ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2005年04月06日(水) こどもの日

ナナに会ってきました。

温泉旅行が流れてしまって、さらにしばらくは遊びに出かけられないと言われ
「ちぇ」と伝えましたら、笑いながら
「じゃあ、その日に家に来る?」と誘っていただけました。たぶんお情けで。

「でも家に来るとさー、結局子供の相手ばかりになっちゃうからさー。
 それじゃイヤでしょ? 疲れるし」とナナ。
「ううん。しばらく子供らにも会ってないし。ゆっくり顔が見たい」
「じゃあ覚悟してきてね。春休みでパワー余ってるからあの子たち(笑)」


パワー余ってました。


ナナの家に着いたら、ナナは末子ちゃんを迎えに出かけておりまして。

ピンポンを押すと、長女ちゃんが迎えてくれました。

「あれ? おねえちゃんひとり? 次女ちゃんは出かけてるの?」
「いるよ。2階」
「あ。そうなんだ」
「降りてこないと思うけどね」
「どして?」
「あたしの強烈な蹴りが入って泣いてるから」

余ったパワーで妹を蹴るな。

「蹴ったのぉ?」
「だって、次女の奴、あたしに対して言ってはならないことを言うんだもん。当然だね」
「そうなの?」

まあ、姉妹ゲンカというのは、その家その姉妹のルールがございますから。
ふたりとももう、何もわからない子供ではありませんしね。
じょりぃには治外法権でございます。 長女ちゃんもバツが悪そうですし。これ以上つっこまず。
日頃仲がいいのもわかってますし。


で、まずは長女ちゃんのエピソードを。

「じょりぃちゃん、コーヒー、薄いのと濃いのどっちがいい?」と長女ちゃん。
「濃いの」
「わかった」
「え? 入れてくれるの?」 しかも味の好みまで訊いてくれて・・・。
「うん」
「わあ、嬉しいなあ。 ママよりやさしいじゃん(笑)」
「あったりまえじゃん! あの人よりやさしくないようじゃまずいよそれマジで(笑)」

まあ、まずいよなそれマジで。
というのは半分冗談ですが。

しばらくして。

「じょりぃちゃん、どうしよう! マジで濃くなっちゃったみたい!」
「だいじょうぶだよー。 いくら濃くても」
「えー? ・・・マジでこれ、飲めるのかなー・・」
「だいじょぶだいじょぶ」

出されたコーヒーを飲もうと、ちょいとクチに含みましたら。

むむ!

飲めないかも。

なぜなら。


コーヒー豆挽いた粉が、お湯の中にそのまま入っていたのでした。
粒々が自己主張するかのようにつぶつぶと浮いております。


たぶん、コーヒー嫌いな長女ちゃんはコーヒーなんて自分でいれたことがなくて、ママがいつも使っている缶を見つけ、ココアとかを作る要領で作ってくれたのでしょう。

せっかくだしな。
確か、こんな風にして飲むコーヒーなかったっけ?
飲んで飲めないことはないかも。
要は、上澄みだけを上手に飲めばよいのです。そおっとね。


そおっ。    じゃりじょりじゃりざらざらつぶつぶつぶぎゃああああ


無理でした。 マジで無理。
あっという間もなく、口の中は挽いた豆でいっぱいに。 少ししかクチに入れてないのになあ。

ティッシュに豆を出しながら、ちょっと悩んだあと、長女ちゃんに告げました。

「長女ちゃん、あのさ」
「やっぱ濃いでしょ?! どうしよ!」
「いや、味は非常に良いよ。とてもおいしい」
「ホント?」
「でもね、このコーヒーって、濾紙のようなものでつぶつぶを濾して、液体だけを飲むのだよ。粒は溶けないのだ」
「きゃははははははははははは」<ママと同じ笑いかた <恥ずかしくて大笑いしたらしい
「(笑)コーヒーフィルターって、どこにあるかわかる?」
「いいよじょりぃちゃん、飲まなくて」<恥ずかしそう
「味はいいのだ。もったいないのだ。飲みたいのだ。フィルターさえあればいいのだ」
「えー? どこにあるかわかんないよー」

