ナナとワタシ
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久々にナナから電話。 一週間ほどメールのやりとりもなかったのでございます。
で、よもやま話など1時間ほどしまして。 「明日、きょんと東京にお出かけなんだ」と話しましたら、「じゃあもう寝ないとね。切るね」と言ったものの
「実はあたし、気になっていることがあるんだけど」とナナ。
「何?」 「んーー・・・・・でもいいや(笑)」 「なんだそれ。気になるなあ。話してよ」 「長くなるから、また今度。明日早いんでしょ?」 「気になるから話して」
「じょりぃさ、きょんさんのこと、大好きなんでしょ?」 「うん」 「それってさ、ふたりは恋人同士ってことなわけ?」
何を今さら。 この人、ワタシの話をちゃんと聞いていないんでしょうか。
とはいえ。 炭火のような恋愛感情はありますけど。 恋人同士というよりは、家族に近い感じ?と、きょんにも言われたことがあるし。<ちょっとさびしい
「ううううん・・・・・そうだね。 どちらかというと家族愛になってきちゃってはいるけど・・」 「家族愛なの? 恋愛感情はないの?」 「 キミは? パパに対して恋愛感情ってあるの?」
ワタシがナナにこの質問を放ったのは。 以前ナナが「パパに対して恋愛感情はもうない。情とか家族愛は強いけど」と言っていたことがあったので。 それを引き合いに出させてもらおうと思ってのことだったのですが。
返ってきた答は 「あるよ」
「え? あるの?」 「そりゃあるよ」 「へーーーーえ」
なんだなんだ。 ウソツキ。
「前はないって言ったよ」<ムキになるじょりぃ 「言った?」 「うん」 「言ったのか。 でも、なくなっちゃっても困るでしょ?」 「ふうん」 「楽しくなくなっちゃうじゃん。だから、好き好き!って思おうとしている部分はあるよ」
言い方を変えやがったな。
「ねえ、もしさ、できるならきょんさんと結婚したい?」とナナ。 「結婚? しないと思うよ」 「どうして?」 「ワタシは今のこの状態が気に入ってるんだ。 なんの約束も保証もないけど、キモチひとつで一緒にいられているというのが、 ワタシにとってはすごく意味のあることなんだよ」 「・・・・・・・・」 「法的に護られていないし、結びつきを証明するものがないから、 好きと言うキモチがなくなっちゃえばすぐに離れられちゃうじゃん?」 「うん」 「でも、今日一緒にいるということは、とりあえず、今はお互い必要としているっていう感じで、 ワタシには約束事よりそっちのほうがよっぽど信用できるんだよね」 「そうか。 なんか、うらやましいな」
あら意外。 そんな不安定さは、ナナには論外だと思ったのですが。 うらやましがられてしまいました。
「明日には別れてるかもしれないのに?(笑)」 「うん。 うらやましい。 そういうこと考えたことなかったけど、やっぱりあたしとパパのつながりより、 じょりぃときょんさんのつながりのほうがずっと深いし強いと思う」
やったあ勝った。 という問題では全然ないわけですが。
「あとさ、もっと言いづらいことがあるんだけどさ・・」とナナ。 「なに?」 「うぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・」 「・・・す、すごく言いづらそう・・・」 「・・・こないだ一緒に出かけたときにさ、じょりぃがきょんさんのことグチったじゃん?」 「ああ、グチったというか、話の流れでそうなったように思うけど」 「まあとにかくグチったのだよ」 「はい」 「このあいだだけでなく、よくグチるのだよ」
最低ですワタシ。
「そうかもね」 「そのたびにあたしは『なんで一緒にいるわけ?』と思うのだよ」 「なるほど」 「特にこのあいだの話はさ、あたしとしてはさ、 ええと 」 「?」 「きょんさん、イヤな人じゃん、と思ったわけだ」
