 という駄文を載せたことがある。「シャクシャインの乱」がどいういう形 で登場するか、場所が静内なだけにずっと気になっていた。
火山噴火による降灰で食糧不足に陥った人々が、積年の苛酷な支配に否を つきつけたのだ、という説。自然現象がきっかけだった、という説は和人 の理不尽な支配の不当さに焦点を当てて事を論じているときには、傍説で しかないのかもしれない。でもどうにもイケザワ氏的な話なので是非採用 していただきたい、由良さんの孫娘の自由研究レポートでもいいから(笑) 志郎の晩年、1910年のハレー彗星ともどもよろしく(<たのむなっ!)
フィクションで追体験するなら、これも何度もオススメしている船戸与一 『蝦夷地別件』(新潮文庫)が圧巻。これはシャクシャイン蜂起より後世、 18世紀末フランス革命と同時代の道東、国後目梨の蜂起をめぐる物語。 先日話題に出た松前氏の蠣崎波響も描いたツキノエなんかも登場する。 三郎とエカリアンの選んだ道の辛さが「体感」できる気になる巨編。
「国家」が形成される途上、周縁の抵抗勢力は“テロリスト”となりうる、 それを圧殺する「国家」の力、振る舞い、すべてがリアルに描かれている。 思えば榎本武揚の志向した共和国も、薩長以下が作った新政府からすれば 軍事力を持った賊徒、大規模な“テロリスト”集団だったりしたわけか。
安易に歴史観なんてものを提示できると言う人が語る歴史は信用に足らず。 物語るというのは、つまるところ「体感」させることではなかったか?
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