しばらくキッチンを探してくれていた長女ちゃんですが、フィルターというものを知らなければ探しづらいでしょう。

「ね。キッチン入っていいかな」とワタシ。
「うん。いいよ」

不用意にキッチンに入られる「ひえーー」感はワタシにもよーくわかりますので、ナナを気遣って流しのほうは見ないように、ありそうな棚だけに目星をつけて。
ちょっと探してみたけど見つかりません。

「じょりぃちゃん・・・・・これじゃダメ?」

長女ちゃんが手にしていたのは、キッチンペーパーでした。
じょりぃちゃんも、そろそろそれで手を打とうかなと思っていたのだよ。

「いいと思う」

協力しながら、別のカップにキッチンペーパー越しに粒々入りコーヒーを注ぐふたり。
ちょろちょろとやっておりましたら、ナナと末子ちゃんが「ただいまー」と。
長女ちゃんとワタシ、キッチンから「おかえりー」

「ちょっと! じょりぃ、キッチンにいるの?」 案の定慌てているナナ。
「ええ。諸事情により。スミマセン」
「すげえ散らかってるのにーー!!!! やだ! 見た?」
「見てない」
「ウソだーーーー」 
「見ないようにした。見てないよ」 見えちゃったけどさ。洗い物たまってましたね。
「あーーん、もーーーーー。    ・・・ま、いっか」 <開き直った模様

その後、うすーーーい色のぬるくなったコーヒーをすするじょりぃ。

「んまーーーーい」
「ウソだーーー」<長女ちゃん
「いや、ホントにおいしい。初めて飲む味だけど(笑)」
「なに飲んでんの?」とナナ。

長女ちゃんがなりゆきを説明しましたら「おいしいわけないじゃん!(笑)」とナナ。
「いや、それが、おいしいのだ」
「残していいよ」と長女ちゃん。
「おいしいよ。 飲んでみる?(笑)」
「げろまずそう。 絶対いらない」

まあ、確かにフツウのコーヒーとしてこれが出てきたらおいしくないかもしれませんが。
偽善チックでアレですけど、なぜだかホントにおいしかったのだよ長女ちゃん。
久々に、ココロで味を感じましたよアナタのおかげで。


さて。
いちばんパワーの余っている末子ちゃんが帰ってまいりましたので。
ママゴト開始。

「あたしはおかあさんね?」
「はい」
「この子はたくみ」人形A
「はい」
「この子はいつもどおり、じょりぃちゃんが動かすのね?」
「はい」
「この子はえみりーちゃん」人形B
「はい」
「この子は赤ちゃんで寝てばかりだから、動かさなくていいから」
「はい」
「じょりぃちゃんはパパね?」
「また男の役ー?」
「わがまま言わないの!」
「・・・はい」

と、ごくフツウにスタートしたママゴトだったんですが。
じょりぃパパが「もう働きたくない。会社やめた。仕事が見つからない。ママ、食わせて」とヒモ亭主状態になった頃から、家庭が荒んできます。

まず、末子ママが働きに出ることになりました。外科の女医さんです。すげえ。
「じゃ、あたしは仕事に行ってきますから。パパは仕事ないなら、洗濯しておいてくださいね」
「洗濯って、できないよー」
「もう! 裏に川があるでしょ? そこで洗えばいいから」

いったいナナは日頃どんな洗濯をしているのでしょうか。

「できるかなー」とワタシ。
「干すところまでやってね、ちゃんと」
「干せない」
「干しなさい!」 こわっ
「ねえママ。今日はいくらくらい稼いでくるの?」
「そうねえ・・・6千万かな?」
「6千万?!」

なんて素敵な女房でしょう。
ていうか、もしかしてワタシの嫁は、ブラックジャックなんでしょうか。

「ねえじゃあさ、ぼくにもおこづかいくれる?」 ヒモ亭主らしい発言をしてみました。
「いいわよ。 じゃあ、半分こで、5万円あげる」

計算が合ってませんが。それともわざと間違える賢い嫁なんでしょうか。

嫁さんはテーブルの上で手術をしております。
手持ちぶさたなヒモ亭主じょりぃは、嫁さんに電話しました。

「ぷるるるるる ぷるるるるる」とワタシ。
「はい? もしもしー?」
「あ、ぼくだけど」
「もう! 仕事中よ! 大事な手術してるんだから!」
「ゴメンゴメン。  ねえ、おなかすいちゃったんだけど、いつ帰ってくるのー?」
「あーーん・・・ちょっと遅くなるからー、あなた、子供達につくってあげて」
「何も作れないよ」
「もうあなた!なんにもできないんだから!」 ああ、耳が痛い。
「おなかすいたー」
「じゃあ、イモがふかしてあるから、とりあえずそれ食べててー?」
「イモー?」
「じゃあね」

