「静かな大地」を遠く離れて
DiaryINDEXpastwill


2001年10月09日(火) 季節を航行する身体

題:117話 札幌官園農業現術生徒27
画:釣り針
話:志郎よ、今はそちらも一面の雪であろう

静内の雪景色を映像で見るなら「優駿」を見ればよい。
いまの静内の生産牧場の生活の雰囲気を味わうならば、
ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミンUP』(小学館)を
何度か薦めてきた。牧場で働いてみたいという若い人にも。
実際僕が浦河町で懇意にしていた牧場には、内地から来た
若い衆が結構いた。よく関西弁も聞こえてきたくらいだ。
ニュージーランドやアイルランドなどから来た人々もいる。
のっぴきならない閉塞の中にいて、馬や草に囲まれて身体
を動かしながら明け暮れを過ごしてみたいならば、日高に
行ってみるというのはアリだと思う。

北海道に住んで何がいいって、雪に尽きる。
より精確には、雪の季節と緑の季節が交互に巡るということ。
それはもう同じ場所とは思えないくらいに変わる。

雪が積もれば、もう緑の季節は来ないような気がする。
緑が萌え立つ頃には、雪の季節なんて想像もできない。

余所から北の国に移住した身体は、その変化を納得できない。
でも、いくつかの季節が巡るころ、ふと空気の中に何か
次の季節の匂いが混じるのに気がつくようになる。
緑の世界の背後に雪景色を、一面の雪に重ねて草の海を、
感じることが出来るようになる。
場所に生きているのではなく時間の波の上に生きている感覚。

一年前のコロンブス・デー、紅葉のニューイングランドにいた。
あそこもそんな国だった。トウキョウも紅葉の季節が近い。


時風 |MAILHomePage