ナナとワタシ
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ストーカー。ストーキング。ストリーキングではありませんよ? 巷で大流行のストーカーですが、正しい意味はなんなんざんしょ。 ということで、困ったときのウィキペディアです。
ストーカー(英 stalker)は、特定の他者に対して執拗につきまとう行為を行なう人間を指し、その行為はストーカー行為あるいはストーキングと呼ばれ、典型的には、特定の異性に対して好意または怨恨を抱いてつきまとい等の行為を繰り返す者のことである。日本では2000年に施行された「ストーカー行為等の規制等に関する法律」(いわゆるストーカー規制法)により、ストーカー行為は犯罪と定められている。
怖いですね! ワタシはありがたいことに、今までストーカーに狙われたことはないです。 そして自分でもしたことはないです。 何しろ定義に「つきまとい等の行為を繰り返す者」とあります。 飽きっぽいワタシには無理です、無理。 でも16回くらいならつきまとう自信もあります。 どなたかワタシにつきまとわれてみませんか? やると決めたら16回くらいは執拗にきっちり行える自信があるので、ご期待に応えることができると思います。
そんな具合で、上記のような、ウィキに表記されるほどの立派なストーキングはしたことありませんが、 「今思えば、あれはされていることに気付いていれば気味が悪かったんじゃなかろうか」 というストーカーめいた行為に走ったことはあります。
相手はナナです。
ナナ、ホントにもう、あらゆる意味で「おつかれさま」といたわってやりたい、そんな気分です。 ワタシと知り合って運が悪かったね、ナナ。 でもこれからはワタシが幸せにしてあげるから!(まさにストーカー的発想)
あれはもう何年くらい前になるんでしょうか。 ナナとは音信不通だった頃です。軽く10年以上前です。 あまり詳しく言うとワタシの年齢が23歳だということがバレてしまうので伏せますが。 で、相変わらずナナのことは好きで好きで。会いたくてしかたなくてですね。 しかも、友だちだったか親だったかに、「ナナはちょっと前に結婚したらしい」と聞いて、「そうか・・・そうだよね・・・」なんて思っていた頃です。
しあわせにしてるのかなー なんて思ったりして。
とにかく、ワタシのアタマの中の中学生とか高校生のナナでなくて、「今」のナナに会いたくてしかたなくなってしまったのです。
しかし。
今どこで暮らしているのかすらワタシは知りません。
それでまあ、アタマがチキチキマシン猛レースの車並にオーバーヒートしたワタシは、ナナの実家に電話することにしました。生理前だったのかもしれません。 ちなみに、ご家族とはまったく面識がありません。 あ、おばあちゃんとは一度だけ会ったことがありますが。 ナナの部屋は離れにあったし敷地が大きかったせいもあって、何度も遊びに行っているというのに、ご家族と顔を合わせるということがなかったのであります。 ねえちゃんたちにすら会ったことありませんでした。 でも一番上の姉ちゃんの引き出しから野口五郎のレコードをたっぷりと発見してしまい、ナナとふたりしてなんとなく気まずくなったことはあります。なぜ五郎で気まずくなるのかわからない気もしますがわかる気もします。 スミマセンおねえちゃん。
という状況だったので、あたかも飛び込みセールスのような心持ちでナナの実家へ電話をかけるじょりぃ。 しかも、会社から。会社の電話で。携帯なんてなかったし。 当時も残業残業で、家に着くと電話するには失礼な時間だったものですから。 ていうか、休みの日まで待てなかったのか自分。 まあ、そこがストーカーのおそろしいところですよね( ^ ∀ ^ )
思い出せる範囲で、電話のやりとりを再現してみます。
「もしもし?」<ナナ母 「あ、ワタシ、中学のときにナナさんと仲良くさせていただいていたじょりぃと申します」 「はい・・・?」 お母様、ちょっと不審そうです。無理もありません。 「あの、同じソフト部だったんです。よくお邪魔して一緒に遊んでたりしたんですが」 「そうですか(微笑声)」 「ナナさんいらっしゃいますか?」 「ナナちゃんねー、結婚したので、もうここにはいないんですよー」
ええ。知ってます。
「あ・・・そうなんですか。・・・ちょっと連絡取りたいんですが、電話番号教えていただけますか?」
まるで友だちを狙った宗教の勧誘です。
自分でも「あちゃー」と思ったんですが、でもほかに為す術もなく。 ウソつく気なら、いくらでも体裁の良いウソはつけたんですが、後でお母様からナナに話がいったときに、それこそナナに警戒されてしまいそうなので、ここはストレートに行こうと決めておりました。
しかし、ナナのお母さんものんきなもので「はいはい、ちょっと待ってね」なんて言ってごそごそした後に、きっちり電話番号を教えてくれました。
さらにじょりぃ、「あの、結婚して、苗字は何になったんでしょうか?」と。 「○○です」 素直なお母様です。信用してくださってありがとうございます。 でもおかあさん、この女はこれからあなたの娘さんにストーカー行為をするために根掘り葉堀り聞いているんですよ!
