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ラヂオスターの悲劇
トマーシ
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2004年10月30日(土)
混乱の繭

見ると雨が降っていた。まるで今目覚めたばかりみたいな俺。時間や場所はひどく簡単。マッチ箱みたいな軽トラックの中。いつもと変わらず何処かから何処かへと移動し続ける、俺。
空が曇ると全てが狂う。カーエアコンからグダグダの大渋滞まで。蚕の吐き出す、ほどきようのない混乱。みたいだ。
誰かが膨らんだ腹に溜まった混乱を青虫の触角みたいにスルスルと人知れず静かに吐き出し続けているに違いない。
思うに、世の中そんなに悪くなっちゃいない。
そういった混乱を片付ける人間が少なくなっただけ。
なにせ、その混乱の繭は際限なく吐き続けられる。
気をつけなければ足を掬われて、絡みつく。
底無しの大渋滞。袋のねずみだ。

誰かを歩哨を立てればいいと思う。
みんながテントの外に立つ歩哨の、長靴の留め金の規則正しい物音に耳を澄ませればいいと思う。そんな風に思いあっているのは素敵だ。

その歩哨がカトリックの司教みたいに仰々しく着飾って、おおよそ全ての人から送り出されるくだりで、ブレーキを踏んだ。ゆっくりと。それからギアをパーキングに戻す。サイドブレーキを引き、イグニクションキーを戻す。背もたれに体を預けて。目的地に着いたのだ。