ナナとワタシ
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えー、前回のテキストで、つまらないことでうだうだいじけたじょりぃでありますが。 今日は反省の意味も込めまして、初心に立ち返るべくですね。
中学最後の夏休みの、ナナとのワンシーンをお話してみようかと。
中3の中体連(最後の大会ですね、確か)が終わった日のできごとです。 ちなみにワタシとナナはソフトボール部でございました。
中3になると、ナナはほとんど部活に来なくなってしまって、話したりする機会もほとんどなくなってきてしまいまして。 ワタシはすごくさびしかったんですが、まあ、どうすることもできませんし。 クラスも違うし、つきあう友達も違ったので、部活に来ないとホントに話す機会がなくて。
でもまあ、最後の大会(市の予選)はナナも冴えない顔してしぶしぶ出てきてまして。 部長に念を押されていたんです。「優勝すれば新聞掲載用に撮影があるんだから、ちゃんと来てね」と。 で、案の定優勝したんですが。 その写真もおもしろくなさそうに写ってますナナ。 この頃の彼女の表情は、なんかいつも暗かったです。これも今にして思えばですが。 当時は「なんで機嫌悪いのかな?なんか気に障ることしたかな?」なんて勝手にいろいろと自分のせいかな?と考えて、随分顔色をうかがってしまっていた気の毒なじょりぃ。 そしてそれがナナにウザがられていたよう思います。
・・・・・・・・・・・。
がんばれ14歳のじょりぃ。
で、大会が終わって、撮影も終わって、解散になって。
みんな散り散りに帰っていって。
でもそのあともワタシとナナはグラウンドに二人で残って、なにか話していたんです。 とりとめのないことを、いろいろと。 内容は覚えていないんですが。
で、どういうなりゆきでそうなったのかはやっぱり覚えていないんですが、観客用の一段高くなっている芝生のところにふたりで並んで寝ころんで、何も話さないで、ぼーーーーっと空を見ていたのです。 ひたすら、ぼーーーーーっと。
けっこう長い時間。
広いグラウンド、ふたりで貸し切りで。
空が真っ青で、雲の流れが速くて、いろんな形に変わっていたのを覚えています。 ナナは何考えてんのかな、なんて思ってました。 ワタシと今、ここでこうしていることを、どんな風に思っているんだろう、と。
家のことでも考えていたのかもしれませんね、今思えば。 帰りたくないなあの家に。あーあ。なんて具合に。
ワタシも帰りたくなかった。 ワタシは家がイヤだからではなくて、このままずっとナナといたかったからですが。 このまま「しゅんっ」と、水が蒸発するみたいに、それがあたりまえのような感じで、世界が消えてなくなってしまえばいいのに、と思ったりしました。
「なんとなく帰りたくない」ふたりは、そんな具合にとりあえず、仰向けに寝転んで、ただただ空を見ておりました。
その前後のこととか、その日の試合のこととか、ほとんど覚えていないんですが、寝っころがってぼーっと空を見ていた、そのときのことだけはよーく覚えています。 そして、思い出すたびに満ち足りたような、幸せなような、さびしいような気分になるのです。 雲がどんどん流れていくのが、ぼんやりと楽しくもあり、そしてさびしかった。 これで部活も終わりで、ナナとも今までみたいには会えないんだな、と思うと、雲が流れていってしまうことにそれが重なって、悲しく見えたりして。 それでも、この流れてどんどん形を変えてしまっている雲を、今リアルタイムで、ふたりで一緒に眺めていられることが幸福でした。
ナナはおそらく覚えていないでしょうけどね。そんな何でもないこと。
・・・・こう書いてしまうと、つっまんない思い出ですね。 やはり自分の中の大切な思いを言葉にするというのは、とても難しいですワタシには。 でもホントにこのときのことは、空と雲の映像と、芝の緑と、風のさわさわした感じや空気の匂いまですべて色彩として焼き付いてまして、よーく覚えているんですよ。
ナナとの精神的な一体感みたいなものは到底感じることはできませんでしたが。 14歳の多感なひとりよがりなキモチが、色彩とともにナナへの想いとしてワタシに焼き付いてしまっております。
むかしむかしのお話です。 なのにワタシの気持ちはその頃とちっとも変わっていません。
いつかあの風景が、セピア色に変わるときがくるのでしょうかね。 今はまだくっきりと強い色彩のままですが。
と、本日、詩人じょりぃでした。 ぽえまー! いえい。 と、おちゃらけて締め。 いえーい。<どーも元気なし
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