「静かな大地」を遠く離れて
DiaryINDEX|past|will
2001年07月31日(火) |
犬と生きる世界(1) |
題:49話 最初の夏19 画:栗 話:狩猟採集生活者の生活と言葉と神様
『母なる自然のおっぱい』(新潮文庫)や『旅をした人』(Switch)で 御大が深く傾倒した狩猟民の心。 思えば『スティルライフ』の背後にも、広い意味での狩猟民的な感性への 共感が謳われていた。そういう心の傾きが強い人が、世の中にはいる、 あるいはそういう気分に共鳴しがちな時期、時代というものもあるのかも。
人工支持力ということでは、穀物を量産することには勝てないかもしれない。 安定性ということでも不安はあっただろう、と特に「農」を選び取った人々 からは思われてきたに違いない。 自然に働きかけて、作物の実りを頼みにする農耕という選択は、 なかなか面白くて快感もあったのだろう。そうでなければ広まらないはずだ。
それにしても…、それにしても農業を拒絶したい人々だって、いたわけだ。 「支配ー被支配」システムに伴われた農耕。 その秩序を掻き乱す、スサノオ的な存在。 二つの勢力が、日本列島の歴史もまた綾なしてきた。
最後の前線、まだ品種改良ならざる稲が穂をつけない、開拓初期の北海道。 世界観の衝突は、ひどく具体的に食物のカタチをとって現れる。 サケを捕ることを禁じるのは、ひとつの世界を圧殺することに等しい。 それをやったのが日本近代史である。
|