「静かな大地」を遠く離れて
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題:117話 札幌官園農業現術生徒27 画:釣り針 話:志郎よ、今はそちらも一面の雪であろう
静内の雪景色を映像で見るなら「優駿」を見ればよい。 いまの静内の生産牧場の生活の雰囲気を味わうならば、 ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミンUP』(小学館)を 何度か薦めてきた。牧場で働いてみたいという若い人にも。 実際僕が浦河町で懇意にしていた牧場には、内地から来た 若い衆が結構いた。よく関西弁も聞こえてきたくらいだ。 ニュージーランドやアイルランドなどから来た人々もいる。 のっぴきならない閉塞の中にいて、馬や草に囲まれて身体 を動かしながら明け暮れを過ごしてみたいならば、日高に 行ってみるというのはアリだと思う。
北海道に住んで何がいいって、雪に尽きる。 より精確には、雪の季節と緑の季節が交互に巡るということ。 それはもう同じ場所とは思えないくらいに変わる。
雪が積もれば、もう緑の季節は来ないような気がする。 緑が萌え立つ頃には、雪の季節なんて想像もできない。
余所から北の国に移住した身体は、その変化を納得できない。 でも、いくつかの季節が巡るころ、ふと空気の中に何か 次の季節の匂いが混じるのに気がつくようになる。 緑の世界の背後に雪景色を、一面の雪に重ねて草の海を、 感じることが出来るようになる。 場所に生きているのではなく時間の波の上に生きている感覚。
一年前のコロンブス・デー、紅葉のニューイングランドにいた。 あそこもそんな国だった。トウキョウも紅葉の季節が近い。
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