「静かな大地」を遠く離れて
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題:136話 鹿の道 人の道16 画:墨 話:目前には仕事が限りなくあります
「遠別」(とうべつ)。これが三郎の“ユートピア”=楽土の地名。 もちろん僕は「遠別」に比定される場所を通ったことがある、何度も。 新冠、静内、三石、浦河、様似、襟裳…。特に静内と浦河はよく行った。 あのあたりの集落はどこもこうした開拓の物語を持っているのだろう。 内地の古い土地と違って、いつ誰がどういう経緯で集落を拓いたのか、 町史などを繙けば、すぐに知ることができる。
僕は、あらぬ場所の地図を部屋の壁に貼るのが好きで、以前住んでいた部屋 にはアラスカの地図と沖縄県の地図と北海道の地図(<それも逆さまに)を 貼っていた。書店で最近国際情勢絡みのせいか目に付く『西南アジア』の 地図も気になっている。ギリシアとかオランダとか旧知の土地も楽しかろう。 この「静かな大地を遠く離れて」をお読みの方で『静かな大地』を真面目に 読んでいらっしゃる方は、是非北海道地図をお求めになることをオススメする。 ま、そんな人がいるのか、というのが最近の疑問だったりするわけですが(^^;
きちんと測量して、仕切られた空間を推し広げてゆくこと、地図的欲望こそが いつか触れた17世紀オランダに発する、奇妙でローカルな風土病のようなもの が地球上を覆い始め、しまいには日高の東静内の川の畔で三郎とシトナさんが “国見”をしながらチャランケをする、という光景を生み出しているわけです。 そして三郎のような生真面目で有為な青年を駆り立てて行くのです。
おかげで「目前には仕事が限りなくあります」という状況が地球のそこここに あふれかえる。かくして僕は“暖炉と大型犬”から遠いところにいる…、 ん?、なんか違うか(笑) まぁ、いいや、勤労意欲のなさを世界構造のせいにして眠ろう♪
「地図的欲望」の延長上に地政学的な世界像があり、それは軍事学的目線に つながっている、とそういうわけです。 ニュースは見てないけど、ここで事の成り行きは見てる、という偏り方もよし。 http://www.kamiura.com/new.html
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