ナナとワタシ
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ゆうべ。11時半を回ったところで、ナナからメール着信。
「この前はごめんね。今夜仕事が大丈夫なら映画を観に行かない?」と。
今からですか奥さん。 上映時間を調べてみたら、次の回は2時半からです。
ナナに電話しまして。 「次、2時半だよ」と伝えましたら「じゃあ無理だね」と。 そしてこの人ったら、ケロっとしてます。 「落ち着いたよーおかげさまで。えへへ」とか言ってます。
まあいいんですけどね。 ワタシホントにやつあたりだけされたんだなこりゃ。
その電話で少し話をしたんですが。 まだ子供達も起きているらしく、込み入った話はできそうにありません。 なので、早々に電話を切りました。
なーーーーーんか、 おもしろくないのっ。
と思っていたら、1時ちょっと前にナナから電話。 「子供達が寝たから、話ができるよ」と。
ちょっとだけゴキゲンがなおるじょりぃ。
で、いつものように、子供の話メインでだらだらと話しまして。 すっかりいつものナナに戻っていましたが。 それでも相変わらず頭の中は子供のことでいっぱい。
しかも、前回のナナワタラストでおどおどさせてくださった「ゆっくり話を聞きたい」という話というのは、結局子供とワタシに共通する不安材料についてだったのでした。
「なんだ。 話がしたいというのは、子供がらみのことだったのか」とワタシ。 「え」 「(無言)」 「 違うよっ」 <めずらしく慌ててます。 「ふうん」 「そりゃ子供のことだったけどさ、じょりぃのことも心配だったからだよ」 「いやいいんだよ別に(乾笑」
ばかやろうびくびくおどおどさせやがって。 って、ワタシが勝手におどおどしていただけだったんですが。
そのうち、テンション低めのワタシを気遣ったのか、ワタシのことに話を振るナナ。
「何かあったの? 元気ないよね、ずっと」 「なにも。 あえて言うなら、『心が人肌恋しい』って感じかな(笑)。カラダが求めてるわけじゃないよ念のため」 「あはははははは。でもなんとなくわかるよ。 なんだ、さびしいのか」 「別に」 「さびしいって言うのがカッコ悪いと思ってるんでしょ?」 「まあね」 「言えよ」 「言ったよ」 言ってないけど。 「例の好きな人の問題?」 「んー。 そうかも」 「相変わらずなの?」 「んー」
このあいだ、「じょりぃの好きな人はわかった」めいたことを言われたので。 この話題については今までにも増して話がしづらいじょりぃ。
だったのですが。
「じょりぃの好きなのが誰で、現在どんなつきあいなのかもわからないと、あたしも役に立ちようがないよなー」とナナ。
はい?
「・・・・このあいだ、わかったって言ってなかった?」 「あたしが? 言ってないよ」
はい?
「言ったじゃん」 「え」 「忘れたのか」 「それ、じょりぃの夢とかじゃなくて?(笑)」
殺す。
「キミは日頃、ワタシの話はまったく聞いていないのかね」 中年紳士風口調のじょりぃ。 「聞いてるよっ。ちゃんと。 あたし、そんなこと言ったかなあ」 「ワタシがウソをついているのだとしたらわかるって言ったんだよ」
ワタシが寝言を言っていると思われると悔しいので、どうせ忘れているのなら「おまえちゃんと言ったんだよ!」という立証だけはしておきたいじょりぃ。 どうせ覚えちゃいないんですから、そう危ない橋でもないでしょう。
と思ったら。
「ああ」とナナ。 「言った言った」 「思い出してくれたのなら、この話はもういいよ」 自分の都合で話を仕切るワタシ。 「そのあとあたし、メールしたよね?」
やば。 橋が危なくなってきました。
「そうだったかな」 「じょりぃの好きな人って、男の人なの?って訊いた気がする」
ぎくっ。 思い出さなくてもいいことを今さら思い出さないでください。 今までころっとワタシの重大問題なんて忘れていたくせに。 ていうか、ワタシまたカマかけに引っかかったのでしょうか。
「で、それには答えてもらえなくてー・・・」 「そうだったかな」<どこまでもとぼけるワタシ 「・・・でも、あたしが『この人かな?』って思った人じゃないのかもー、と、最後には思ったんだよ。だからやっぱりわからないや」
誰だと思ったんですかアナタ。 脱力。
