ナナとワタシ
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前回に引き続き、スーパーで買い物したときの話です。
レジを済ませ、買い物カゴを、なんて言うんですか、「袋に詰めるための机」みたいな場所に移動したところでナナが言いました。
「今日あたしとパパ、結婚記念日」
「へー。今日なんだ。おめでとうございます(・∀・)」
「パパにお酒でも買ってってあげようかな」
「うん。パパ喜ぶんじゃない?」
「じゃあじょりぃ、買ったもの袋に詰めてて。あたしちょっとお酒買ってくるから」
と、歩き出したナナを「あー、ちょっと!」と呼び止めまして。
「何?」
「お酒、何買えばいいの? ワタシ買ってくるから、あなた袋詰め頼むよ」
「(笑)パパのお酒買いに行きたいの?」
「てかさ、 袋に詰める係になるのがイヤなんだ」
「苦手なの?」
「なんていうか・・・何かをテストされるような気がして、イヤなんだ」
ビミョウな間。
「テストって、 何?」 とナナ。
「きっとあなた、チェックするでしょ? ワタシの袋に入れる順番とかさ。詰め方とか」 <病的な自意識過剰
「しないよ(笑)」
「とにかく、イヤだ」
ナナ、ここで「いいかげんにしろよー」と怒るかと思いきや、 かわいそうな子に言い聞かせるようにやさしく
「そんなの全然気にしないからー(´∀`) だから、よろしく。ね?」 と。
「・・・わかった・・・」
ナナ、てくてくと歩き始めたところでくるりとこちらを振り向き、 にっこりきっぱりと言いました。
「食パン潰さないでね」
やっぱり気にするんじゃん!Σ(´д`;)
「やっぱりイヤだ。ねえ!待ってよ!」
ナナ、今度は無視してずんずん歩いて行っちゃいました。 まあ無理もありませんが。
しかたがないので、ワタシは自分で考え得る限りの知恵を絞り、 食パンを潰さないためのパーフェクトな小宇宙をスーパー袋の中に構築しておきました。 ワタシがナナなら、もったいなくて袋から何も取り出せないほどの完璧さでございましたが、 ナナはナナであってワタシでないので、家に着いてから何の感想も感慨もためらいもなく、袋から品物をざっしゅざっしゅと取り出しておりました。
さらばワタシのパーフェクトな小宇宙。
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