ナナとワタシ
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風邪を押しての長電話の末、「初日の出一緒に見に行こ」の言葉をナナから奪取し、場所と時間を調べておくという宿題を頂戴したわけですが。
日の出の時間なんて知りませんし。 このへんで、良い感じに日の出が拝める場所も知りません。 うちのほうって、ぐるりと山に囲まれてましてね。 早い話が、良い日の出を見るためには、高い建物や山に登らねばならないのでありますよ。
まずはネットで調べましたら、どうやら日の出の時間は6時50分頃らしいです。 場所もサクッと見つかってほしかったんですが、やはり山まで行かねばならなそうなところが多く。 ナナは車から降りることすら「寒い」と拒否しているわけですから、山をてくてくと登っていくなんて論外なのであります。
そこで、大晦日に実家に行ったついでに「聞けば(たとえそれがデタラメだろうとも)何でも答えてくれる」両親にたずねてみました。 初日の出見に行きたいんだけど、このへんだとどこが良いのかなあ?と。
「うちは毎朝キレイに見えるよ。居間からパノラマで見られるんだから。うちにおいで」 と、にこやかに父と母。 「あー、うん。それはわかっているんだけど」 「朝ごはんもつくよ?( ^ ∀ ^ )」<母 「あー、うん。でも、友達も一緒だから、もごもご」 「コーヒーもつくよ?( ^ ∀ ^ )」 「あー、うん。ありがとう。でも友達も一緒だからもご」
このままでは実家というアリ地獄に引きずり込まれてしまいそうです。 というわけで、自分で目星をつけておいた場所を挙げて、具合を聞いてみる戦法に変えてみました。
じょ「市内のS山なんてどうかなーと思うんだけど。駐車場から見えそうじゃない?」 母「ああ、いいんじゃない? でもすごく混むよー、あそこは」 じょ「あそこなら、車から降りずに見られるんじゃないかと思うんだけど」 母「そうねえ、角度によっては、って感じかな?」 父「いやいや、ちょっと待って。あのへんはH町あたりの山が干渉するんじゃないか?」 母「あ、じゃあM公園のあたりはどお?」 父「うん、あそこならいいな。そこにするといいよ」
M公園かあ。確かに良さそう。 しかし問題がありまして。
M公園というのは、市の斎場、すなわち焼場のすぐ下にあるんですよねえ。 ワタシはたとえ斎場だとしても気にしませんが、ナナはそういうのすごく怖がる人なのでアウトだろうなぁ。
なんて考えてましたら、父が地図を引っぱり出して「うん、やっぱりな!」とか聞こえよがしにつぶやいたので、一応つきあって「何が?」と聞いてみましたら。
父、蛍光ペン(ピンク)を取り出しまして 「いい? ここがうちね?」と。ピンクでぐりぐりぐりっと、実家の位置を記しまして。 「はあ」 「うちから朝日が見えるのが、A橋のあたりなんだ」と言いながらA橋をポイント。 「はあ」 「ということは、真東に日が昇るというよりは、こういう角度なわけだ」
ぴーーーーーっと、几帳面なことに、定規でその2点を結びます。
ここまでなりゆきを見守って、この親父また狂ってるとちょっと思ったんですが、まあおとなしく話の続きを聞くことに。
「で、同じ角度でS山から線を引いてみるだろ?」 ぴーーーーー。 「はあ」 「するとほら、やっぱりH町の山が干渉するんだ」 「なるほど」 「しかしこれがM公園のあたりだと」 ぴーーーーーーーー。 「ほら、すごく視界が開けてるだろ?やっぱりここだろう」
・・・別にそんな、ペンと定規をわざわざ取り出して地図を汚すほどのことをしなくても、さっきの説明で納得してたんですが。 父もせっかく得意そうに満面の笑みを浮かべておりますので「なるほど、こうするとよくわかるね」とお返事し。
しかし問題は、M公園だと駐車場に車を止めてから、視界が開けるまで少し公園内を歩かねばならないということですよ。 割と大きい公園、しかも木がたくさん生えているのが売りの公園なので、駐車場に停めただけでは、ただの真っ暗闇だと思うんです。 おまけに、日の昇らないうちの真っ暗な中を東の端まで歩いていくのは、ちょっとキケンでもあります。 ということを主張しましたら
「ではその手前にある、典礼会館に停めると良いよ。そこの東端に車を停めればよく見えるよ」と。
典礼会館と言えば、斎場のオマケみたいなもんですよ。 ワタシは怖くないですが、ナナは怖かろう。 ていうか、普通の人はイヤだと思うんですよね。山の中の焼場に関連する施設の暗闇に待機って、初日の出を待つというより、どっちかって言うと肝試しっぽいです。 そーゆー場所をにこやかに勧めるうちの親も相当オバケとか気にしないんだと思いますが。 「斎場ならいちばんよく見えるよなー」とか言ってますし。
で、ワタシはオバケとか気にしないと言っても、実はこの周辺でちょいと怖い思いをしたこともありましてね。 タマリンの会社に勤めていた頃、皆が止めるのも聞かず、やはり「やー、ワタシはそーゆーの気にしないから」と、この斎場沿いの道を通勤路にしていたことがありまして。 細くてくねくね、昼なお暗い山道を走り峠を越え(小さな山なんですが)、斎場を右手に見ながら家路へ、しかも丑三つ時に通るのはしょっちゅう、なんて毎日だったんですが。 ある日、3時をまわって仕事を終え、またいつものようにくねくねと山道を走り、斎場にさしかかりまして。 疲れていたせいか、何かちょっとイヤな気持ちになり、バックミラーを見てみましたら、斎場の前の道路が一面真っ赤だったんですよ。 ブレーキなんて踏んでいなかったので、ブレーキランプの赤ということは断じてなく、あたりには赤い光源のものなんてないんですが。 ちょうど真っ暗な中でブレーキランプを踏んだように、バックミラーに映る景色…というか、道路はまっかっか。 場所が場所だったもんですから、さすがにワタシもひえええええとなって、スピード上げて逃げようと思ったんですが、ここでスピードを上げて事故っちゃうと敵の思うツボなのかも!と、いったい敵ってなんだよという感じで思いまして、
「気のせい気のせい」
と思いながらマンションに帰ったという、ホロ苦い思い出があったりするのであります。
そのときは怖かったんですが、何しろ激務が続いていた折だったので「疲れていたのね・・・」ということで、思い出しても別に怖くなかったりするんですが、それでも次の日からはもうその道を使わなくなったので、やっぱり怖かったんでしょうね(°▽°)
そんないわくがあったのと、やはりナナが怖がるだろうということで 「典礼会館もできれば避けたい」と訴えましたら
「じゃあ、その下にある、新しくできた住宅地の東端に路駐しちゃえば? 斎場や典礼会館よりは低くなっちゃうけど、あそこもまだまだ高台だし、角度は良いだろう」と。
確か2年前に、仕事でその住宅地を訪れましてねワタシ。 当時はまだ造成し始めたところで、家もスッカスカでしたし、うん、車停める余裕、果てしなくありそう!とやっと光明を見いだしたじょりぃ。
両親に礼を述べまして、ナナにメールしましてね。 ええと、場所はとりあえず伏せてしまいました。 斎場に近いということで、ぐだぐだ言われるとめんどくさいので。てへ☆
あら。 初日の出を見に行ってきた話を書こうと思っていたのに、場所が決まったところまでしか書けませんでした。 ナナワタなのに、ナナの出番がないまま、次回へ続きます。
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