ナナとワタシ
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ナナから電話。 なんとなくくさくさしていた日の終わりに加え、前回ナナから相談を受けてワタシが答えたことに対してパパといろいろと話し合ったらしく、 「パパもやっぱりじょりぃと同じ事言っててね」とか「パパと相談して決めた」とか「パパが任せとけって言ったから、とりあえず任せることにした」と、パパパパ連続攻撃に遭い、じょりぃ、すっかり「けっ」モードに。
いつもと様子が違うのかな?と察したらしいナナが、途中何度か「具合悪いの?」とか「話すのイヤ?」と訊いてくれるのに対しても 「別に」 と答える最低じょりぃ。
ナナは結局内職をやめることになったらしく。 「時間ができるから、前にじょりぃが勧めてくれた放送大学とかいうやつで、勉強でも始めてみようかな、とか思って」と、前向きモード。 「いいんじゃないの。エライエライ。がんばって」 「じょりぃは?受ける気なくなったの?」 「時間的に難しいなやっぱ」 「そう。 願書とか、どこでもらえるの?」 「本屋とか」 続いて、単位数のこととか、学科とか受講内容のこととか、なんだかワタシのことを放送大学のスタッフとでも思っているんですかアナタとキレたくなるほど、いろいろと質問されまして。
くさくさしていたワタシは冷たい言葉を吐きました。
「知らないよそんなことまで。ワタシは受講したことないんだし。自分で調べれば?願書もらってくればいいじゃん」 「 ん。 そうだね。 ゴメン」
ああ。 ゴメンナナ。
「じょりぃは自分がわからない話を振られると、急に不機嫌になることがあるよね」 と、以前ぽろっと言われたことを思い出したりして。 これってすごいカッコ悪いですよねえ。 知らないことは話せないので、無口になってしまうだけなんですが、気配に敏感なナナにはそのように受け止められてしまったようで。 今もそんな風に思ってるんだろうな。
「ねえ、元気ないの?」とナナ。 「あるよ」 「・・・・・・・」 「・・・・・・・」 「じゃあ、あたしと話してるのがつまんないの?」 「つまんなくないよ」 「なんかヘンだよ。今日」 「そうかな」 「だるそうだよ」 「べつにだるくないよ」 「 じゃ、やっぱつまんないんじゃないの」 「つまんなくないよ」
つまんないんだ、と思わせてしまったら申し訳ないと思い、ちょっとオープンマインドになってみる決心をするじょりぃ。
「無力感を感じているのかも」 「無力感?」 「うん」 「どうして?」 「・・・・・・・・」 「話してよ」 「よくわかんないよ」 「仕事のこと?」 「違う。 と思う」 「じゃ、なに?」 「・・・・なんかさ」 「うん」 「いろんな人がワタシの何かをあてにして、いろんな話をしてきたり、頼りにしたりしてもさ」 「うん」 「ワタシがある日『ぽっ』といなくなっちゃっても、誰も困らないんだろうな、と思った。 そんな無力感」 「なに急に(笑)」 「急に思っちゃったんだ」 「生理前?」 「ちがう」 「後?」 「ちがう」 「・・・・困る人だっているよー」 「そうかな」 「うん。きょんさんとか、なっちゃんとか、じょりぃをあてにしてるから、困るでしょ」
脱力。 嗚呼無力感。
「キミは?」 「は?」 「いやべつに」 「あたしは困らないよ」
がああああああああああん
「あ そう」 「だって、じょりぃがいなくなったって、あたしは生活できるもん普通に」 「あ そう。 ずいぶんハッキリ言うんだね」 「じょりぃだって、あたしがいなくたって、生活できるでしょ?」 「できないよ」 「できるよ」 「できないよ」 「なんで?(笑) あたしがごはん食べさせてやってるわけとかじゃないでしょ?」 「・・・・・・・・・そうだけど」 「まあ、でもきょんさんやなっちゃんは生活に影響あるしねえ。困ると思うよ」 「ふたりだって、生活という点ではたいしてダメージないよ。きょんは自分で稼いでるんだし、なっちゃんだってその気になれば、もっとお給料の取れるところで働けるんだから」 「そうかなー」 「ワタシが言ってるのは、生活面のことじゃないよ」 「じゃ、なに?」 「もういいよ」<本格的にいじけモード 「じょりぃがいなくなっちゃっても、誰もさびしがってくれないかも、ってこと?」 「・・・・・・・・・そういうことかも」 「なんだ。あはははははは。 なら、あたしはさびしいよ。(笑) じょりぃがいなくなっちゃったら」 「え」
