「静かな大地」を遠く離れて
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2001年09月21日(金) |
ボストンから出撃せよ!(4) |
題:99話 札幌官園農業現術生徒9 画:鉤ホック 話:「今、私の頭は馬のことで一杯だ」
「ホントに極私的G−Whoアメリカ旅日記2000」
2000年10月11日
快晴の朝。アンティーク調の屋根裏部屋が愛しい。 島で迎える朝というのは妙に楽しい。 ようやく時差を越えて目いっぱい朝まで眠れた。 IrelandのB&Bが懐かしくなるような「合理的」な朝食を階下ですませる。 泊まり客はアメリカ人のご老体ばかりのようだ。 TVの天気予報は良い方向。 今朝はそんなに冷えていない。
チェックアウトタイムまで近所を散歩しようと宿を出る。 土産品屋などは10時まで開かない。“遺跡を目指して10?往復”とか するわけでなし、『アメリカンホームの文化史』ごっこで島の様式の灰色の 木の壁を持つ建物を徹底的に見物することにする。 夏の家なのか、年金生活者で一年中いる人もいるのか、結構住宅が沢山ある。 Oldest houseというのは1600年代。 家の模型作ったりTVみてスケッチしたりしたことのある子供だっただけに、 住宅建築を見て顔がゆるむほど面白い。風車を見て街の外れの大きな病院や High schoolも似たような材質とスタイルで作られているのも見てテクテク歩く。
いい加減まともな距離ではなくなっている上に手持ちの地図のゾーンを外れて しまって、戻るのに難儀する。結局宿に戻ったのはcheck out time ギリギリ。 部屋に鞄を忘れて行ったのと勘違いされてしまった。 重い荷物を抱えてウロウロしつつAirportへのTaxiを求めるうちにFerri portへ。 観光地然としたサンドイッチで昼を済ませてTaxiをつかまえてAirportへ行く。 まぁ一週間単位で誰かと滞在する夏のリゾートなのだろう。浜辺で遊んだり、 シーカヤックに乗ったり、サイクリングしたり。街の様子からしてピーク時には 相当の人出になるようだ。サントリーニの時もそう思ったけどピーク時だと サイパンのような観光地なのだろう。きっとシンドイ。サントリーニはいろいろ 見物もできるし、街と海と猫と遺跡と岩山で保つけどね。 あそこままた行かなきゃね。
さて、短期すぎる滞在のもとをとる作戦としてのAirportである。 氷河の名残りの地形だというNantucket、そしてCape codさらにBostonあたり のShoreと街を遊覧するのが大目的。 空港にはいくつかのカウンターがあって数社が乗り入れている。 過去、函館ーユジノサハリンスク便のアントーノフに乗ったりオホーツク紋別空港 から千歳へ行ったりいろいろしたけれど、そうそうもちろんサントリーニや石垣島 へも行ったけど、規模は最も小さいだろう。それでいて田舎の生活路線空港という 風情じゃないのは、お金持ちが遊びに来る場所ゆえか。なんとNY便まである。 Newbedford,Hyannis,Boston、隣のマーサスビニヤード島、どこからでも アプローチ出来る。自分の乗る機体を見てワクワク。Passengerは8人! 今まで乗った中で最少人数だろう。小松空港ー広島空港というわけわからん便にも 乗ったことがあるけど、飛行機はもう一寸大きかったはず。 ゼロ戦とかと変わらないんじゃないかという双発プロペラ! 例によって御大なら機種名とかわかるんだろうな。 琉球エアコミュータで粟国島とか行けばこんな感じなのだろうか。 そうこうしつつ離陸。Airplaneに乗るととブッシュパイロット空撮「ガイア3」の 映像やシリアとジニーが脳裏に浮かびつつ眼下の青い海と島はThe WINDS OF GOD の太平洋など思わせて、しまいにゃサンテックスに連想がつながったりする。 War gameの盤面のように区画が整理されつつ緑被率の高い、意外と大きな島を 見るのは楽しい。高度を下げるとほとんどCape codと離れていないのがわかる。 船がみえる。晴れた空。 「これが見たかった!」Cape codの俯瞰映像を楽しみつつ、左手に前日旅した Fairheaven方面、眼下にプリマスあたりの海岸。 行き損ねたポーツマス@ニューハンプシャーの海岸にも似た氷河地形(らしい) 「ポーツマスの旗」のOpening風のエアショットを味わう。45分でBostonへ。 後半少しBampyになりつつ、海岸の土地利用の美しさを味わう。 そして懐かしいビル群。ローガン空港にLanding。近い近い。陸路海路で島へ入って 飛行機で帰るというサントリーニ・メソッドはおすすめである。 さわやかに晴れたBostonへ。