「静かな大地」を遠く離れて
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題:82話 鮭が来る川22 画:オオバコ 話:鮭鱒孵化場の顛末
北海道=蝦夷地は物産の豊かな土地でああった。 充分に独立国家が営めるほどに…。 それを夢想したのが、鮭の孵化事業なんかも大好きそうな、 技術と殖産好きの政治下手(?)、“我等が”榎本武揚公である。 なかなか書けないでいる僕の夏休み報告、北海道経由オランダ行き、 まず、さわりだけでも某友人へのメールの文面から。
今回は前回のニューイングランドとワシントンDCよりもっと説明が難しい、 アムステルダム暮らしの日々でした。 今、地球を取り巻いている「近代」の「孵化器」、それがあの低地地方だった、 そういう認識の元に、アメリカ東海岸の次に訪れるならあそこしかない、 と思っていました。
レンズ職人哲学者スピノザ、視覚革命の担い手フェルメール、国際法の父 グロチウス、そういう先鋭的な人を輩出した奇怪な時代を持った国。 加えて日本との歴史の綾。蘭印の旧宗主国であり、第二次大戦の敵対国。 そして現在、アメリカ型に対するオルタナティブな社会や環境への取り組みを 現実のものとしている、インダストリアル風車と自転車の国。
とにかくもう歴史も現在もネーデルランドを見れば、すべてが見えてきます。 大英帝国が歴史を捏造したせいで隠蔽されて、「チーズと木靴と風車小屋と チューリップの小国」みたいに見えますが、あの国の本性は魔物であります。
幕末においてオランダ留学組リーグから、国際法に精通したラディカルな 共和主義者の一群が北海道独立を試みた歴史を、日本の人は軽視しすぎです。 そのへんを書いたのが、佐々木譲さんの新刊『武揚伝』です。 上下巻1350グラムのハードカバー本を持って、ゆかりの地を訪ねながら じっくりサボり倒してきました。贅沢とはこういうことを言うのです♪
…つづいて帰国後わりとすぐに、作者の佐々木譲さんご本人のHPの掲示板に 僕が書き込んだ文面。
ご報告 G−Who 2001/08/19 (日) 10:50
『武揚伝』上巻を新千歳空港発スキポール行き機上で読了。 下巻のクライマックスは、雨のアムステルダムのカフェで 涙をこらえながら読みました。 アムステルダムの海洋博物館、 オランダ留学組の多くが住んだデン・ハーグ、 開陽丸の故郷ドルドレヒトのオーデマース川、 ゆかりの地も巡りました。 自慢ついでをお許しいただければ、 冒頭近くの樺太の描写の中のクシュンコタンの ロシアが陣地を築いた丘も、過去に訪れたことがあります。 『ワシントン封印工作』ゆかりの旅としては、 ワシントンDCのデュポンサークルで友人と待ち合わせて マサチューセッツ・アベニューで食事したこともあります。 僕っていったい何者?…って感じですね(^^; 決してスパイとか殺し屋じゃありませんよ(笑) >譲さま 私信でお伝えしたとおり、自分のHPでネタバレ有りの コメントを書くつもりですが、なかなかまとまった時間が とれずにいます。書けたらまたここでお知らせします。 ひとまず「自慢」がしたくなって、 ご報告だけカキコみました。すみません(^^;
…で、書きたいことはいっぱいあるんだけど、現在に至る、 というわけです(;_:) オランダ留学組の榎本武揚、何かというとすぐにコーヒーを 飲みたくなるとこなんかも、好きです♪ 16世紀以降のオランダ史と日本史とインドネシア史を リンクさせた「歴史」の教科書を作れば、日本史も世界史も 必要ない、というのが最近の僕の持論。 だいたい歴史の細目なんてどうせ研究者間でも評価が定まらない のだから、特に遺跡の発掘ひとつでコロコロ変わる憶測の古代史 なんて授業でやらなくてもいい、と思うわけです。 欲しいのは歴史のベーシックなリテラシー能力、 とりわけ、私たちは今どこにいるのか、どういう経緯でそうなったのか という最低限の“申し送り”だけはしておこう、ということ。 何故オランダ、日本、インドネシアなのかは、わかる方には自明だと 思いますけど、そのうち参考書誌なども交えて、そのメリットを 説明しましょう。
というわけで、『武揚伝』関係についても書きたいのですが、 それもまた、次の機会に(^^;
…それにしても、オランダ・ナショナルチーム、 アイルランドに負けてしまいましたねぇ…、 あのオレンジが来るならスタジアムに観に行きたい、 と思っていたのですが。そんな話も含めて、また。
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