え。
やった。夢のような言葉だ。
「さ、さびしいの?」 「(笑)さびしいよ。すごく」 「あ、そう」にこにこにこ <あからさまに声のトーンが変わったじょりぃ。 「(ワタシの声が急に明るくなったので、笑いつつ)そんなことで落ち込んでたの? じょりぃの周りの人、みんなさびしがるでしょ。仕事関係の人だって、仕事のことだけでなく、じょりぃのこといろんな意味ですごく頼りにしてそうだし」 「あ、いいのいいの。仕事の人のことなんて。 もう機嫌直ったし(笑)」 「(笑)なんだそれ」 「なーんだ」にこにこにこ 「なーんだはこっちのセリフだー。ヘンなヤツ。(笑)」 なんか笑いっぱなしのナナ。おかしいかそんなに。
じょりぃのゴキゲンが直っちゃいましたよみなさん。 やってられませんねもう。呆れて呆れて呆れてください。
「でもさ、さびしいかどうかなんて、じょりぃがいなくならなくたって、関係ないじゃん」とナナ。 「え?」 「今だってさ、物理的にも時間的にも、同じ様な状態じゃん?」 「?」 「あたしが、『毎日会いたい、毎日遊んでよ』って言ったら、そうしてくれるの? できないでしょ?」
え? ええ?
ああ。 会話の流れ的に出た言葉だとしても、嬉しい。
「ま、 毎日会いたいなんて、お、思ってないくせに」<かわいくない上にうわずってる 「(笑)だから、思ったらそうしてくれるわけ?」 「・・・無理ですけど」 「でしょ? じょりぃ、勝手にいじけてるみたいだけど、あたしだって、じょりぃと遊びに出掛けたいとか、会って話がしたいとか思ったって、忙しいんだろうからって自分に言い聞かせてるところはあるんだからね」 「す、すみません」 「だいたい、さびしくなったらいつでも電話してよって言ってるのに、かけてきたことなんかないじゃん」 「それはだって・・・」 「してよ。電話」 「ありがとう」 「あたしが遊びに行ってもいい?って聞いたって、仕事が忙しければ断られるしさ」 「すみません」 「いいんだけどそれは。しかたないから。 でもさー、じょりぃって何考えてるかわかんないんだもん」 「そうかな」 「あたしと一緒に、何がしたいの?」 「は?」
は?
「何して遊びたいの?(笑)」 「 なんでも、 いいんですけど」 「なんでもいいのか(笑)」 「うん。一緒ならなんでもいいよ(ぽ)」 「映画観たりとか?」 「うん」 「ドライブ行ったりとか?」 「うん」 「ホントになんでもいいの?」 「うん」 「テニスとか卓球とかしようって言っても、つきあってくれるの?」 「うん。卓球スキだ。テニスも好きだ。テニスできないけど」 「(笑)じゃ今度、突然卓球に誘うから」 「うん」なんで卓球? 「じゃ、放送大学も、一緒に受講してよって言ったら、してくれるの?(笑)」 「うん」<豹変 「ホント?」 「キミの受けたい学科を、ワタシも受ける。何でもいいよ。キミの好きなことで。一緒に勉強しよう」 「あたしがバカでも呆れない?」 「キミのがアタマいいよ」
「さびしいならさびしいって言ってよ。わかんないよ」とナナ。 「うん」 「で、無力感はなくなった?」 「うん。他の人や仕事のことは、どうでもよかったことが判明した。ワタシを落ち込ませていたのはひとりだった」 「(笑)あたしってこと?」 「うん」 「あたし、何もしてないのにな」 「だからだよ。 『かまってちゃん』になっちゃったんだねきっと(赤」 「かまってちゃん?(笑) 子供がグズるみたいな感じ?」 「そうかも」 「抱っこして、よしよしってしてほしかったんだ?(笑)」 「 そ、そうだね。 たぶん(赤」 「ねえ、そういうの、ちゃんと言ってよ」 「言えばウザがるくせに」 「ウザがらないよー。さびしいよーって言ってるのに、うぜーよ!とか言うと思ってるの?」 「うん」 「・・・・昔のあたしなら言ってたかもね確かに。でも今は言わないよ」 「思うだけか」 「思わないよ(笑) とにかく、じょりぃが何を考えて、どう感じているのか聞かせてよ」 「うん」
