ナナとワタシ
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ナナはパトリシア・コーンウェル著の「検死官シリーズ」を、おもにワタシから借りて読みます。 なぜ読むかと言えば、ワタシがすすめたからであります。 なぜすすめたかと言えば、当時まだカミングアウトしていなかったワタシとしては、主人公ケイの姪「ルーシー」に対する感想を訊きたかったからです。 なぜそんな感想を訊きたかったかと言えば、ルーシーはレズビアンだからです。
つまんない理由。
そのほかに、もちろん「おもしろいから」ということもありましたけれど。 でも最近、どうもイマイチ感が強いです、ワタシ的には。
さて、ここまでが伏線その1です。
上記のような流れがあり、ちょっと前にサウナに一緒に行くことになったとき「『黒蠅』持ってきてね」と頼まれたのでした。 「黒蠅」は、ワタシが持っている中ではもっとも新しいものです。(実はワタシはまだ読んでいません)
確か上下巻であったはずなのに、上巻しか見つからず。 あれ? そういえば、なっちゃんが先に読んで「イマイチだったー」と言っていたから、まずは上巻しか買わなかったのだろうか。 思い出せませんが。 うっかりどこかにやってしまった、ということもワタシなら十分考えられますし。
で、上巻だけ持ってサウナへ。 ナナに手渡しながら「下巻が見つからない。探しておく」と伝えますと、 「また上下巻かよー」となぜかイヤな顔を。 イヤなら読まなきゃいいのに。わけわかりません。
ここまでが伏線その2です。
その2日後くらいにナナからメールが。
コーンウェルの「業火」と「警告」と「審問(上下)」ってじょりぃから借りてないよね? ちなみにシリーズの最初から「私刑」まではもう返してあるよね? それで「接触」と「黒蠅(上)」を借りてたのだよね? 忘れてると思うけど。 めんどくさい作業だけど、どうか思いだしてください。
変なメール。
わかった。でも今外にいるから、家に帰って本棚を確認してみないとわからないよ。 待てる?
うん。全然待てる。後でもいいよ。ありがとう。
で、そんなこと、ワタシは忘れておったですよ。 それよりも「早く『黒蠅』の下巻を探して貸してあげないと、上巻読み終わっちゃったらかわいそう」ということのほうが気になっておりました。勝手に。
そして、「近いウチに届けてさしあげよう」と勝手に予定し、勝手に下巻を新たに購入していたじょりぃでありました。
ここまでが伏線その3です。
さて、そして今日。 いよいよ本題です。すみませんねえ伏線ばっかりで。
本日ワタシは会議でとなりのとなりのとなりの市まで出かけておりました。遠かったです。 帰りにナナの家の近くを通るので、ついでにお届けしよう、と勝手に思っておりました。 いないならいないでいいや。ポストに入れておこう。 読みたい本がいつまでも読めないのって、なんだかジリジリしちゃいますものね。 ああ、やさしいな、ワタシ。
会議に出かける前にナナの家に電話。
留守。
いいや。会議終わってからまたかけてみよう。 携帯まで追いかけて話す用事でもないですし。
そして会議が終わり、ナナに電話。
あ、今度はいました。
「あの、今会議で○○市に来てるんだけどさ、帰り道にあなたの家の近く通るから、 黒蠅をお届けしますけど。あの、そっちの都合が良ければだけど」 「あ・・・・。うん。 何時頃?」
なんか迷惑そう?
この時点でワタシの心は勝手に塞ぎます。 ここのところまったくもって放っておかれていたので、そもそもちょっぴり腐ってはいたのですが。 だからといって自分からは電話しない、ナナに対してはすっかり気の小さいじょりぃ。
「1時間後くらいかな」 「 もしかしたら、ちょうどその時間に出かけてるかも」 「ああ、ならいいよ。 本が貸せてなくて気になっていただけだったから。じゃあポストに入れておくね」 「や、それが、ええと 下巻はパパの会社から借りて読んじゃった」
なにーーーーーーーーーーーーー!?
「え! そうなの?」 「ゴメン」
買っちゃったのに! 勝手に。
「言ってくれよーー」 はっ。男言葉になってるワタシ。 怒っているのかしら。 「ゴメンゴメン。 ・・・ところで、どの本があたしから返ってきてないか調べてくれた?」
知らねえよ!
なんだい、自分のことばっかり。(それはワタシか)
「調べてない」 「めんどうなこと頼んで申し訳ないんだけど、調べてもらえないかな。 本棚見ればわかるんでしょ?」 「わかるけど。 そもそも、なんでそんなちまちましたこと知りたいのさ」 「ええと。(<言いづらそう) パパの会社からも借りていたので、どちらに何を返すべきかわからなくなってしまったのでした」
知らねえよ!
