ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2009年01月12日(月) カラスとオシャレとパンの話

年の瀬に、ナナと一緒にブランチしたときのことなんですが。
田舎だと、午前10時前に食事できるお店って、ファミレスかファストフードしかなくて、なんつーかシャレてないんですが。
まあワタシは会って話ができれば、そのへんの道ばたでもかまわないんですけどね。

で、いつものファミレスでまた「なんか食べるか」ってことになりまして。
その頃はランチとモーニング、どちらも頼める時間になっていたので、ナナは「これをお昼にしちゃお」ってことでパスタを頼みまして。
ワタシはモーニングメニューというものが好きなので、スクランブルエッグのモーニングを頼んだのですよ。

そしたら店員さんがワタシに
「パンかライス、お選びいただけますが」と。

あ、そっか。どうしようかな。
と考えてメニューを見て、ええとーなんて考えてましたら、ナナが

「これで」

と、トーストを指さして勝手に決定。
ちなみにワタシのメニューですよ?

店員さん、確認のためか、ワタシの顔をちらりと見てくれたので「あ、それでお願いします」と。
店員さんが行ってしまってから

「なんで勝手に決めるのさー」とワタシ。なぜかうれしそうに

ナナは栄養バランスとかにけっこううるさいので、何かしらワタシの健康を考えてそれに決めてくれたんだと思ったんでが。
返ってきた答がこちら。

「えー。だってあたし、パンが食べたかったんだもん」


おまえの都合かよ! <やっぱりなぜかうれしそうに
しかしホントに好きだね、パン。


「でもなんでトースト?」とワタシ。
「え? だからパンが食べたいから」
「パン、2種類あったんだよ、ほら。 ワタシはどっちのパンにするかで悩んでいたのだ」

トーストと、ライ麦パンとあったのです。
ナナはたぶん、ライ麦パンのほうが好きなんですよね。
と思ったので、聞いてみたわけです。

「あ!ホントだ!」とナナ。「えー、ライ麦パンのほうがよかったな・・・」
「変更してもらおうか?」 てか、ワタシのメニューなのにワタシも鼻の下伸ばしすぎです。
「めんどくさいからいいや」 あっそ。


そして元旦、初日の出を見に行ったときも、同じファミレスに入ったわけですが。
そのときモーニングを頼んだナナは、迷わずライ麦パンを選んでおりました。
それを見て思わず笑っちゃったんですが。
そしてワタシは中学時代のある「パンにまつわる一日」を思い出したのであります。


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確かあれは中2。
そして、確か秋の終わり頃の日曜日か祭日でありました。
なぜかワタシはナナの家におりまして。(めずらしい)(ワタシが押し掛けた可能性大)
体育着ではなく普段着だったので、部活帰りとかでなく、純粋にナナの家に遊びに行っていたのだと思います。

ナナの家に着いてすぐ、ナナが言いました。

「あたし今、カラス飼ってるの」と。
「カラス? なつくの?」
「なつくよ。かわいいんだよ。カータンて呼んでるの。カラスのカータン。もう友だちになったよ(・∀・)」
「・・・ふうん」

相変わらずアタマおかしいなー、と思いながら相づち。

「信じてないでしょ?」とナナ。
「だってカラスってなつかない気がして」
「じゃあカータン見せてあげる」

ナナの家は小学校のすぐ近くだったのですが、その小学校にカータンはいるらしく。
ふたりして小学校まで歩いて行きました。

「小学校で飼ってるの?」とワタシ。
「ちがうよ。そのへん飛んでるの」

それ、ただのカラスに適当に名前つけているだけでは・・・(°▽°)
しかもこの調子だと、カータンは現れなそうです。

と思っていたら、少し離れたところでカラスが一羽、ぴょんぴょんぴょん、と、地面を跳ねるようにして歩いていました。

「あ、ほら! カータンいたよ!」 とナナ。

痩せた小さめのカラスでした。
が。
ホントに他のカラスと区別できてんのかなぁこれ・・・。

「他のカラスとカータン、区別つくの?」とワタシ。
「うん、あれはカータン(・∀・)」とナナ。
「どうしてわかるの?」
「たぶん呼べば来るよ。 カーターーーーン」

ぴょんぴょんぴょんぴょん。
確かにカラスはやってきました。

「ほらね?(・∀・)」
「・・・・・」<まだ疑っている。ただの偶然だろうよ・・・。

「この子はねえ、カラダが小さいから、カラスの世界ではひとりぼっちなの。
 だからあたしがたまに来て遊んであげるの」 と14歳のナナ。
「ふうん・・・何回くらい遊んだの?」
「今日で3回目」

少な!