「ホントはじょりぃに、『ずっとあたしのそばにいて、子供たちのことも一緒に見守って』って言いたいけど、それは不可能じゃん? あたしは結局、自分でなんとかしなければいけないのよそんなこと。それはわかってるの」 「うん」 「他の人もさー、じょりぃを頼ったところで、相談したところで、結局そのあとは自分でなんとかしなきゃならない、っていうのはわかってるわけだと思うのね?」 「うん」 「それでもじょりぃを頼るんだよ。あたしなんて、それこそ誰からも頼りにしてもらってないし。(笑) そう考えると、全然さびしくないじゃん」ナナ、一生懸命励ましてくれております。 「『他の人』のことなんてどうだっていいです。 もう機嫌は直った」 「(笑) そうなのか」 「それに、ワタシは頼りにしてるし」 「誰を? あたしを?」 「うん」 「全然してないじゃん」 「してるんだよ」 「どういう意味で?」 「 説明できないけど」 「しろよ(笑)。 そーゆーことだから、いつもわかんないんじゃん」 「(笑) キミがいなくなったら、ワタシは困る」 「困らないよ(笑)。家族はそりゃ困るかもしれないけど。でも、慣れちゃうんだろうな、そのうち」 「まさか。 それに、ワタシはいなくなられたら、見つかるまで探しに行く」 「(笑) なんのために?」 「なんのためだろうね(笑)」
「じょりぃ、自分のことって全然話してくれないじゃん?」 「そうかな」 「そうなんだよ。 この人、どうしたいんだろ、何を話したいんだろ、って、いつもわかんなくて、だから、いろいろとじょりぃのこと根ほり葉ほり質問するようなことしてみてもさ、『うん』とか『わかんないよ』とかで会話が終わっちゃうしさ」 「・・・・・・(ワタシったら会話術最低じゃん)」 「仕事大変なの?って訊いても『大変じゃないよ』でおしまい。大変そうなくせに。疲れてるの?って訊いても『もしかしたらちょっと疲れてるのかも』でおしまいでしょ? あたしと話すの退屈なのかなと思っていたよ。迷惑なのかなって」 「全然そんなことないよ」 「だからさ、・・・・・・うーーーーーーんと・・・・・・あたしとしては、何か相談ごとを持ちかけるときなら、じょりぃと話をしてもいいんだ、って思って ていうか、 とりあえずきっかけとして電話できるじゃん。そのときだけはじょりぃに」<なんかもごもごしてるし 「え。 そうだったの」 「仕事も忙しそうだし、何か用事がないと電話しちゃいけないかなとか、考えちゃって。 これでもいろいろ考えてるんですから。 バカみたいだけど」 「・・・・・・・・・」
知らなかった。自分が話したいときだけ、相談したいときだけ利用されているのかと思ってました。
そんなこんなですっかり機嫌は直りまして。 たまにいじけると、こんなにやさしい言葉をかけてもらえてしまうなんて、クセになってしまいそうです。 とはいえ、油断のならないナナですから、次回いじけたときはどのような対応になっているかさっぱりわからないわけですが。
それにしても、今日だけで何回「じょりぃは自分のこと話さない」と言わせたのだろう。 自覚ないんだけどなー。 「カッコ悪いとこ見せたくない」という自意識過剰と、「喋りすぎるといろいろバレちゃいそうでマズイ」というブレーキのせいかしら。 ちょっと申し訳なく思いました。
で、気付けば午前4時。
「わ! もう寝なきゃ」とナナ。 「ゴメンゴメン。ワタシがミョーにいじけたもんだから、こんなに遅くなってしまった」 「ホントだよ(笑)」 「ホントって言うなー」
次回の「ナナとワタシ」では、きっちりと「下げ」をされている予定ですが。 今までの流れを見れば、それは明白。
それまでの束の間の時間、「ふうん。ワタシに会いたいんだ。へえ。会えないとさびしいんだー。くすくすくすくす」という、アホみたいな幸福感に酔いたいと思います。
げっぷ。 <読者様の心象効果音
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