「ねえ、きょんさんにもなっちゃんにも、その人の話ってしてないんでしょう?」 「うん」 「なんで? ふたりともすごくじょりぃのことわかってて、好きでいてくれて、ずっと一緒にいるのに?」 「だからできないということもあるのだよ」 「どうしてあたしには話してくれるの?」 「どうしてかな」 「ネットのお友達とかにも話さないの?」 「話す」 「そのへんの感覚、あたしにはわからないな」 「ワタシのことを知らないし、ワタシの生活とは関わらない人たちだから、話しやすいんだよ」 「あたしに話さないことも話してる?」 「うん」 「・・・そうすると、ラクになるの?」 「うん」 「その人の名前は実名で話すの?」
ぎく。
「ううん。 仮名(笑)」 「ええと・・・・『よしお君』とか?」 「わはははははははははよしお」 なんでよしお? 「なんて名前で話してるの?」 「言いたくない。よしおでいいよ」
「その人はさ、じょりぃのキモチを知っているの?」 「わかんない」 「ねえ、でもさ。 そんなに好きなら、やっぱりその思いをちゃんと伝えるべきだと思うよ」 「なんのために?」 「もしじょりぃのキモチに薄々気づいているとしてもさ、その人だって、ちゃんと言ってもらわないと、自分はどうしていいのかわからないかもしれないじゃん。もうちょっとじょりぃのキモチに応えたいとか、もし思っていたとしても」 「知ったところでどうにもできないじゃないですか」 「相手もとまどっているかもしれないよ?」 「でもさ」 「うん」 「知らなければ、とまどうくらいで済むじゃん」 「うん」 「知ってしまえば、相手もワタシにある程度気を使うだろう」 「・・・・・・もし相手もじょりぃのこと好きだったら?」 「(笑)ちょっと考えられないけど。 もしそうなら、なおさら伝えてはいけないよね」 「どうして?」 「状況的にやっかいでしょ? 相手には家庭もあることだし」 「そうだね」 「今の状態なら、ワタシだけ上がったり下がったりしてればいいのに、わざわざ相手を巻き込む必要はないよね」 「・・・・じょりぃ、やさしいんじゃん」 「ワタシはやさしいんだよ」
今頃気づいたか。<調子に乗りすぎ
この時点でもう4時を回っています。 ナナはいじけ気味のワタシにつきあって、こういうワタシ寄りの話をしてくれているんだろうなと思い、「もう寝なきゃね」と何度か振ってみるものの、ぐずぐずと話を続けるナナ。 話を聞きたいと思ってくれているのかな。なんか悪いな。
「あたしは恋愛の回路って、もう閉じてしまっているからなー。 あたしに話してもつまんないでしょ」とナナ。 「閉じてるんだ(笑)」 「もともと、じょりぃみたいに人を好きになったことないみたい」 「でも、好きにならないわけじゃないんでしょ?」 「うん。 ていうか、恋してる雰囲気は味わいたくて、一生懸命きゃぴきゃぴ『好き!』って思ってた」 「(笑)」 「ねえ、その人のどういうところがそんなに好きなの?」 げっ。 「それがよくわからないんだ」 <本心 「なんだそれ(笑)。 そんなに好きってことは、欠点のない、パーフェクトな人なの?」 「いや。 欠点だらけ(笑)」 <失礼です 「あはははははははははははははは」 「なんていうか、もう、その人への気持ちが、遺伝子に刷り込まれていたんじゃないかという感じなんだよね」 「運命の人なんだ」 「うん。 結ばれることのない、運命の人だ(笑)」 「(笑)かなしいねー。 じゃあさ、初めて会ったとき、どう感じたの? びかびかっとか、輝いて見えた?」 「いや。 初めて会ったときは、なんとも思わなかった」 「なんだそれ(笑)。それでホントに刷り込みなのかよ」
ははははは、と笑って。
「でもさ、相手の本当の姿を見るにつけ、きっとキモチは冷めていくんだろうね」とナナ。 「そうはならないと思うけど」 「きっとそうなるよ。『思ってたよりバカだ』とか言っちゃってさ」 決めつけてます。 「ははは。言いそうだけど。そうなっちゃうのかな」
「その人を見てるときってさ、どんな風に見えるの?」 「? どういうこと?」 「もう、すっごくすっごくステキに見えちゃうわけ?(笑)」 「うん。こう、マンガとかじゃないけど、紗がかかって、キラキラして見える(笑)」 「きゃはははははは。そのときって、じょりぃ、どんな顔してその人のこと見てるんだろうね」 「うっとり」 「うっとりってどんな表情?」 「にひゃ〜っとして、幸せそうなのではないかな」 「いつだって幸せそうじゃん。いつもそんな顔してるじゃん(笑)」
だからその意味を考えろ。 と言いたいところですが、ワタシはたいてい「じょりぃさんはいつも幸せそうねー」と呆れられるので、あまり意味がないかも。
「あたしもさ、誰かをそんな風に好きになってみたいな」とナナ。 「恋愛の回路は閉じているんでしょ?」 「ていうか、閉じようとしているんだよ。結婚してれば、みんなそうなんじゃないの?」