ホントに最低ですワタシ。 イヤな人はきょんでなくてワタシだと思います。
ということをまずお伝えし。
「ゴメン。キミならいいかと思って、油断して余計なことまで話しすぎた」 「油断したのか」 「うん」 「じょりぃがグチ言うのも、なんかすごくイヤなのあたしとしては」 「(むっ) パパは年中言ってるじゃん」 余計な一言をまたワタシは。 「パパはそういう人だと思って聞いてるからいいんだよ。 じょりぃはグチ言うような人じゃないと思ってるから、聞くとショックなの」
ワタシを買いかぶってますよアナタ。 そりゃパパみたいには言わないけど。
「じゃあもう言わない」 「言いたいならしょうがないけど。 あたし、 ええと、 じょりぃのこと、すごい人だと思ってるし、尊敬もしてるのね」 「どうも」 なんだ突然。 「そういうとこ見たくないのかも。きょんさんに大切にされてない感じも腹が立つし」 「あれはあれで、彼女なりに大切にしてくれてますが」 「でもさ、きょんさんのイヤなところってじょりぃ、いっぱいあるみたいじゃない? いいの?それで」 「それはお互い様なんだよね。 向こうもワタシのこと大大大大ッキライ!って思ってるところいっぱいあるし。 お互いけっこうそれを口に出すから、ケンカも多いけど。 でもいいところもいっぱいあるわけじゃん?」 「うん」 「きょんはワタシと比べると信じられないくらいやさしいしさ。 いつもはイライラしてグチの原因になる、無神経なとことか物事を深く考えないとことかも、 ワタシにはものすごく救いになることも多くてさ」 「うん」 「一緒にいてくれるのがきょんでなければ、ワタシは早々に神経を病んでいたと思うよ。 ワタシと同じような、考え込むタイプでなくて、総合的にはワタシ、すごく救われているんだよ。 でも、日常のささいなところで、あまりにも違うタイプの人間なので衝突は起きてしまうわけだ」 「そうか」 「でも、一緒にいると、すごく楽しいんだ」 「そっか。 じゃあさ、 もう一人の好きな人とは、一緒にいて楽しいの? 安心できるの?」
ぎく。 というか。
もう一人の好きな人って、「あたし(ナナ)」ってことでしょ?
ワタシがハッキリ言ってないからとはいえ、なんか変な会話。
「ええと・・・・・楽しいけど、緊張する。まだ」
リラックスとは遠い位置にあります。
「(笑)緊張するのか」 「うん(笑)」 「その人ときょんさん、どっちのが好きなの?」
え。
「 ちょっと 比べられない」 「比べられないのか」 「違うものなんだもの。 ありかたが」 「ふうん」
でも。 そんなこと聞いてどうすんのアナタ。 意味ないじゃん。 そっちにその気がないんだし。 自己満足用? というか、「好きな人ふたり」というのがナナ的には「?????」という感じなんでしょうけど。 おまけにワタシったら、「好きな人」に別な「好きな人」のことを、自分がいかに好きかと熱心に話しているわけですし。 まあ、無理もないかもしれません。
「きょんさんはさ、その人のことじょりぃが好きって知ってるの?」 「知らない。話せない」 「どうして?」 「ワタシにきょんと別れる気がない以上、知らせたくないですねやっぱり。ずるいですけど」 「きょんさんは知るとショックなの?」 「(笑)と思うけど」
このあいだもそんな話してませんでしたっけ? この人、ワタシとの会話って覚えていないんでしょうか。 いつも寝ぼけながら話してるんじゃねえのかこらヽ(`Д´)ノ
「じゃあさ、 もしその人がじょりぃと一緒に暮らしたいって言ったらどうするの?」
ぎくう。
その気もないのに、どうしてそういう意地の悪い質問を振ってくるのか。
「ちょっとありえないので、無理に考える必要もないと思う」<逃げてます 「ありえないのか」 「ありえないと思う」
ありえないくせに。 試すようなこと言うな。
ていうか、もしかして、未だにマジで「その人」が自分だと思っていないのかしら。 あそこまでやりとりしておいて?
