ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2004年03月15日(月) ナナ、爆発

昨日の続きでございます。


朝です。
朝。
ちゅんちゅん、ちちちち。
良い天気。

ワタシはほとんど一睡もしていないので、いつもの寝起きのグズグズ病にかからずに済みました。
おまけに、朝日の中、ナナの寝顔をシッカリ見るという、「早起きは三文の得」にもあやかれました。

彫り、深ーー。

ワタシはあっさり系の顔が好きなので、もともとはナナの顔立ちって好みのタイプではないんですよねえ。
「性格よりもルックス」を重視していつも恋するワタシとしては、いったい何がどうしてこのようにナナのことが好きなのかよくわからないなぁ、なんて思いながら、でも寝顔をずっと見られるのはナナって嫌がりそうだよなと思い、早々に視線を外しまして。

ナナは起きるとさっそくお風呂に。
そのあと朝食に出掛けたのですが、食事をする場所に向かいながら

「朝ごはんは、絶対ちゃんと食べてください。いつも朝、食べないのは知ってるけど、今日はちゃんと食べて」
と、ナナから厳重注意が。

わかりましたよお母さん。
お腹すいてるので食べますとも。

良い子のじょりぃはおかわりまでしました。げふ。

その後、時間ギリギリまでエッチしまくり・・・ということは前回の流れからみて絶対ありえないので冗談にもならないわけですが、まあ、時間ギリギリまでのたくたと過ごし、最後のチェックアウト客となりまして。

会計時。

「今日はあたしに払わせて」とナナ。
「なんでよ。イヤだよ」
「そう決めてきたから、今回は」
「勝手に決めるな。だいいちほら、領収書の名前がワタシになってるし」
と、じょりぃ、強引に支払いを済ませまして。

そのときのナナの様子もちょっと気になってはいたんですが。
ちょっとだったので、あまり気にしませんでした。

帰り道に、別の温泉街を通って帰りながら、○○牧場とおもちゃの博物館にも寄ろうね、なんてその場で計画をたて、出発。

一晩寝て(寝てないけど)、「まあ、人の気持ちはしょうがないし」と諦めもついてきたので、良いお天気も手伝ってゴキゲンも直って和気あいあいとドライブ。
ナナのゴキゲンも良いです。
今日もふたりは仲良し。
めでたいことです。け。

「お昼はそば系がいいよね」なんて話していたら、ちょうどお昼頃に良さそうなおそばやさんを見つけたので、そこでお昼に。
たいへんおいしゅうございました。店の雰囲気もよろしくて。
店を出ようと席を立った途端、なっちゃんから仕事の電話が。
やった!電波が!
昨日泊まった温泉街は、ワタシのツー○ーは圏外だったので、かろうじて電波を拾ったこの電話は嬉しゅうございました。
仕事気になっていたし。
ワタシが電話をしているすきに、ナナが会計を済ませてくれ、そのままなっちゃんと話しながら車に乗り込みまして。

「タマリンから昨日電話もらってたの。してみてくれる?」ということだったので、電波がある今の内にと、車を停車したまま、今度はタマリンに電話。
こちらは仕事の話で少々長引きまして。

隣ではナナが、お金を手に持って待機しております。はて?

電話が終わって。

「おそば代、払わせちゃってゴメン」と財布を取り出しましたら
「待って。 その前に、宿泊代を払わせてください」とナナ。

ああ、それでお金持ってたの?

「いいよぅそんなの」
「だって、いつもなんだもん」
「金持ちなんです」
「このあいだ、『お金がないよー売上ないよー』って言ってたじゃん(笑)」
「同情を引こうと思ったんです」
「とにかく、はい」

ナナ、決心が固そう。

「わかった。じゃあ、ワリカンにしない?」 じょりぃ、マトモな折衷案を提案。
「今回はあたしが払うって決めてたから」 ナナ、頑固。
「なんで? イヤだよ。 なに勝手に」
「いつもいつもじゃあたしだって誘いづらいし誘われづらいでしょ?」

もっともなんですけど。
そもそも、なんでじょりぃが払うのよ、てな感じでしょうけど。

しかしこのときワタシの頭を、ゆうべの会話がよぎってしまいまして。

ああ。
ゆうべに引き続き、ワタシに釘刺してるんですか。
てな具合に。

ゆうべだって、ナナがワタシに釘を刺したくてああいう話をしたのかどうかは不明なわけですが、このときはそう思いこんでしまって、ナナは好意で「払う」と言ってくれているのだろうに、勝手にカチンときてしまったんです。

