ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2004年03月14日(日) あたしは絶対に、キスしない

この土日、ナナとの温泉旅行に、無事行って、帰って参りましたじょりぃでございます。
「どうせまた、いつもと同じ様な内容なんだろうよ」と耳掃除かなんかしながら読んでくださるビューワー様もいらっしゃることでしょう。

そのとおりといえば、そのとおりなんですけど。

でも、いつもと違うこともあったんです。
というわけで、ご報告させていただきます。


お天気にもナナのゴキゲンにも恵まれまして、爽やかに温泉までの道のりをドライブ。
なんだか和やかだし、いつもより良い雰囲気です。

途中、湖を見たりしましてね。
会話の端々にも、動作のひとつひとつにも、ナナから今までにない親密さを感じて「あらー」なんて思いまして。

今日は、ひねくれたり拗ねたりヘンによそよそしくしたりしないで、スナオに自然に振る舞ってみよう。
なんて、かわいらしいことを思ってみるじょりぃ。

宿に着いてからは、さらに良い雰囲気に。
重要文化財にも指定されているその旅館は、とっても古いんですが、味わいもものすごくありまして。
探検するところもたくさんあってですね。

「全部探検したいよー」というナナのリクエストに応えて、薄暗い迷路のような館内を、ナナが先に立ってワタシが後をついて、という感じで歩き回っていたんですが。

普通の旅館よりも通路その他がいちいち狭いので、ぶつかったり触れちゃったりとか、一緒にのぞきこんだときに顔と顔がすごく近づいたりという嬉しいハプニングの他にも、この日はナナからの自発的なスキンシップが多くてですね。
スキンシップ、なんて言っても、腕に触りながら話をするとか・・・えーと、あとは・・・・あ、それだけだった。
とまあ、そんなもんなんですが。
でも嬉しいじゃないですか。滅多にそんなことないんですから。

この宿には、「先に入ったもん勝ち」の貸切風呂がふたつありまして。
予約、とか有料、とかでなくて、「来たときに誰も使ってなければ、アナタの貸切ですよ」という実に気がきいているというか大雑把なシステムなんですが。
そこを見にいったときに
「へへへ。 一緒に入ってみる?」
と、「いいよ」と言われたらウソだよウソと返すしかないような冗談を言ってみたじょりぃなんですが。

無視。

ていうか、返事に困っていた、という感じのナナ。

これって、ワタシのこと意識しちゃってるってことなんじゃないの?

なーんて、じょりぃ、すっかり有頂天に。
(実際は「胸元ジロ見」とかが発覚しているため警戒されただけという気もしますが)


こんな、読んでいる人が「あっそ。よかったね」としか言いようのないことを、なぜつらつらと書いているかと言えば、人生には山があればちゃんと谷がある、という話をこれからするためです。
そうです。
もちろん「いい雰囲気のまま××××で☆☆☆!」なんてことに、ワタシとナナがなるはずないじゃないですか。けっ。


館内の探検も終わって、温泉につかりたいけど、なんかだるくて動けずにいたワタシたちは、部屋でぼーっとテレビを見ていたんですが。
テレビでドラマか何かやっていたのかしら。なんだか忘れてしまったんですが、「ちゅー」に関するものが画面で流れていたんです。

そうしたらナナ

「みんな、あーゆーこと好きなのかな」と。
「好きっていうか、その人のこと好きならしたくなるんじゃないの?」
「ふうん。 ・・・で、じょりぃは? 好きな人とちゅーとかしたくなったり、したりしちゃうんだ?」

なにを今さらそんなことを。

「うん。したくなるけど。  するよね?」
「まあ、ふつうはするのかもね。 あたしは今後絶対しないだろうけど」

え!

「絶対?」
「うん」
「・・・な、なんでそんなことわかるのさ。先の事なんてわかんないじゃん」
「だってしたくないんだもん」


じょりぃ、絶句。


「・・・・何ならするの?」
「(笑)なんにもしないよ」


じょりぃ、再び絶句。

今後、ワタシとナナとの間には、絶対にそういうことは起こらないという約束手形をもらってしまったようなものです。
まあ、無理矢理しちゃえば「絶対ない」ということにはなりませんが、そんなのワタシ、全然嬉しくないし。


ええ? でも、 ホントに?