でもまあ、「あたしじゃないのかな?」と思えばそのようにも受け取れるやりとりだったわけで。 もしかして、本気でわかってないのかしら。
ここで話は変わって。
「あたし、じょりぃにいつも怒られてる気がする」と。 「え? 怒ってないじゃん」 「怒ってるよ」 「怒るかぁ?」 「今日も何度か口調が変わった」
この人はワタシ相手に何を怯えているのでしょう。
「一生懸命説明しようとしてるときは口調が変わってるかも」 「そうじゃないよ(笑)。怒ってるんだよそういうときは」 「怒ってないよ」 「怒ってるよ。それにたまにいじけたり拗ねたりするでしょ?」 「う・・・・それは」 「あたしがじょりぃの思った通りにならないと、イヤなんでしょ?」 「それとはまた違うよ」 「違くないよ。 あたし、そのへん、すごく気にしちゃうんだけど」 「気にしないでよ」 「例えばさ、なんか、心配かけないといけないんじゃないか、って、いつも思っちゃうの」 「(笑)なんだそれ?」 「 なんかさ、こう、いつも『ダメなあたし』でいたほうが、じょりぃは嬉しいのかな、とか」 「心配はしたくないです」 「でも、頼られないとさびしがるでしょ? 拗ねるでしょ?」 「頼りになると思われたいという希望はあるけど・・・・」 「なんかさ、心配事はいちいちじょりぃに報告しないといけないような気がしちゃうのよ。 ひとりで心配して、ひとりで解決するとさびしがるんじゃないかと思っちゃうんだよ」
この人、へんなところですごく人に気を使いますね。
「そんなにおかしなところで気を使わなくても」 「でも『自分がいなくちゃダメなあたし』でいてほしいと思ってるでしょ?」 「それはないよ」 そのことについてはきっぱり。 「そうなの?」 「ワタシは自立している人が好きなんだもの。 自立心・独立心がしっかりある人が好き」 「じょりぃを見てると、そうは思えないんだけど。 いつも誰かに頼られてて、それを支えに生きてるような印象を受けるんだけど」 「ワタシがどうしてきょんを好きかって、きょんは今日にでもワタシがいなくなってしまっても、 きっとしっかり生きていくだろうという強さがあるところがポイント大きいんだよ。 というくらい、ワタシがいなくても平気な人が好きだよ」
ここできょんを引き合いに出すのもアレですね。 と、今これを書きながらは思うのですが。 このときは説明に夢中で無神経さに気付きませんでした。
「そうなんだーーー」 <本気で意外そうなナナ。 「そんなさー、わざわざ心配かけるようなサービスはしなくていいです」 「・・・・・・」 「だいたい、『オレがいなくちゃダメなママ』が好きなのは、パパじゃないの?」
ワタシもイジワルですが。
「そうだよ。 パパはダメなあたしじゃないとイヤなんだよ」 「ワタシは違うよ、パパとは」 「 わかった」
無言。
「とにかくさ、そんな変な気の使い方をしないでよ。 自分で『あたしは気を使わないから』って言ってるくせにさー」 「だって、現実にじょりぃはいじけたり拗ねたりするじゃん。 じゃあそういうときは、あたしはどうしたらいいの?」 「放っておけばいいじゃん。勝手に拗ねてるんだから。キミのせいじゃないんだから」 「放っておいていいの?」 「そりゃ放っておかれればさびしがるんだろうけどさ。 そこまで気にしなくていいんだよ」 「・・・・あたし実は拗ねられると弱いんだよ」 「弱いのか」 「パパも長女もよく拗ねるんだけど、拗ねられると、あー!うざい!と思いながらも、 どうしようと思って悩んでしまうのだよ」 「自分が悪くて拗ねてるんでなければ、放置でいいんじゃないの?」 「できないんだってば」 「でもさー、そんな風に気を使っていたなんて、けっこうショックだ」 「・・・・・・・」 「これからも、電話がくるたびに『ワタシが拗ねないようにかけてきたのか』と 疑わなければならない。旅行も、お出かけも、すべて」 「いつもいつもそうなわけじゃないよ」 「でも、今までいくつかそういうことがあったわけじゃん。 それって屈辱的だ。 ワタシに失礼だよ。 気を使っていた割には」