「ワタシだって、全額払ってもらうのなんてイヤだよ」 自分がやってることと言ってることがメチャクチャなワタシですが。
「いいじゃん。今回は安く済んだんだし、今までの分と思えばそれでもまだ足りないくらいだし」
「とにかくイヤだ。 ワリカンにして」
「あたしもイヤ。 はい」
「イヤだって言ってるじゃん。うああああああ」じょりぃ、ハンドルに頭ぶつけ中。がんがんがん。愛らしいです。
「こんな風にじょりぃにばっかり払わせちゃってると、あたし、これからもう、一緒に行けなくなっちゃうでしょ」

ナナがワタシに気をつかって、ワタシにお金を受け取らせようとしてこう言ってくれているのはわかっていたんですが、ゆうべの件ですっかりひねくれてしまっていたワタシは、「へえ!ワタシがいわゆる本気っぽくすると困っちゃうわけですね。ドロドロしそうでイヤなんですか」とまず思い、その上「何それ!脅迫?」なんて風にも受け取ってしまいまして。

「なら、行かなきゃいいじゃん」 と、ぷいっと目をそらしてお答え。
「   いいの?」 マジ顔のナナ。
「いいよ」 引っ込みつかないワタシ。
「ホントに? ホントにそれでいいの?」
「いいよ」
「行かなくなってもいいの?」
「だから、いいよって(にこ)。 行きたくないならしょうがないじゃん」 今度は目を見てお伝えしてみました。なぜかにっこりと。

このあと、予想外の出来事が。


つづく。


というのは冗談です。



「じゃあもういいよっ。 ここでいいからっ」

ナナ、めずらしく声を荒げてそう言うと、ドアに手を掛け、すごい勢いで車から降りようと。

「え!」

と叫んだ時には、もうドア、開きかけてるし。早っ。

「ちょ、ちょ、ちょっと待って待って待って待って!ゴメン!待って!行かないで!ゴメン!」 <早口の叫び声でどうぞ

じょりぃ、これ以上ないというくらい慌てふためき、ナナの両手首をがっちり捕まえまして。
この人、本気?
ていうか、ワタシったら、エラくカッコ悪いんですけど。

ナナはナナで、ワタシに動けなくされながらも車の中で手を振りほどこうと大暴れ。
しかも泣いているし。 って。え?泣いてるの?

「だって、そうじゃんっ。 あたしひとりで帰るからっ。 いいよもー」 えーん。てな具合。

そうじゃん、って、何がそうじゃんなのかよくわからないんですが。
そんなことはさておき。

「ゴメンゴメン。ホントにゴメンナサイ。お願いだから帰らないで!」 引き続き慌て続けるじょりぃ。腰も低いです。
「ヤだ。 帰る。 放してよ」 まだ暴れてます。涙声で。
「帰れないよこんなところから。 一緒に帰ろ? ね? お願い」
「帰れるもん」 えーん。
「ホントにゴメン。ワタシが悪かったです。許して。ゴメン」

とりあえず、暴れるのをやめたので手の力を緩めたじょりぃ。
きょんとケンカしたいつぞやのときのように、手首にくっきり手形アザ、なんてことになったら、パパにどんな誤解を受けるかわかりませんからね。何もしてないというのに。

ナナ、まだ泣きながら
「なんでもう行かないなんて言うの?」と。

「ゴメン。 全然そんなこと思ってないよホントは」

ワタシだって質問したい。
このくらいの会話、今までだってしたことあるのに、なんで今日はそんなに感情的になるの?