おや? 以前は「あたしは今後絶対恋愛しない」と言い切ってた人なのに。
と、伝えてみましたら。
「そう言ったかもね。 でも、変わったかも」 「変わったのか」 「うん。 好きになってしまうかも」 「そう。 よくないね」 <いったいワタシはどうしたいのか。 「だから押さえるんだろうけど。 でも今までみたいな、自分でも気づかないくらいに押さえ込んでた感じはなくなってる」 「ふうん」
恋愛ジャンキーと一緒にいると、うつるんでしょうか。
「ねえ、やっぱりキモチを伝えてみたら?」とナナ。 「相手の迷惑になるのはイヤなんだってば」 「そっか。家庭を大事にする人なんだっけね」 「うん」 「でもそうだよね。そういう人のがいいよね」 「うん」 「なんかさ、向こうもじょりぃのコト好きだとして、家庭を放ってじょりぃに夢中になってしまったら、引いちゃわない?」 「引くね(笑)」 「そういう、家庭を大事にするその人が好きなんだもんね」 「うん」
「あたしがもし誰かに好きになられて、あたしも好きになってしまったとしたら」 「うん」 「『いや、いや』って、相手を拒んでしまうと思う」
なんかいやらしい。
「いや、いやって、それって、かえって相手をそそっていまいそうな気がするんですが」 「カラダを求められて拒んでいるわけではないですから(笑)。それに、実際にそんなことは口に出さないけどさ」 「うん」 「相手のことが好きでも、好きってそぶりは絶対見せないと思う」 「好きでも?」 「うん。 好きでも(笑)」 「絶対?」 「うん。絶対」
もしまぐれに奇跡がかかって、ナナもワタシのことを好きになったとしても、拒まれることが判明いたしました。
「もう寝ないとね」とワタシ。5時になっちゃいます。 「うん」 「じゃ・・・・」 「あのさ」
今度はなんだ。
「はい?」 「仕事のこととかは、なっちゃんとかきょんさんに話せるんでしょ?」 「うん」 「そのほかのいろんなことも、話せる相手がいるんでしょ?」 「うん」 「じゃあさ、好きな人の話は、あたしに話して」 「え」 「あたしはじょりぃほど恋愛経験も豊富ではないし、役に立てないと思うけど」 「そんな風に思ったことはないよ」 「好きな人のことで落ち込んだり、さびしくなったりしたら、とりあえずあたしにグチってよ」 「・・・・・・・」 「じょりぃの性格だと、さびしいって言いづらいのはわかるけどさ」 「うん」 「言えばいいじゃん(笑)」 「 ありがとう」 「メールしてよ。さびしいって」 「家族中が見るあなたの携帯にそんなメールを送れません」
ワタシもかわいげがないですけど。 でも正直な気持ちです。
「・・・・ごめんなさい」 あら素直。 「いえ。 あの、いいんですけど」 「でも長女はもう見ることないし。自分の携帯持ったからさ」 「うん」 「パパに見られないように、あたしいつも携帯を携帯するようにしてるんだよ最近(笑)。寝るときもふとんに持って行ってるし」 「そう」 「パパも見ないけど。めったに」 「うん」 「あ、でも次女ちゃんとは兼用だからな」 「やっぱり無理だ(笑)」 「じゃあ、暗号を決めておけばいいんじゃない?」 「暗号?」 「だから、その手の話がしたくなったら、うーーんと・・・『おなかすいた』とか送ってくれれば(笑)」 「わははははははは。 でも、次女ちゃんやさしいから、それ見たら『次女がチャーハンつくってあげるよ!』とか返信してくれちゃいそう」 「ママー、じょりぃちゃん、おなかすいてるんだって、かわいそー、なんてね(笑)」 「はははははは」 「空メールでもいいから。何も書かないで送ってくれればいいじゃん」 「・・・ありがとう」 「あたしもこの調子だから、いつも自分のことでいっぱいいっぱいだけど。それでも、じょりぃからその手のメールが来たときは、そのときの自分なりに、一生懸命対処するからさ」 「うん」 「だからちゃんと、教えて。さびしい気持ちのときは」 「うん。ありがとう」
このあと電話を切ったのですが。
なんだかおかしなことになってしまいました。
ワタシはナナのことでさびしくなったり落ち込んだりしたとき、ナナにその相手が誰だかわからないように、ナナに力になってもらうわけですか。
む、む、難しい。
でも、一生懸命、ワタシの力になってくれようとしているのは、すごく感じました。 嬉しかったです。
というわけで、おどおど病は治癒いたしました。 単純でスミマセン。
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