キツイですねえワタシ。
「・・・スミマセン」 「ムダじゃん」 「え?」 「そんななら、キミにとってワタシってムダだよ。 意味なし」 「違うよ」 「旅行行こうとか遊びに行こうとかも、ワタシに気を使って言ってるのなら、 もう言わなくていいから」 「そういうのは気を使ってないよ。使っちゃうときもあったって話じゃん。 今日だって、話すことも用事もないけど、 ええと、 どうしてるかなと思って、 それだけで電話したわけだし」 「・・・・・・」<さっそく拗ねてるんじゃんワタシ。 「そんな風に思われちゃったらあたしだってさびしいよ」 「じゃあ、もうその気遣いはやめてくれる?」 「うん」 「ワタシも拗ねないようにするけど、拗ねたら放置してくれていいから。 そんなのこっちの傲慢さとかわがままなんだからさ」 「わかった」
「あたしさ、どうしてそんな風に変に気を使っちゃうかと言えばさ」 「うん」 「相手が期待してるあたしじゃないと気付かれて、ガッカリされるのが怖いんだよ」 「・・・・・・・」 「他の人はどうでもいいの。 でも、パパとか子供たちとか(パパの)親とかじょりぃとか、 あたしが大事に思ってる人の期待に応えられないと、なんか、怖いの」 「・・・・キモチはわかるけど」 「あたしがあたしのやりたいようにやって、 あたしのすべてをさらけ出した(笑)状態でさ、 全面的にあたしを受け入れてもらえるはずがない、って思うのね」 「ワタシは受け入れるよ」
しゃあしゃあ。
「(笑)無理だよ」 「そうかな」 「だって、じょりぃの中であたしは、じょりぃの理想像に勝手に仕上がってる気がする」 「そんなことはないと思うけど」 ありそうですけど。 「あるんだよ。 既にすごくイメージされちゃってるものがあるんだよ」 「・・・・それはあるかもね」 ブランク長かったし。 「で、あたしは、そこから外れたら、 なんていうのかな、 ・・・じょりぃがもう ええと 友達でいてくれなくなっちゃう気がして、怖いんだよ」 「(笑)それはないよ」 「あるよ」 「ないよ」 「あるよ」 「ないよ」 「あるよ」 「ないよ」
今いくよ・くるよ みたいです。
「(笑)まあとにかくさ」とナナ。 「うん」 「あたしはきょんさんがうらやましいのだよ」 「へ?」 「じょりぃはきょんさんのイヤなところいっぱいわかってて、お互いそれをぶちまけあって、 それでも好きだって一緒にいるわけじゃん?」 「うん」 「あたしがきょんさんのように自由にしても、 全面的にあたしを受け入れてくれる人なんていないんだろうな、って思った。 じょりぃときょんさんの話を聞いて」
・・・・さびしいこと言うなよーーーーー。
「・・・パパは?」 「(笑)パパは無理」 「決めつけなくても」 「だってそうなんだもん」 「ワタシは受け入れる」 「無理だと思うよ」 「無理じゃないと思う」 「じょりぃには無理」
無理だそうです。 無理かもしれませんね。
「あたし、ひがんでるみたい」 「? 何を?」 「じょりぃときょんさん」 「ひがむ?」
ひがむ。 とは。
「ええと、ワタシたちの状況を、ってこと?」 「状況・・・うん。 そうだね」 「どういうことだろ」 「ふたりと自分を比べて、ひがんでいるんだよ(笑)」 「何を比べるのだ」 「たとえばさ、きょんさんがだらしない顔して毎日リビングで寝ていても、(笑) 好き勝手やってても、じょりぃのことじょりぃの期待するように思ってくれなくても、 それでも好きなんでしょ?」 「・・・まあね」 「あたしがそれをやったら、ダメだと思う」 「そんなことないよ」 「それにさっきの話も、心底うらやましいと思った」 「どの話だ?」 「結婚しなくてもいいって話」 「 でも、ワタシたちって、ちょっと変わってるから。 それがいいかどうかはわからないよ」 「あたしとパパなら、家族とか結婚とかの縛りがなくなったら、 今のようにはやっていけないと思うよ」 「 でもさ、 きょんにこのあいだ『遠距離になってもやっていけるかな?』って訊いたら 『あ? 絶対無理。 別れる』って言われたよ(笑)。そんなもんだよ」 「(笑)あたしなら遠距離のほうがかえっていいな」 「妄想と空想の割合が増えるもんね」 アナタの大好きな。
