ナナとワタシ
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午前中。 仕事をしておりましたら、ナナから電話が。
どき。
ことさら何でもない風に電話に出て、会話が始まりました。
「このあいだはすみませんでした」とナナ。
なんのことかわからなまま、「いいえこちらこそ」と適当に返事をしたじょりぃ。適当人生。
「せっかく来てくれたのに、そのままで」 「ああ」 な、なんだ。 お年始のことですか。 「顔見せてくれればよかったのに。なんで何も言わないで帰っちゃったの?」 「・・・体調が悪そうだったから」 ホントはただ単にいじけていただけですが。 「あのあとすぐ出掛けちゃったんだけど、体調は大丈夫だったんだよ」 「そう」
いつも通りのナナ。 とはいえ、超ビミョーな違和感があるのは、たぶんワタシが勝手にわだかまっているからでしょうね。
「でさー、 じょりぃ、○○市に行くようなことある?」
なんでしょう唐突に。 ていうか、この人はいつも唐突なんですが。
○○市は、うちとナナの家の間にある町でして。 ワタシとナナの出身地でもあります。
「あるよ」 そりゃ、あるよ。実家もありますし。
「んーと、近々行く予定ある?」 「あるんじゃないかな。お客もいるし」 「お年始とか、行くの?」 なんなんでしょ。 「お年始はもう済んじゃったよ」 「そっか」 「 なんで?」
ワタシもそうなんですけど、この人も遠回しに用件言うんですよね。 「相手に無理させたくない」という気持ちからなんですが、それって裏を返せば「無理につきあわせたくない」=「こっちに気をつかって合わせてくれるくらいならやめてね」てことで、実はなんだかプライドの高さを表しているようにも思います。 ワタシもナナも、相当な「いいカッコしい」ですからねぇ。
「ええとね、次女ちゃんが、お習字で賞をもらったのね」 「すごいじゃん!」
次女ちゃんは判読困難なほど字がヘタクソだったのですが。 1年半ほど前からお習字に通うようになって、それが楽しくてしかたないらしく。 どんどん上手になってます。 筆文字は。 硬筆文字はいまだによくわからないことが多いんですが。
「確か、去年も何か賞をもらってたよね?」とワタシ。 「うん。去年のは、賞もらったって言っても、リボンがペタって貼られてる程度のものだったんだけど、今回は『表彰式があるから親御さんも出席してください』って、学校から連絡があったの」 「そうかぁ」 「で、今、○○○で展示してるの。なので、もしじょりぃもあちらに出掛けるようなことがあれば、見てあげれば次女ちゃんすごく喜ぶかなと思って」 「見に行くよ」 「あたしたちは12日に表彰式だってことなので、その日の午前中に行ってこようかなと。その日が最終日なんだけど」 「そう。 ワタシも期間中には絶対行くよ」 「ありがとう。 じゃあね」
え。 おしまいですか。
「うん。じゃあね」 「ばいばい」 「ばいばい」
チン。 と。
声が聞けて嬉しかったけど。
次女ちゃんのためにかけたんだろうな。 用件だけ話して切りやがった。
ちぇ。
でもなんとなく、「悪いのはワタシ?」という気分が濃厚になってきたのは、きっと気のせいに違いありません。 きっとそう。 ナナが悪い。 ケンカ両成敗? 酒の名前ですか? ってそれは松竹梅です。
「会いたいんだけど」 のひとことが、どうしても言えません。 タイミングずれて、何度かその手の希望が脚下になっているので、臆病になていることもあり。
こうなったきっかけなんて、全然たいしたことじゃなかったのに。 こうなってしまってからは、ナナにとっての自分の存在感のなさを痛感し、それにこだわってスナオになれずにいます。
もうちょっとのんきなはずなのにな、ワタシ。
あら、今日も暗い。 しかもオチなしですか。 やれやれ。
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