丁寧にお礼を述べ、電話を切りまして。
その足で会社の情報部の部屋へ。そこにはどっさりと自社営業エリアの電話帳があるのです。 まだネットで検索、なんてなかった時代です。住所と電話と言えばタウンページ。そんな時代。
市外局番で居住エリアは搾り込めます。 あとは苗字と電話番号で住所が割り出せるはずです。 そうなのです。ワタシはちゃんとナナにコンタクトを取って会う気はさらさらなかったのであります。
ナナの住んでいるところを調べ、その近辺をこそこそうろうろし、遠くからナナの姿を見たかったんです。 会って話す勇気も電話で話す勇気もなかったのです。
ほーうら。 けっこう気持ち悪いでしょーう。 自分でもえらく罪悪感がありました。 ありましたが、住所はしっかりメモしました。旦那様のお名前も。
パパの名前を見たときの、あのときのなんとも言えない気持ちを忘れることはできません。 容姿も人となりもなーーーーんにも知らない相手の、電話帳に記された活字だけで、ワタシにはものすごい圧倒感と敗北感がありました。 ナナの夫に居座りやがって!と思うだけで、パパの名前の漢字すべてが憎たらしく思えましてね。 「変な名前!」とか思ったりして。(ごくごく普通の、良いお名前ですよ実際は) もうこのへんの心理からして、キモチワルイストーカーの素養バッチリという感じです。
さて住所がわかりまして。 もちろん、会社にあるゼン●ンの地図で場所をきっちり調べました。 ふむふむ。なるほど。このへんか。 もちろんコピーも取りました。会社の経費で。どうもスミマセン。
そしてここからがまたワタシの陰湿で性格の暗いことこの上なしなのですが、ワタシは休日にナナ宅のまわりをうろうろする気は毛頭ありませんでした。 なぜなら、パパがいるかもしれないからです。 そんなもんは見たくないのです。 できればコドモがいるところなんかも見たくありませんでした。 好きな人がう●こしてる姿なんて見たくないのと一緒の理屈です。 ワタシの夢・妄想を壊すようなものは排除したかったのでありますことよ。
平日の昼間、パパが絶対いない時間に「こそこそ」しに行きたい。 う●こなんていらない。
しかし平日の昼間なんて、ワタシだって仕事しております。 自分の机の下でちんまりと丸くなって毎日居眠りするようなグータラ社員でも、勤務時間中はきっちり会社に拘束されます。 みなさまもよろしかったら机の下での居眠り、試してみてください。 ワタシはそのシチュエーションで何度も社長に目の前に立たれ「じょりぃはどこだ?」とかやられましたが、一度も見つかったことはありませんでした。会社の中の死角、それは自らの机の下にあり。 ただし見つかれば普通にクビにされるかもしれません。
話がそれました。
机の下で居眠りしようとも、さすがにズル休みしてまでストーカーまがいのことをしようとは思わないじょりぃ。 ここが犯罪者としてのストーカーとなるか、ただの覗き趣味なへたれストーカーもどきとなるかの運命の分かれ目だったのかもしれません。 と、相変わらず適当なことを言ってますが。
そんなワタシのもじもじとしたストーカー魂に火をつけるようなことが起きまして。
ワタシは内勤で、外に出ることはあまりなかったのですが、「喋れる内勤」はたまに営業さんの代わりに打ち合わせなどにかり出されることもありました。 ある日、「喋れて歌って踊れる内勤」だったワタシに、「おまえ行ってこい」な命令がくだったのであります。 目的の会社はナナの住む町にありました。
ち、近い。 これは行かねばなるまい。
そう決心したワタシは、肝心の打ち合わせを流れるようなトスレシーブアタックみたいな迫力で早々に終わらせ、地図を見ながらナナの住む場所へ向かいました。 案の定道に迷いました。もうお約束です。 これ、着けないんじゃないのーーーー(´д`)と諦めかけましたが、ここで諦めては立派なストーカーになれません。 この話のタイトルは「ストーカー入門」です。 立派にストーキングするのだ、当時のじょりぃよ。と無意味にエール。
そしてワタシはついに見つけたのです。 ものすごく奥まったわっかりづらい場所に建っているアパートを。 まわりはなんか、丈の高い草がぼーぼー生えているような田舎です。 こんな場所によく住んでるな!とびつくりしたんですが、反対側から正しい道を通ってくれば、大きい国道からたった1本入っただけの恵まれた立地だったことが後で判明。 こんなわかりやすい場所を探すのに、ワタシはなぜ小一時間もかかったのか。(会社に戻ってから「遅い!」と怒られました。当然です) なんかもうホントに、道なき道を通ってやっと辿り着いたんですよワタシ! 異次元でも走っていたんでしょうか。
必要以上に長くなってしまったので、次回に続きます。
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