「きょんさんが浮気したらどうする?」 「逆上する」 「・・・・最低だなあ」 「自分のこと棚に上げて、ってことでしょ?」 「うん」 「ワタシもそう思う」
そう思うんだけど。 どうにもならないんですよ。
「一緒にいたいのはきょんさんなのに、『その人』のことも好きなのだね」とナナ。 「うん」 「そんなにきょんさんが大事なら、その人のことはもういいじゃん」 「いいじゃん、でどうにかできるなら」 「もうとっくにどうにかしているのか」 「うん。 きょんとの関係は、日々努力して築いているものでさ、お互いに。 もちろん大事だしなくしたくないからなんだけど。 その人への気持ちは、単純にワタシの中に『存在』するものなんだよ」 「・・・・わかんないけどわかったよ」
「実は、最近、その人のこと『吹っ切れるかな』と思った時期があったんだけど」
ホントに、もういいや、という気持ちになっていたここのところのワタシ。 なぜかといえば、まあ、いろいろと小さな積み重ねがあったからなんですが。 長くなるのでそれは省略しますが。
「そうなんだ」 「うん。 今までならこのキモチだけは失くしたくない、としがみついていたんだけど、 今回のは『あ、これならいける。ワタシはもう吹っ切れるかも』ってさ」 「うん」 「やったあ とすら思ったんだよ」
今までなら考えられなかったんですが。 この気持ちがなくなったら、ワタシの存在証明がなくなってしまう、としがみついていたナナへの気持ちが、 手放せるかも、と思ったときに安堵したのです。 初めて。
「うん」 「 でもやっぱ、 ダメだった(笑)」 「(笑)」 「なくならないんだよ」 「そっか」
そっか、と、「その人」はあっさり答えてくれましたが。
どんな気持ちでワタシの勝手な話を聞いてくれているのでしょう。 ナナがワタシのことを恋愛対象として見ていなくても、ワタシはナナを傷つけたりしているのでしょうか。
ナナが訊いてくるから答えているとはいえ。
きょんへの気持ちをナナに正直に打ち明ける自分。 きょんにはナナへの気持ちを隠している自分。
ここで「最低だ!」と自己嫌悪に陥るような中途半端な正義感は振りかざしたくないので。
しらばっくれることにします。
でも、いつか痛い目に遭うでしょうね。
遭わないかもしれませんけど。
「明日早いんじゃ、もう寝なくちゃね」とナナ。 「うん」 「今日、話ができてよかった。いろいろスッキリした」 「うん。 ワタシも」 「税務署、来週か再来週つきあってね」 「うん」 「おやすみ」 「おやすみ」
しかしワタシは、一睡もできませんでした。 眠れない、と思う夜もたいていうとうとしたり朝方眠くなったりするんですが。 この夜はまったく眠れませんでした。
不眠の原因はわかっています。 認めたくないけど。
たぶん。
「中途半端な正義」= 自己嫌悪にメッタメタにやられたのです。 そしてその事実がさらにワタシをメッタメタに。 この安い自己嫌悪が、誰に対してのものなのかよくわかりません。 状況的にはきょんに対してのものなはずなんですが。
どういうわけなのか。
ワタシはナナに対して申し訳なくて申し訳なくて仕方ないのでありました。 眠れなかったのでありました。 ナナはきっとなんとも思ってないでしょうけれど、ワタシはなぜかひたすら勝手に申し訳なくて仕方ないのでありました。
やっすい自己嫌悪に、やっすい自意識過剰が追加され、頭の中はいっぱいいっぱいになり、だんだんと外が明るくなっていくのをぢいっと待っているのみでありました。
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