ナナ、しばらくひっくひっく泣いた後に

「ひどいじゃん」と。
「ゴメンナサイ」とワタシ。

ナナから離れまして。
ナナ、メソメソと涙を拭きながら

「じゃ、はい」 と、まだお金(全額)をワタシに渡してきやがります。 笑うところですか?もしかして。

だからさあ。

「だから、ワリカンにしようって言ってるじゃん」 ワタシもワタシですが。
「なんで? いいじゃん」
「いくない」
「なんでそんなに意地張るの?」 涙拭きながら言うな。かわいいから。<死ね
「意地張ってるわけじゃないよ。 キミの言ってることは正しいと思うけど、だったらワリカンにすべきだと思う」
「・・・・じゃ、これからはワリカンにしてくれる?」
「うん。 じゃ、そうしよう」

やっと解決。

しかし、びっくりしました。
こんなところで「スローなブギにしてくれ」ごっこをやることになるとは。
(全部の話は知らないのですが、冒頭、山道で主人公の女が車から降りちゃうか降ろされちゃうかしちゃう話だったような)


車を発進する頃には、ふたりともケロッとしていたのがおかしかったんですが。
超一時的に、ものすごい感情の爆発があって、その数分後には笑い合っている、というのがなんだかとても不思議でした。
今泣いたカラスがもう笑った、でございます。

もしかして、ワタシ、はめられたのかな?
ナナの思惑どおりに、事を運ぶために。

いや。
いくらなんでも。
ナナにしたって「泣きながら車内で大暴れ」なんて(ナナから見れば)醜態を、好んで晒すはずがないし。
わかんないですけど。


このまま、何事もなかったかのように、さっきのことは水に流してしまっていいのかな。
もしかしたら、ふたりにとって、何かのターニングポイントだったのかもしれないのに?

でも、ナナはもう話題にしてほしくないかも。
泣きながら大暴れの話なんてねえ。

なんて思いながら、牧場に着いてとりあえずアイスだけ食べて楽しく談笑し、また車を発進させて、今度はおもちゃ博物館を目指して車を走らせていたら。

「あー。 なんか眠くなっちゃった」とナナ。
「寝れば?」
「眠いわけじゃないの。 じょりぃさんにイヂワルされて泣いたせいで、目だけ眠いの(笑)」

あら。ナナから話を振ってきてくれました。

「ワタシがイヂワルだったんですか?」
「違うって言うの?」
「ていうかさ・・・あれって・・・脅迫じゃ・・・・
「(む)何が脅迫よ」
「だって、あそこで帰るって言うの    ずるくないかな
「だってもう、そうするしかないって思っちゃったんだもん」
「ワタシが止めるってわかってて言ったわけでしょ? ずるいじゃんそれって」 ワタシも容赦ないですね。
「わかってないよ。 あたし、じょりぃなら『どうぞ』とか『好きにすれば』って絶対言うと思ってたよ。引き留めないと思った」
「え!」
「じょりぃ、冷たいもん。 あたしはホントに、そう言われる覚悟はあったけど?」

じょりぃって人、ひどいですねえ。
日頃の冷たさぶりがうかがえます。
とびきりやさしく甘やかしているはずの人から、このご指摘。

「そう言われたら、どうするつもりだったの?」
「歩いて帰るつもりだったけど? ・・・って、あたし、あの重い荷物を持って歩けるのか?(笑)」
「はははははは。やっぱ無理じゃん」
「途中でタクシー捕まえて駅まで行けば電車でなんとか帰れるだろうし。とにかく、あの時点ではあたし、本気で自分で帰るつもりだったよ」

すげーこいつ。   怖っ。

「でもホントに意地が悪い、じょりぃ」
「そっちが先にイヂワル言ったんじゃん」 実際ワタシはカチンと来たわけですし。
「あたし? 言ってないよ」
「『もう一緒に行かない』って言ったじゃん」
「『行かない』なんて言ってないよ。『行けない』って言ったんだよ。全然違うじゃん」
「同じじゃ・・・・」
「じゃないでしょ」

考えてみたら違いました。

「じょりぃって、ホントに強情。 それに、冷たいよ」と、ナナがしみじみ呟いていたのが印象的です。


その後も、2度、この話題が出まして。
どっちがきっかけをつくったか、とか、どっちのが意地が悪いか、みたいな感じで。笑いながら。

なんかヘンなの。って感じですが。
お互い醜態だったと思うのですが、なんで楽しそうに蒸し返すのか。


ああ、でも、本当に驚きました。車から出て行かれそうになったときは。
さっきまで笑って話していたのに、突然炎のごとく、ですからね。
そして、咄嗟に両手首を掴んだワタシの反射神経と狙いの良さと瞬間的握力の強さにも驚きましたが。
必死だったんでしょうね。