ワタシの絶句状態を見て取ったのか、ナナが続けました。

「気持ちが動くことはあると思うよ。ていうか、あるかもしれないけどさ」
「気持ち」
「うん。 この人のこと、あたし、ものすごく好きだ、と思うことはあるかも」
「でもそれだけなんだ?」
「うん。それだけ。 絶対、ちゅーもなにもしない」



ワタシがどれだけ落ち込んだか。



さっきまで調子づいてたもんですから、なおさらです。
ワタシ、ほんとにバカみたいですね。


そのあと、お風呂に行きまして。
もちろん、別々のお風呂です。

すてきなお風呂だったんですが、なんだかもう、温泉どころではありません。
ワタシ、釘刺されたの?とか、悪い風に悪い風に頭の中で話が進んでいきます。


ナナのお風呂はとにかく長いので、部屋に帰ってからも時間にずいぶん余裕があるじょりぃ。

ビールを飲みました。
やさぐれ飲み。

この一週間、ろくに寝ず、ろくに食べず、今日にいたっては朝からなにも食べていないうちに飲んだビールですから、けっこうまわりました。
とはいっても、全然酔っぱらってるとかそういう感じはないんですけど。

そのうち、ナナが帰ってきまして。

「飲んじゃったの?」と、非難するようなナナ。
宿につくなり「飲まないの?飲めば?」なんて言ってくれてたくせに。なんでやねん。
「うん」
「食べてないじゃん。 大丈夫なの?」
「うん」

楽しそうに、自分の入ってきたお風呂の話をしているナナ。
笑いながら聞いているワタシは、でもなんとなく上の空で。

この宿についてから、「子供たちがよろこぶだろうな」と、「次に家族と来たときは」という話ばかり聞かされているので、そのことについてもふてくされるワタシ。
最初っから、家族でくれば良かったじゃん。
ワタシといる時間なんて、どうだっていいんですね。といった具合に。
いつもなら全然そんなことないんですが。
負のエネルギーでいっぱいのじょりぃ。
お返しにワタシも「次はきょんと一緒に来よう」という話をやたらとしたりして。
お互いに、今このときの楽しさを共有するよりも、次にくる相手との時間がいかに楽しみか話しているあたり、虚しさもひとしおです。

なんだかナナと一緒の部屋にいるのが気詰まりになって「そのへんを散歩してくる」と上着をはおるワタシ。

「そのへんて? 一人で行くの?」
「うん」
「どこ行くの?」
「そのへん」<答えになっていません。
「ふうん。   わかった。いってらっしゃい」

そのへんとはどこかといえば、部屋を出てすぐの喫煙所。
ワタシはかくれタバコなので、そこでタバコを吸いながら、ビールをもう一本。

タバコも手伝って、なんだか酔いがまわります。
いい気持ちでございます。
はらはらと舞い降りる雪を眺めながら、やさぐれ飲みするじょりぃ。

酔っぱらってきたら、なんだかくすくすとおかしくなってきまして。
だってホントにバカみたいだなーワタシーとか思っちゃって。
さっきまでなんで舞い上がっていたんだろう?
もしかしたら今夜は・・・なんて考えてたの、誰ですか?
くすくすくすくすけらけらけら。

虚。


でも、ナナはどうして「気持ちが動いたとしても、好きだと思ったとしても」ちゅーしたくないんだろう。

パパに気兼ねするってこと?
モラル上、よろしくないからってこと?
パパ以上に好きな人はできないからってこと?
それとも、単にワタシに釘を刺したの?

これだけは、確認しておいたほうがいいかな、と、ちょっと前向きになるじょりぃ。
だって、このへんわかっておかないと、今後の対策が打てないし、ナナにいらぬ不愉快な思いをさせたりするのは不本意ですからね。


ビールを飲み終わったところで、部屋に戻りまして。

「・・・・なんか、すごく酔ってないですか?アナタ」と、ナナ。
「んー。そうかな?」

たかがビール2本なんですがね。

「飲んできたの?」
「うん」
「もう飲まないで」
「ヤだ」
「あたしが先に寝ちゃうの心配してたけど、それじゃじょりぃのが先に寝ちゃうじゃん」
「ぐうぐう」
「・・・・・やっぱ、DVDセットしておいてね。ひとりになっちゃうとつまんないから」 

前回に味をしめて、またパソコンとDVDを持参したワタシ。
ていうか、さっきまでは「あたし、10時には寝ちゃうかも。DVD、いらなかったね☆」なんてイヂワル言ってたくせに、ワタシが先に寝ちゃうかもとなったとたんにこれですからね。 ムカつきます。

「はいわかりましたー」
「ホント、あんまり酔わないでほしいんだけどなー」
「ヤだ」
「だって、体が疲れてるんでしょう? よくないでしょ」
「はい」

そもそも。
ナナは酔っぱらいが嫌いです。
自分が飲まないからというのもありますが、飲んだことによって、その人の人格が変わるのを見るのがとてもイヤなんだそうです。

夕飯の時間になったので「行こうか」と、ふたりで腰を上げまして。

「夕飯の時も飲むの?」
「うん」
「・・・・・・・大丈夫かなぁ?」
「うん」 だって、まだ缶ビール2本ですよ?