「ふうん」 「ゴメンナサイ」 「調べておくよ」 ウソ。調べません。勝手に困りやがれ。 「スミマセーン」 「・・・じゃあ、用事はなくなったし、寄らずに帰るから時間気にしないで出かけてください」
ちょっととげとげしい言い方になってるかもワタシ。
「うん・・・・ねえ、今週の土日って忙しいの?」 「今のところ予定はないけど」 「次女ちゃんがね、修学旅行のおみやげ、じょりぃにも買ってきたの。それ渡したいんだけど」
次女ちゃんが修学旅行! 初めて会ったときは2年生だったのになあ。 ワタシにもおみやげ買ってきてくれたの? 嬉しいなあ。
と思う余裕もそのときにはなく。
「そう」 <ビミョウに礼儀知らず 「土曜日どうかな? じょりぃが家に来るのでも、ウチがじょりぃんちに行くのでもいいんだけど」
「あたしが」でなく「ウチが」ということは・・・?
「みんなで来るの?」 「うん」 「ワタシがそちらにうかがいます」 子供らも一緒に来られちゃめんどくさいです。 「わかった」 「明るいうちは無理だよ。仕事あるし。夜でもいい?」 「土曜日なら、次の日休みだから、大丈夫だよ」 「わかった。じゃあ、土曜日にうかがいます」 「うん。じゃあね」
終了。
今までなら、仕事休んでも早い時間から遊びに行ったんですが。 放置されすぎなせいで、ナナへのテンションがかなり下がっているワタシ。 今ちょっと他に心配事があるせいで、そのことに対するやつあたりもあったかもしれません。
とにかく。
電話を切った後、ワタシったらなぜか腹が立っちゃって腹が立っちゃって。 今考えてみれば、まったくもってワタシが腹を立てる理由ってないんですけれど。 そのときは「ナナなんて大嫌い!」という気持ちでございました。(生理前でもないのにな)
何がいちばん腹が立ったって、「下巻買っちゃったよ!バカだな自分!!」ということ。 ていうか言えよ! こっちはずっと心配してたんだよ!(勝手に)
あーーーーーーーおもしろくなーーーーい。
土曜日もキャンセルしちゃおうかな。 次女ちゃんには悪いですけど。 ワタシも何かと忙しいですし。 別に無理して会ってくれなくてもいいですよーーてなもんです。 うん、土曜はキャンセルしよう。 ナナのこともきっともうあんまり好きじゃないんだワタシ。 あーよかった。 へっ。 ザマミロ。<誰に言っているのでしょうかワタシ
ナナの家に寄る用事がなくなったので、別の懸案に時間を割かねばと、道を変更しまして。 しばらくぶぶーーーーーーんと車を走らせておりましたら、携帯電話が鳴りました。 ナナからです。
「もしもし?」<低い声なワタシ 「ね。 今どこ?」 「は?」 「あのね、出かけなくてよくなったの。 ねえ、もうウチのそば通り越しちゃった?」 「ていうか、他に寄るとこあるので、道を外れてしまった」 「じゃ、もうウチに寄れない?」 「うん。無理だね」<ぷんすかしながら
そうしたら、ナナ、
「なーんだ」
と、すごーーーーーく拗ねた声を出しまして。
騙されちゃいけない。 これはナナの手です。 ワタシがぷんすかしていたことは、カンの良いナナなら絶対わかっていたはずです。 ちょっとゴキゲンとっておかなくちゃマズイよな、と思ったに違いありません。 だから、この拗ね声は、計算ずくの声なのです。 わかってるんです。 わかってるんですが。
めろめろめろ〜〜〜〜ん。
じょりぃ、ゴキゲン復活。
「ならしかたないね。ゴメンね、今頃こんな電話して」とナナ。 「いや、あの、わざわざどうもありがとうございます」 <車の中でお辞儀しながら。 「じゃあ、土曜日にね」 「うん。ありがとう」 ぺこぺこ。 「気をつけてね」 「うん。あの、どうもありがとう」 ぺこぺこ。
「ありがとう」を覚えたての九官鳥じょりぃですカァカァ。 と言いたくなるほどのこの語彙の少なさはいったいなんという会話でしょうか。
用事を済ませて家に着き、まず最初に本棚に向かい、検死官シリーズのチェックをし、 いそいそとメールするワタシは本当に愚者です。グシャ。
とはいえ。
今現在、ナナへのテンションは、確実に低下中でございます。 最近低下中なことが多いなー。 そろそろ潮時なのか? って、なんの潮時だ?
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