ナナとワタシ
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2011年07月22日(金) 煮え切らないキリギリス

ナナとよく連絡を取り合ったり会ったり遊んだりしていた頃。
つまり、ナナが子どものことでよく煮詰まっていた頃。

ナナはたまに言ったものでした。
「どっかにアパート借りて、あたしだけの空間がほしい」と。

当時はまだ、今より少しは羽振りのよかったじょりぃは

「じゃあワタシが借りてあげよう。その代わり、ワタシにもカギをちょうだいね」

なんつって浮かれていたものでした。
懐かしい。


そして現在。
ナナが准看護師としての仕事と正看護師になるための勉強のために大忙しとなった現在。

ナナもそんなこともめっきり言わなくなり。

と思ったら、最近また「部屋がほしいー。勉強部屋」とか、たまに言うようになりまして。

しかし、不況の煽りをくらって、今ではめっきり貧乏になってしまったじょりぃは、そういう言葉を聞いても

「だねー(´∀`)」

くらいしか言えなくなり。

つまり、「自分だけのアパートって借りたいよね」的な部分では同意しても、以前のように「ならそこをふたりの共有空間にしようよ」めいた返事はしなくなったのであります。
なぜ自分でお金を出せなくなるとそういう態度になるのかは、たぶんワタシの何かが間違えているんだろうと思うんですが。
でもまあ、いずれにせよ、ふたりとも家があって家族があるのに、秘密のアパート借りるなんてちょっと常識はずれだし、そんな余分なお金ないしね、ってことで、現実的になっちゃったってことなんだと思います。
夢と桃色だけ食べていたあの頃のじょりぃより、大人になってしまったのでありましょう。(遠い目)


そんな折。
ちょいとしばらくぶりにナナからメールが。


久しぶり。

○○市の××町に、1.5万円のアパートがあるよ。
△△町には2.5万円のもあるよ。

借りたいね。



また課題手伝ってー、なメールを予想していたじょりぃには、ずいぶん唐突な内容でありました。
借りたいね って、そりゃ借りたいけどさ。
なんてったって、目玉が飛び出るほど安いですし。
しかしそれを考えるとかえって借りたくなくなるような気もしますが。
屋根、あるのかな。とかね、考えちゃいます。

なんてことはさておき。


これ、ワタシと一緒に借りたい、ってことなのかな・・・



だけどここのところ、そんな話はまったくしてませんでしたし。
「安いから借りたーい。ね、こんだけ安ければ、じょりぃも借りてみたいと思わない?」という意味だろう、と判断。
要は「自分だけのアパートって借りたいよね、これなら安いし」というだけであって、「そこをふたりの共有空間にしようよ」という意味はない、と。

とりあえず

安っ。
借りたいねー。

トイレあんのかな?(笑)



あっさりと返信。

もうね、ナナにサービスめいて言葉を多くすることはやめたワタシなんでございますよ。
そういうの喜んでもらえないですし。
てか逆に「ふっ」みたいな態度とりますし。
ここひと月ほどのメールのやりとりって、ワタシの返信がナナのメールより文字が多くなったことは一度としてありません。
というくらい、この点については既に心が冷え冷えとしているじょりぃ。
まあ、案外ナナにはそのほうが好評だったりするかもしれませんが、それならあちらもワタシも万々歳です。ふん。


それから2日後。

台風マーゴンたんが近づいてきている、ということで、ナナのこともなんとなく心配になり、運転とか気をつけーや、と言いたくて電話をしてみることにしたじょりぃ。
や、正直に本当のところを言えば、「借りたいね」はどんな意味だったのかな、なんてことも気になっていたのでした。
話のついでに、そのあたりも聞けたらいいなーなんて。

しかしまあ、その電話のぎこちないことったら。ふたりとも。
会話がうまくかみ合わないんです。
黙るところと、何か話さなきゃって感じで話し出すところが常にシンクロしてしまうんですよね。
こういう経験、どなたにもあるかと思うんですが、会話のリズムが非常に悪くてどうしよう、って感じになりませぬか。
とりあえずワタシは、かけたはいいものの、早々に電話を切りたくなりました。
ワタシからかけるナナとの電話って、いつになっても上手にできるようになりません。はうー。