慣れた気分で地下鉄でホテルへ荷物を置きに行く。 実はメッチャ便利なpositionのある。でも最初はわかんないよね。 福岡出張だった街の概要はつかめないんだから。 “わが街”Boston。 にしても今回はWashingtonD.C.があるので持ち時間が少ない。 BostonもNantucketも一泊ずつ足りない感じ。 移動ばかりでサボって本読む余裕がない。 ダブリンってなんであんなに暇してたんだろう? Bewleysで本ばかり読んでた。 行きのFerriあたりから読み始めたLin Margulis“Symbiosis Planet”を チビチビ移動や食事で読む。Boston在住の著者の本。 今回の隠しテーマはモロに文明と自然の関係で、 『アメリカ文学史のキーワード』を『恐竜のアメリカ』の延長上の、 進化史と社会史を軸に読みつつ、New England Aquariumへ行ってCape codを 見てきたあとだけになかなかうまくハマる。
秋空の気持ちいいBostonから欲張ってConcordへ電車に乗る。ちょっとした郊外。 アメリカ独立史上に残る旧跡、そして文学の聖地だという。アメリカ・ルネサンス の震源地。目的は紅葉のWalden pond。ソローの『森の生活』は読みかけのまま 置いてきたけど、『白鯨』とともに必読。 駅からまた歩く歩く歩く。小屋の跡と湖は「ここから入るな」って書いてある径から 実はすぐ近くだと帰るときにわかったのだが律儀に湖の周囲をかなり歩いたおかげで 森林浴を堪能。ポロト湖みたいなもんだけど…ね。 しまいにゃ帰りにアメリカ人に道案内までしながらConcord駅へ。
アメリカの古き良き田舎町を垣間見つつ、アーリー・アメリカンはもうたっぷり 味わったかな、という感じ。「見物客」としてならルーマニアのマラムレシュに 行くとか、そういうエクゾティシズムがよくも悪くももっと欲しい。 同じように国際線に閉じこめられて同じように足を駆使して回るなら、この日程で フィレンツェとヴェネツィアでも歩けばかなり観光できるだろう。 イタリア観光はなかなかの難題ではある。アツコちゃんちだからなぁ。 ミラノ、ローマ、ペルージャ、ヴェネツィア、トリエステとかね。大変そう。 なんだかんだで英語を強化してAlaskaへ行く方が簡単そう。 すでに同じ国の対蹠地を旅している。
夕暮れの冷たい空気の中、Concord駅へ戻るとTime tableがわかりづらいとこに 貼ってあって、それが信頼できるものかどうかもあやふや。逆向きの列車の時刻を 確かめて信用したはいいけどInboundがなんと1h20minくらいあと。 近くのStarbacksで本を読んで過ごす。ダンキン・ドーナツもスターバックスも 微妙に日本と異なる感じがする。雰囲気もいい。 背景が豊かか、いっぱいいっぱいか、というのによるのか?課題である。 空間の快適さは何によって作られるのか。奥出直人氏的お題。楽園は可能、か否か。 ともあれ“Symbiosis Planet”を読む。 このジャンル、もっと学んでおいたほうがいい。 19c以前からの社会思想との絡みにおいて極めて重要だ。 『はるかな記憶』でも読もうか。あと『ワンダフルライフ』系の中身もお手軽に Nスペ以上に知りたい。
“わが街”Bostonへは19:30に到着。よくばりな今夜のお題は月齢がフルに 近い空の下、North endというイタリア人街で食事すること。 今月のナショジオに出ていた“Bostonの中華街”である。 この説明、わかりやすい! 以下略してもOK。 地図でだいたいの目安をつけていくが、まさか関帝さまがいたり派手な門が あったりするわけじゃないので迷いつつウロウロ。観光客の群れと店の明かりが 見えてきてSalem StやHanover Stという通りに行きつく。 リストランテや食材屋さん、それにExpressパニーニ屋などが連なっていて、 横道にも店があったりしつつ、大勢人が並んでいるところもあれば閑散としている 店もある、まさにここは横浜中華街! 80年代以降、移民街が“トレンディ” 扱いされるようになったり、移民3世のIdentityが問われたり。 にしても『ナショジオ』みてNorth endへ行き『シンラ』見てNoraへ行こうと しているミーハーさ。 一人で食卓に着く気合いを鍛えつつも、今回の旅にはまだピークがあることを 心に抱いて暖める。WashingtonD.C.の夜、月は何歳だろうか、と思いながら ワイン一杯の酔いで秋風の立つBostonの夜を散歩して宿へ帰る。 なぜか佐野元春の初期の歌を口ずさみつつ。
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