その後、ナナが勝手に考えたカータンの物語を聞かされ。(今思うと、次女ちゃんや末子ちゃんの話す話によく似ていたなあ)
カータンが行ってしまってから、ナナが突然言いました。

「あたし、服買いに行きたい」と。
「え? 今から?」
「うん。じょりぃ、一緒に行かない?」

ここで自分のカッコを見てみるじょりぃ。
まだオシャレっ気のなかった頃ですよ。
というか、ナナやマユコといったオシャレな友の影響で自分のダサさを自覚しはじめ、オシャレになりたいなーと思いつつ、どうしたらオシャレになれるのかわからなくて、自分の服装がひたすら恥ずかしかった頃でした。
この日のワタシは、だっさいグレーのトレーナーにジーンズ。(デニム ではなく、ジーンズ。というよりジーパン)
ナナはといえば、白ベースに赤い柄が編み込んである、なんかえらく女の子らしくてかわいいセーターに、ボトムはチャコールグレーの、良さそうな生地のスカート。プリーツだったかな?
一緒にお街(お店のいっぱいある地区をこう呼んでいた)に行くには、自分のカッコがなんかすごく恥ずかしい・・・(*´・ω・`)
恥ずかしいけど行きたい。
ナナが洋服選ぶところ見たい。ワタシもオシャレになれるかも。

「うん、いいよ」とワタシ。
「じゃ、乗せてって☆」

え!
自転車2台で行くんじゃなくて、ワタシが乗せてくの?Σ(´д`)

と一瞬思いましたが、まあほとんど毎日学校帰りは後ろに乗せていた頃でしたからあまり抵抗なくOKしまして。
でも街までは遠い・・・。しかも往復か・・・。しかも帰りはずっと登りか・・・。

が、ナナと一緒にお街にお出掛けなんて機会、これは逃すわけにはいきません。
自分の服装も憂鬱だったし、ほとんどお金なんて持たずに来ちゃったし、ワタシ的には買い物☆な気分では到底ない状態でしたが、
自分みたいなダサいのとおしゃれなナナが一緒に服を買いに行けるチャンスがあるなんて思ってなかったので、コンプレックスにもじもじしながらも一緒に行くことに。
自転車二人乗りで遠出は体力的にはキツイものでしたが、二人乗りだとナナがぴとっとカラダをくっつけてくるので、状況的にはうれしかったですし。

行きはたぶん、ナナがカータンのことをずっとしゃべっていたように思います。けど、ここはよく覚えていません。
ずっとゆるやかな下り道なので、けっこうすぐに街に到着しちゃいましたし。
で、ナナのペースで服を見てまわったわけですが。

なんかですね、ワタシが母と一緒に服を買いに行くような店とは、店からして違うわけですよ。
てか、ワタシ、服ってデパートで買うモンだと思ってましたし(°▽°)(もちろん、当時は田舎のデパートなんかに若者向けのオサレな店なんて入ってなかったですよ!)
ナナはブティックと呼ばれている店をハシゴするんです。
当時ワタシたちの住んでた市の「お街」は、田舎にしてはおしゃれな店がたくさんありましてね。
市が昔からそういうところだったんですね。
オサレ人の街、みたいな決定的なキーワードがあるんですが、その言葉を出すと、ググれば市の名前が判明しちゃうので出せなくて残念です。
そんな環境だったもんで、当時の田舎町にしては、オサレな若いムスメたちのためのブティックもけっこうあったんです。(今は廃れてますが・・・)
が、ワタシはもちろんそんな店入ったことなかったですし。
ナナの後について店に入っても、なんだかそわそわ落ち着かなくてですね。
オマケにワタシの服装のダサさと言いましたら。もうホントダサい(´Д⊂)
店によっては、ナナ、お店の人と仲良しのようで、なんかオシャベリしてたりして。
ワタシ個人的にはえらく居心地悪かったんですが、そんなナナはやけに大人びて見えて、カッコイーーなんて思いました。

ま、それが今では「家にいるときはありえないほどダサいカッコ」している人になってしまったようですが・・・ァ'`,、('∀`)