しかし何度目かの「黙りの間」のあと、ワタシは思いきってアパートの話を切りだしてみることにいたしまして。

「あのアパート、どこで見つけたの? 安かったね」と。
「安いでしょー(笑) 『ご自由にどうぞ』の住宅情報誌で見つけたんだよ」
「へー。 間取りとかも載ってた?」
「うん。載ってた」
「トイレ、ちゃんとあるの?(笑)」
「あるよ(笑) お風呂もキッチンもちゃんとあるよ」
「ひと間とか?」
「そうそう。あの値段だし、当然ひと間」

ひと間かー。
てことは、なおさら「一緒に借りようよ」のセンは薄いよなぁ。

と思いつつも、話を振ってみることに。

「借りたいよね」と。
「うん。借りたいよねー」
ふたりで家賃を折半にすれば、すごく安く借りられるね」
「うん、ね」

こ、これは!

脈アリ・・・なのかしら・・・。

も、もう一押ししてみようそうしよう。


「でもさ、うちからは割と近いけど、あなたんちからは遠いんじゃない?」

ふたりで借りるには、中間地点とは呼びづらいよね、とカマをかけてみることに。

「そんなことないよ。あたしんちのが近いんじゃない?」とナナ。
「そうかぁ?」
「ちょっとちょっと。土地勘ちゃんとしてくださいよー(笑)」


こ、これは!
脈アリなのかな!


でも、これでは別に「だから一緒にひとつの部屋を借りるってことだよね」という決め手にはならないよね。
ということに気づいたじょりぃ。
お互いに、自分が、あるいは相手が借りることを想定して、それぞれの家からの距離をあーだこーだ言ってるだけ、とも取れます。

結局ナナがどうしたいのかはよくわかんないなー、なんて思いながら、せっかくなのでこの話題をもう少し続けてみることに。

「確かに安いけどさ。これ、駐車場代は含まれてないよね?」とな。
「あー、別でしょうね。 でももしかしたら、1台分は含まれてるかもよ?」
「あー。ありがちだね」 このへんの田舎では、たまにそういう物件もあるのです。
「だとしたらさ、2台目の分だけで済むでしょ、余分にかかるの」とナナ。


2台目の分!

ということは!

こりゃ、「一緒に部屋を借りたいね」ってことですよね!

まさか、ナナがひとりで2台分駐車場を確保しようって話じゃないでしょうし。


と、自信をつけながらも、「じゃあワタシと一緒に部屋を借りたいということ?」と、具体的に確認することはできませんでした。
なぜなら。


ホントにそうだったらどうしよう。
ホントにそうなっちゃったらどうしよう。

って思ったからです。


だって、そんなのもし、きょんにバレてしまったら。
とか。
それ抜きにしても、なんか


怖い。 し、 困る。


いったい何が怖いのかじょりぃよ。
困るのはなんかまあ、ちょっとわかる気がしますけど。<まるで他人事


ナナに関しては、ワタシ、いつもこのへん・・・「なんかの一歩手前」くらいをうろうろしているのが落ち着くようなんであります。
なんだかずるい。それはわかっているんですが。


まあ、ナナにしてみたら「気のおけない友人と隠れ家をシェアしたい」くらいの軽い気持ちなだけかもしれないんですけれども。
そして、もしそうならばワタシもこの企画にもっと前向きになれるんですけれども。

そうでなかったらどうしよう。

と思うと、この楽しい「隠れ家アパートシェア計画」も、なんとなくフェードアウトしながら電話を切ってしまうのでありました。


やはりどうも、ナナに対するワタシの「好き好き好きーーー」は、相当身勝手な感情であるように思えてまいりました。
ナナはたぶん、ずいぶん前からそれを知っているんだろうなぁ。
そしてそれは、ナナにもけっこう、都合の良いものなのかもしれません。
と、またもや身勝手な理屈でもって、そうだそうだと自分を納得させて、のびのび楽しく人生を謳歌する、煮え切らないキリギリス・じょりぃなのであります。

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