ナナとワタシ
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元気のない声を出してみちゃったりして、うまいことナナの同情を買い、ゆうべもまんまと長電話することに成功した、実にこすっからい人間じょりぃですこんばんは。
その長電話の中で。 久しぶりに「じょりぃのずっと好きな人」の話が出ましてね。 って、これってナナのことなんですけど。 ナナには「中学の頃からずっと好きな人がいる」としか話していなくて、たまーに思い出したように、話題に出てくる「じょりぃのずっと好きな人」。
「だからさー、架空の人じゃないとしたら、ホントは誰なんだよ(笑)」とナナ。 「言えない」 言えません。 「(冷笑)やっぱり架空なんじゃん。妄想なんでしょ? まあいいじゃん、妄想だって。楽しいじゃん。あたしは好きだよ妄想」 「妄想の部分は確かに大きいけど、人物は架空ではないのだよ」 「じゃ誰よ?」
言っちまうぞこのやろう。 ホントにホントに気づいてないんですか?
「ね、だってさ。会いたいなとか、話がしたいなとか、思わないわけ?その彼と」 「もちろん思うよ」 彼って誰よ彼って。 「会ってるんだ?」 「う・・・・・まあ、たまには」 ていうかほら、今も電話してるんですが。おまへだよおまへ。 「前もそう言ってたけどさ、アナタ毎日そんなに忙しくて、いつ会ってるわけ?」 「う・・・・」 「会えないじゃん」 「そ、そうだね」 「相手の彼はさ、土日がお休みじゃない人なの?」
彼、彼って、萎えるなあ。
「ぐうぐう」 会話放棄・寝たふりじょりぃ。 「寝るなよ」 「ぐう」 「なんでそんなにナイショにしたいわけ? あたし、誰にも話さないけど?」 「そんなこと疑っていないよ」 「じゃ誰?」 「・・・・・・・・・・」 「中学の時の同級生って言ってたよね?」 「・・・・・・・・・・」 「あたしの知ってる人だって言ってたよね?」 「・・・・・・・・・・」
しつこいなあ。
「その彼はさ、じょりぃが自分のこと好きだって知ってるの?気づいてるの?」
もう、彼という言葉が出てくるたびに、心のシャッターががらがらと音を立てて閉まっていくじょりぃ。 キミの頭の中では「恋愛=異性愛」という、イッツアスモールワールド的な観念しかないんですか? ワタシがこんなにあからさまに、キミになついているというのに?
「さあね。 気づいていると思っていたんだけど、思いのほか鈍いみたいで、気づいてくれていないのかもね」(吐き捨てるように)
おまえのことだ。このニブチンめ!
「気づかないもんかねえ」 「ホントだよね。すごいラブビームを目から放っているはずなんだけどね。よっぽど鈍いんだろうね。呆れるね」<やけくそ 「きゃははははははは。ラブビームとか言ったってさ、会えずにいて、何十キロも離れたところから『ラブビーーーム!』とかやられてたら、わっかんないと思うよー。きゃはははははこえーーーーー」 「なんで何十キロも離れてるとか、勝手に決め付けるんだよ!」
頭に来ました。
「キミさあ、誰かから恋されてるって、敏感に察知できるほう?」 唐突に質問側にまわるじょりぃ。 「は? なに急に」 「この人、あたしのこと好きなんだって、ちゃんと相手から言われなくてもわかるんですか?」
話の流れ的に考えて、かなり危険な質問を放つじょりぃ。 とはいえ、この鈍感無神経女には、どうせわかるまい。 わかっててワタシに意地悪な質問しているのだとしたら、ワタシだって反撃させていただきますとも。
「どうだろうな・・・わかるんじゃないかな・・・・」<弱気なナナ 「もじもじと、そっとやさしさのみで愛情を表現しているような人が身近にいたとしてさ(ワタシはそんなにやさしくありません)、好きなんて言えないような子でさ、そんな愛情表現でも気づけてきたのかい?今まで」 「そんな経験はないなあ」 「あーあ。 そういう人の方が素敵な人間かもしれないのに」 「・・・だからあたしの好きになる人とか付き合う人って、口のうまいお調子者が多かったのかな」 「そうだろうきっと。鈍い。鈍いな。人生損したな」 「損してたのか」
そうだよばーか。
「じゃ、じょりぃはさ、そういうのに敏感なんですか? この人自分のこと好きなんだ、って、もじもじやさしくされてるだけでわかるんだー。ふうん」 「・・・・・・・わからないですたぶん」
ヘタに「わかる」なんて言うと「思い込んでただけで、相手はなんとも思ってなかったかもよ」とか、意地の悪いツッコミを受けてしまいますからね。