ワタシが酔っぱらうと、たとえ嫌悪感を伴ったものとはいえ、ナナがワタシを気にかけてくれます。
それが嬉しい。
もはや自暴自棄と描いて「やけくそ」なじょりぃと化してきました。

食事。

「・・・・・全然食べてないじゃん」 めざといナナ。
「おなかがいっぱいになってしまいました」
「ビール飲み過ぎだね」
「そうだね」
「軽蔑しちゃうな」
「そうですか」

いっそ軽蔑してください。いえーい。

話の流れがなんとなく自然になったところで、さっき気になっていたことを訊いてみることに。

「ね、気持ちが動いてもちゅーしないっていうのはさ、パパに気兼ねしてるわけ?」
「んー・・・・ちょっと違う」
「じゃ、なに」
「あたし、ドロドロするような関係はイヤなんだよ。困るの」
「ドロドロ? ちゅうくらいでドロドロかなぁ」
「ていうかさ、本気になられるのは困るじゃん。重くなると思う、あたしの中で」
「・・・・・・・」
「自分が本気になるのも、ゴメンなわけ」


あ    そ。


「ふうん」
「そんなふうになる前までなら、あたしは楽しめると思うよ」
「ふうん」
「じょりぃは、好きになったら、そーゆーこともしたいんだ」
「うん」
「あたしはしたくないな。しちゃったらきっとつまんないよ」
「ふうん」


今後の展望が望めないという点では同じですが、「パパに悪いから」とか「パパ以上に好きな人はできないと思うから」という理由ではなかったので、ちょっとだけ浮上するワタシ。
しかしまあ、撃沈は撃沈。
落ち込んだ気分は変わりません。


それからは、なんだか孤独を愛するじょりぃに変身。
今日はそれまでが「素直に振る舞おう!」と心がけていただけに、反動がどどーんと。

でも、せっかくの旅行にひねくれた態度も取りたくないので、結果、ひとりでふらふらと放浪したがるはめに。
こんなときは、ひとりで落ち込むのが一番。
ナナと一緒にいて、妄想したり萌えちゃったりするのもイヤだったんです。
いつもはこんなこと言ってても、それなりにそういうことを楽しみながらの自制、という感じを味わっていたのですが、今日はそんな思いをしたら、虚しくなるばかりですからね。

ていうか、タバコも吸いたいし。

ということで、「ちょっと外を散歩してくる」と、支度を始めるワタシ。
「え? こんな時間にひとりで?」
「うん」
「危ないよー。あたしも一緒に行こうか?」
「行きたいなら別にいいけど。寒いよ外。中にいれば?」ひとりになりたいので冷たいじょりぃ。
「わかった」
「じゃあね」
「やっぱあたしも行く」
「行きたいの?」
「うん。行きたい。ていうか、あたし、街を歩いてみたいって言ってたじゃん」

ナナ、大いばりで一緒に行くことに。

でも、出掛けてみたら、もう雪はやんで、満天の星空で、ふたりして「星が近い!」と大喜びして楽しかったんですが。
ひねくれモードのワタシとは裏腹に、素直に楽しんで「あの路地も入ってみよ?」「ほらっ。スマートボール!」なんてはしゃいでいるナナを見ておりましたら、まあいいかーという気持ちになってまいりまして。

帰ってきてからまたお風呂に入り、ビール飲んで、眠ることに。

しっかりと釘を刺されたおかげで、これっぽっちも「あわよくば」と悶々とすることなく眠りにつけました。
ていうか、暑いせいと落ち込んだせいで一睡もできなかったワタシなんですが。
隣ですうすうと眠るナナの顔を見るのもさみしくて、ナナに背中を向けたままぢいっと一夜を過ごしまして。


すっかりあきらめモードで迎えた翌朝。
やさぐれた気持ちになっていたとはいえ、このあとまさか、ワタシとナナがふたりして大きな声を出し合うようなケンカが起きるとは、もちろん夢にも思っておりませんでした。

ということで、長くなったので、続きは明日に。


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