結局ナナ、見ただけで何も買わず。
日も暮れて来たので、また二人乗りして家路に向かったのですが。

街を出る頃になって、ナナが「おなかすいた」と言いだしましてね。

「え! ・・・あ、じゃあ、街に戻る?」とワタシ。

で、でも、こういうオシャレな子って、こういうお出掛けのときって、いったいどんな店に入ってどんなモン食べるんだろ・・・と悩むワタシ。
なんもわからないので、「じゃあ○○でも食べる?」とか、なんも提案できないんですわ。

「あ、ここでいい。ここ寄って」とナナ。

なんか、フツウのボロいパン屋さん。
パン屋さんといっても、ベーカリーではなく、昔よくあった、山崎製パンのパンばかり売ってるような、そーゆーパン屋さん。(若い人にわかるかしらこれ・・・)
パンのついでに塩とかお菓子とかあまつさえ洗剤とかも一緒に売ってるような、そーゆーパン屋さん。
かといってコンビニとは全然違うわけですが。

「え? ここでいいの?」
「うん。パン食べたい」
「あの・・・フツウのパンでいいの?」
「どういう意味?(・.・)」 そりゃそうだ。

フツウの菓子パン買って、自転車の荷台でワタシにつかまって半身をワタシの背中に預けつつ、もぐもぐとパンを食べるナナ。
ワタシはといえば「そうか、ああいうところでパン買って食べるのもアリなんだ」とか、なんかよくわからないことを考えてました。
こんなモンに、アリもナシもないわけですが。
今思えば、ナナが単にパンが大好きというそれだけのことでありますよ。
でもほら、オシャレになりたかったワタシは、いちいちナナの行動を「心のオシャレノート」につけてしまっていたわけだったのです。

「おいしいー( ^ ∀ ^ )」と、ワタシの後ろでゴキゲンなナナ。

そうか、パンておいしいのか。そしてあんなパン屋(失礼です)のパンでもいいのか。
と、ナナの「おいしい」を受けて、それもまた心のオシャレノートにメモメモ。

「じょりぃも食べる?」
「いらない」

このころから既に、「好きな人の食べ物をもらって食べる」ということができなかったじょりぃ。
今でもちょっと苦手です。とにかく恥ずかしくてならないのです。
取り分けメニューとかも苦手。自分のを相手にあげるのも苦手。
これすべて、理由はひとつ。 なんかこっぱずかしいから。これだけ。

なので、冒頭のファミレスのシーンで、ナナがあたりまえのように「あたしももらうから」という理由で、勝手にワタシのチョイスをトーストにしたことが、
そしてワタシも、恥ずかしいながらもナナと一緒に一枚のトーストを食べていたことが、なんだかとっても嬉し恥ずかしだったのであります。
ワタシも大人になったものだ、なんてことも思ったりして。
大人になりかたのスケールが小さすぎますが。

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とまあ、ファミレスでパン食べた話から、長々と昔話を語ってしまいましたが。
しかも話の中でパンが出てきたの、ちょっとだけでしたね。ァ'`,、('∀`)
この日のことって、ワタシホントによく覚えておりましてね。
カラスを見たり、あのとき自転車で走った街までの道を通るたびに思い出すのです。
ホントよく覚えている。

ナナがパンを買ったお店も、ナナと回ったブティックも、もうありません。
が、特にパン屋さんがあった道を車で通るときは、あの頃の気持ちにまるっと戻って、通るたびに不思議な気持ちになります。
ナナはもう覚えていないだろうな、パン屋さんに寄ったこと。
ワタシと街に行ったことも覚えているまい。(当然、ワタシがヒーヒーしながら帰り道の上り坂を自転車漕いでいたことも!)

カラスのカータンの話は、少し前に「覚えてる?」と聞いてみたことがあります。
ナナの答は

「全然覚えてない。 てか、あたし、どうかしてるねー(笑) カラスを飼うなよ」でした。

中学のときの話を振るたびに「あたしどうかしてるね」と答えるナナもどうかしてると思いますが。
まあでも確かに、かなりどうかしてましたけどね、あの頃のナナ。

今ではもう、カラスと友だちになろうともしないし、あの頃ほどオシャレにも情熱を燃やしていないナナですが。
パン好きだけは変わらないようです。
でもナナ。


菓子パンは太るよ?(大きなお世話)





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