「静かな大地」を遠く離れて
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題:81話 鮭が来る川21 画:テントウムシ 話:アイヌ式・川の鮭漁の方法
先日触れたカムイチェプの燻製の話、なんだかあれだけ書くとアイヌ式の 鮭漁が昔からずっと続いてきて現在の北海道でも行われているかのように 聞こえてしまったかもしれない。 そこは、とんでもなく北海道近現代史の肝要な部分。
萱野茂氏がずっと言い続けているところによると、 アイヌは主食を奪われた、世界でも特異な民族だ。 すなわち、川で鮭を自由に捕ることは近代以降一切できなかったのだ。 今でも儀式のため、年に数尾の鮭を伝統的手法で捕るのに、 道庁だか知事だかの許可を申請しているという。
実は北海道に6年住んでいたと言いながら、僕はそのへんに疎い。 生ハムのような味わいの燻製を食べさせてもらったのは、とある博物館。 そこでも古来のやり方ではなくて、近海で捕れたものを市場で買ってきて 加工している、と聞いた。そのためまだ鮭の脂肪分が多く、加工する過程 で悪くならないようにするのに手をかけている、というようなことも 聞いたような気がする。
ふむ。資源収奪型の統治というやつは、地球の隅々まで手を伸ばしたのだ。 結局たいした近代国家も運営できなかったというのに。
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