ここでナナがキッチンからきゃはははははと「ふかしイモかよーー」と。

しばらくして、また嫁さんに電話をかけるじょりぃ。

「何回電話するのよ!」 この嫁さん、おこりんぼだなあ。
「ごめーん。 おなかすいたー。いつ帰ってくるのー?」
「んー・・・今日は遅くなるの。飲んでくるから」<超気取った声で
「えーーー?」
「彼氏とデートしてくるし」
「え! 彼氏がいるの?」 ひどいなあ。
「ごめんねーー」
「いいけどぉ・・・おなかすいちゃったよー」
「ごはん炊いて」
「炊けないよー」
「あんたってホントにダメな人ね!」

ついに「あんた」扱いになりました。

「お吸物があるからそれ飲んで」ちょうど長女ちゃんがお吸物飲んでいたのです。
「お吸物だけー?」
「んもうーーー。 乾燥イモでも食べてなさい!」
「またイモ?! っていうか、なんで乾燥イモ?!」

ここでまたキッチンからナナが大笑いしつつ

「末子、外でそんなこと言わないでよねー。おそろしー」と。
「末子ちゃんちのママ、夕飯に乾燥イモ出すんだって思われちゃうじゃん、困るよーーーー(笑)」と。

それは困るだろうな。
ていうか、アナタ、実際出してたりして。

その後、飲み会の帰りに送ってきてくれた彼氏を紹介されるヒモ亭主。
さらにまた別の彼氏と旅行されてしまい、子供の世話を押しつけられ、離婚まで言い渡されました。
でも、離婚後も毎日おこづかいを5万〜60万円くれました。
ぐうたらヒモ亭主にはけっこう理想的な嫁かもしれませんね。


夜になって末子ちゃんが寝てから、やっと次女ちゃんの出番です。

次女ちゃんは映画「呪怨」のビデオを見てから、ひとりで家にいられなくなり、夜もひとりで眠れなくなってしまっているのですが。

「だってホントに怖いんだよーー。としおくん」

から始まって、1時間以上呪怨について解説してくれました。
ちなみにワタシもナナもまだ見ていないんですよ、呪怨。
テーブルの上に出ていた消しゴムやらハンドクリームやらを人間や物に見立て、ものすごく細かいディテールまで話してくれます。
ホントに細かいんですよ、話が。

が、次女ちゃんの本当にすごいところは。

ナナとふたりで感心したのですが、ここまで詳しく話してくれながら、
「呪怨」という映画のストーリーがまったくわからなかったという事実です。
将来は映画解説者にどうだろう、とナナと話したりして。


「ねえ、せっかく次女ちゃんがこんなに詳しく教えてくれたんだからさ、
 ひとうひとつのシーンを共に確認しようじゃないか」 ワタシはナナに言いました。
「どゆこと?」
「今度一緒に見よ。 呪怨」
「(笑)まあいいけど」

ありがとう、次女ちゃん。
いっこデエトの約束ができました。
(あ、でもナナ、コワイ映画ダメだったはず・・・流れるかなこりゃ)

そして、このときってナナと次女ちゃんとワタシの3人だけでコタツで話していたのですが。
なぜかたまたま、ナナがワタシのとなりに並んで座っておりまして。
幸せでございました。 この程度のことですが。
次女ちゃんがおもしろいことを言うたびに、ナナがいちいちワタシの顔を見て笑ってくれるのもこの上ない幸せでありました。


って、ホントはこの日のこの時間は温泉でまったりしているはずだったんだがな。
おかしいな。


子供達に気兼ねし、心配しながらふたりで温泉旅行するかわりに、
お子さま万歳モードで遊び倒した一日。


ふむ。
今回はこれで良かったのかも。
(自分を納得させるのが得意なじょりぃであった)



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