そして、そのときはもう「行かないで!」に夢中でまったく気付かなかったんですが。
おそらく、顔が異常接近していたはずです。
ちゅーしてしまえばよかった。<本気

って、そんなことしたら、マジでずんずん歩いて帰って行ってしまうことでしょうけれど、ナナ。


で。

今回のナナの爆発ぶりを目の当たりにして、ワタシの中でちょっとだけクリアーになったことがあります。

ワタシはいつも自分でギモンに思っていたのです。
なぜ、ワタシはナナに対しては、他の人に対してのように、「好き」と積極的にアプローチできないのか。
ひとつには「好きすぎてできない」というのがあるのかなと。
そしてひとつは「ナナには家庭があるから」という大前提があるわけですが、ワタシの性格ですと「好きならしょーがないじゃん」という自分勝手ぶりを発揮しても良さそうなところであります。

しかし、それ以外にも「ナナがワタシの事を好きになると厄介なことになるだろう」という危惧もあったのは事実です。
それがなんなのかわからなくて、「もしそうなってしまったら、この世が終わってしまうほど大変なことが起こる!」と、妄想症的な恐れすら抱いていたのですが。

ワタシは、ナナのあの激しさを、潜在的に知っていたのかもしれません。
中学の時から、ナナのそんなところは一度も、かけらすら見たことはないのですが、当時から意識の奥底で知っていたような気がするんです。
3年前に再会してから「子供の前で怒って茶碗を割る」とか「パパの、前の恋人の写真を全部燃やした(しかもパパの実家で/長女ちゃん情報)」といった話を聞くたびに「ええ!まさかあのナナが」と思う反面、妙に納得できる部分もありまして。

ナナが本気でワタシを愛してしまったら(なさそうですけど)、ワタシには彼女のそういった激情を受け止める器量が果たしてあるのか、大変ギモンです。
きょんの存在も、そうなってしまったナナが許せるはずがありません。
きょんのことがなかったとしても、ナナがもし「本気」を発揮したら、自分の激しい感情と家庭の狭間で、おそらく精神のバランスを著しく崩すことでしょう。
簡単に言えば「おかしく」なっちまうんじゃないかと。
ワタシもナナも、不幸に向かって一直線、という気がいたします。

そして、ゆうべのナナの言葉につながります。

「自分が本気になるのも、ゴメンなわけ」

自分でもそう思っているのかな、ナナ。もしかして。

日頃の醒めたような冷たいような態度も、「誰も好きにならない」という気持ちも、自分がそうならないように事前コントロールするための手段なのかもしれません。
そういえば、以前「傷ついたりガッカリしたりしたくないから、あたしは本気で何か考えたり、したりしないんだ」みたいなことを言っていましたし。


とまあ、ワタシなりの、ワタシが持っている情報の範囲内での勝手な憶測ですが、自分なりに整理がついて、ちょっとクリアーになったと。


とにかくびっくりした「スローなブギ」事件だったんですが、この日はこのあと、すっかりいい雰囲気になりましてね。
おもちゃの博物館で、途中、コーヒー休憩を取ったとき、適当に座れそうな場所を見つけて腰掛けたんですが、このときはふたりともぴったりくっついて座ってまして驚きました。そりゃあもう、ぴったりと。
ナナが、ぴったり分のスペースだけ空けて、腰掛けたのでできたことなんですけど。
ワタシもワタシで、「危ないよ」なんつって、ナナの腰に腕を回して誘導したりですね。
いやらしいですね、ワタシったら。もう。
何が「危ないよ」だ。 と、自分で責め立てたい気分でございます。

それに、ゆうべ「気持ちが動いたり、ものすごく好きだと思うことはあるかもしれないけど、ちゅーはしない」と言われたことについても(ワタシを名指しして言ったわけじゃありませんが)、そのときはひどく落ち込みましたが、考えてみれば以前は「これから先、誰かを好きになるなんて絶対にありえない」と言っていたナナだったんですから、これってなんだか状況としては進歩なのかもしれません。
とりあえず、「好きになることはあるかもしれない」になったわけですからね。ちゅーはしなくても。なにもしなくても。

そんなわけで、1日目後半はすっかりしょぼくれていたのですが、旅行が終わってみればにこにこすることができたじょりぃでありました。
とはいえ、「一歩進んで何歩下がっちゃってるのやら」という状況は相変わらずなわけですが。
「このくらいが楽しい」んでしょう。たぶんワタシも。
と、思うことにします。
そうするしかなさそうです。

勝手にやってろですかそうですか。


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