「でもさ、そういう人って、誰にでもやさしそうじゃん。あたしにだけやさしいんだ、なんて思えないよなかなか」とナナ。 「そうかもね」 「で、じゃあ、じょりぃは、もじもじとラブビームを放っているわけですか?」 「ぐうぐう」 「なんで言わないのー? どんな男の子なの? 家庭があるのに、よくじょりぃと会ったりしてくれるね」 「・・・・・・・・」 「家庭があるくせに、向こうから『会おうよ』とか『遊びに行こうよ』とか誘ってくれるわけ?」 「誘われないよ」 いや、誘われてますけどアナタには。 「じゃ、じょりぃから『会ってよ』ってお願いするわけですか?」 「・・・・・・・・・・・」
困った。 ていうか、ここ最近のナナとワタシの会話から、てっきりナナはもうワタシの気持ちに気づいていると思い込んでいたものですから、こんなに実はわかっていなかったのかと思い、激しく落胆するじょりぃ。 最後の心のシャッターがぴしゃんと閉まりまして、代わりに「やけくその扉」が開きました。がらがらがらがら。
「あのさ」とワタシ。 「ん?」 「実はウソついているので、なかなか上手に質問に答えられません」 「ウソついてるんだ?(笑)」 「うん。すべて妄想でした。架空です。スミマセン」 「なんだそれ」 「ていうか、ワタシの愛している人は、きょんです。きょんということにしておきます」
めんどくさいですもう。 冗談ぽく、かなりの本音を入れ込みながら、この話はもう終了の方向で。
「そうなの?」 「てことで」 「でもそうだよねー。 愛がなければそんなに何十年も一緒に生活できないよね」<あんまり本気にしてない風 「何十年も一緒にいてないからまだ」 「でもさ・・・何年一緒に暮らしてるの?」 「もう12〜3年ですか」 「長いねー。 これからも一緒にいるんでしょ?」 「たぶんね」 「愛だよねー」 <からかい口調です念のため
「キミ、ほんとニブいなー(怒)」の、ナナにとってはおそらく意味不明なワタシのひとことで、この会話は締めとさせていただきました。
なーんだ。
ワタシの気持ちは全然伝わっていなかったか、伝わっていたとしても「男の子好きになりなよ」と諭されているらしいですねどうもワタシ。
しゅん。
この日はさらに、ヘテロ的内容の濃い会話が続きます。
ワタシが以前つきあっていた彼との会話の再現の中で、彼がとワタシのことを「おまえ」と二人称で呼んだ部分があったのですが。 ナナがそこに反応。
「おまえ、とか言われて、ムカつかない?」と。 「ムカつくかもね」 「あたし、おまえって言われるの、すごいキライ」 「パパだって言うじゃん」 「パパにも言わないでって言ってあるんだけど、妹にはおまえって言ってるみたいで、油断した時におまえ呼ばわりが出るみたいね」 「文句言うの?いちいち」 「めんどくさいから言わない」 「ふうん」 「あとあたし、呼び捨てにされるのもキライ」 「何ならいいの?」 「ちゃん付けしてほしい」 なんだか照れてますが。け。ナニがちゃん付けだよ。 「ふうん。 パパは呼び捨てじゃん(冷笑)」 「うん。ホントはイヤなんだよね」 「ふうん。 気を付けようっと」
と、いまだにナナの名前が呼べずに「ママ」だの「キミ」だの「アナタ」だの言ってるくせに、なんとなく言ってみたじょりぃ。 これからもしナナの名を呼ぶような時は「ちゃん付け」にしなくちゃね☆なーんて具合に。
そうしたら
「あ、じょりぃはいいんだよ。女だから、別にどうだって」
女でスミマセンでしたねえ。(怒)
また、違う会話で。
「あたしね、『髪切った?』とか『あ、今日いつもと化粧が違うね』とか『かわいいね』とか言われるのもキライ」
え! そうなんですか! まずい。 これはワタシ、やりがちかも。
と慌てたワタシはまた
「ふうん。気をつけなきゃ」
と言いましたら。
「だってじょりぃは女じゃん。だから関係ないよ(笑)」
・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あーそーですか。 そーやって女を仲間はずれにしてればいーじゃないですか。
やっぱワタシのことなんてまったく眼中になかったみたいですね。 筋金入りのヘテロですねアナタ。
せっかくの長電話でしたが。
ひたすらブルーなじょりぃ。
ナナがワタシのこと好きにならないのは仕方ないにしても、 せめて、ワタシの気持ちは伝わっていて、受け止めてくれていると信じていたかったのですが。
現在撃沈中です。 どなたか美しくてやさしいお姉様が引き上げてくださらないかしら、と、海の底で真珠の涙を流しております。
ナナなんてキライだ。 鈍感女。もしくは意地悪女め。 けっ。
ホントにホントに、わかってないの? おまえバカだなだとしたら。
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