ナナとワタシ
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2003年09月29日(月) |
ナナとパパ お互いの評価 |
前回の続きで、ナナが「パパを傷つけてしまった」話を。
ナナがパパに何を言ってしまったかというと。
「あたし、パパにあたしの気持ちや言いたいことをわかってもらいたいって思うのは、あきらめることにしたんだ」
ということと
「パパはあたしがいろんなことに行き詰まっちゃったときとかに『なんでそんなこと言うのかわからない』とか言って、あたしを拒絶するけど、理解できないときは、せめてそっとしておいてほしい。あたしを責めないで」
ということ。
おお。 よく言ったもんだ。
しかし「キミがよくそこまで言ったねパパに」なんて言うと、かえって「言い過ぎた?あたし」とビビるかもと思い、 「なんだ。それくらいのこと。話しておいたほうがいいことじゃないですか」と返すじょりぃ。
この夫婦は口論やケンカというものをしないのです。 ナナはパパに対して不機嫌になることはしょっちゅうあっても、言いたいことを言うことはほとんどなく。
「でもパパは、なんか傷ついたような顔して、何も言わずに部屋に行っちゃったの」 「そう」 「ケンカ腰に言ったりはしなかったんだけど。 話の流れで、ちょっと言っちゃったの」 「うん」 「で、そのあと心配で、しばらくしてから部屋をのぞいてみたら、ぐーぐー寝ていたので(笑)、気にしてないかもしれないんだけど」 「ははは。そうだよ。大丈夫だよ。もしパパが気にしているとしても、そういう気持ちをちゃんと相手に伝えることは必要な作業だと思うよ」 「どうして?」 「伝えないと、『あたしはガマンしてる!』っていうストレスが無意識のうちにたまって、相手を憎むようになるからさ」 「うん。イライラすることはあったな確かに。結局パパって『オレはこう思う。オレは正しい』って話にいつも持っていっちゃうのよ。で、自分の話ばっかりになっちゃうの」 「なるほど」 なるほど。わかるけど。 「パパが正しいことの方が多いんだけどさ。そのことによってあたしがホッとすることが多いのも事実だし」 「うん」 「でも、あたしはいつも否定されたり拒絶されたり、脚下されたりしてる気がしちゃうの」
前にも何度かそんな話をしたことがあるねキミ。
「パパはそんなつもりはないんだろうけどね」とワタシ。 「たぶんね。でも、あたしがそう感じちゃうんだもん」 「キミはつらいだろうね」 「別につらくはないけど」 「そう」 「・・・ていうか、さびしいのかも」 「さびしいのか」 「なんでさびしいって思うのかな」 「一個人として、きちんと認めてほしい、ってことなんじゃないの? 結婚してしまうと、夫婦間ではなかなか難しそうだけど」 「難しいよそれ。 ・・・認めてほしいのか、あたし」 「違う?」 「わかんない。 けど、否定されたり『ほら、やっぱりダメだった』みたいなことを言われるのはもうイヤ」 「パパに悪意はないと思うけどね。オレがいなきゃ、って思いたいから、つい言ってしまうのじゃないのかな」 「パパに悪意がないのはわかってるけど。 あたしって何もできないって思われてる」 「できるのにね。なんでも」 「できないけどさ」 「やらないだけだよ(笑)。キミはやればなんだってできる人だって、ワタシはずっと言ってるじゃん」 「それはじょりぃの買いかぶりだもん」
無言。
「あたし、実はパパに対して、根に持っていることがあるの」 「何を?」
内容は個人的なことを含むので割愛しますが。 要は、ナナが鬱になったときがありまして、そのときのパパの対応が冷たかったらしいのです。 まだワタシと再会する、1年半ほど前のことです。
「こんなに恵まれてるのに、何が不満なんだ。おまえの言ってることがオレにはわからないって言われてさ」とナナ。 「うん」 「あたしだって、そんなことはわかっているわけだ。自分が恵まれてることとか、勝手なこと言ってるとかさ」 「うん」 「でも、感情はどうにもならなくて、で、自分でもどうにかしなきゃとか思ってて」 「うん」 「そんなときに、パパはすごく冷たかったの。あたしの味方になってくれなかった。それどころか、あたしを責めたのね」 「・・・・・・」 「あたし、そのことを根に持ってるんだ」 「パパもちょうどしんどい時期だったとかじゃないのかな」 「どういうこと?」 「仕事とかで行き詰まっててさ、パパの精神状態も悪かったところに、キミの鬱が重なって、イライラしてしまっていたとか」 「・・・・・・違うと思うよ」 「うーーーーん。 でもタイミングが悪かったということはあるかもしれないよ」
やけにパパをかばうじょりぃ。 だって、一緒に生活するなら、「パパはいい人・素敵な人」と思ってる方が、ナナ的にはシアワセじゃないですか。 結果としてワタシ的には「けっ」ということになったとしても、ナナとパパがこれからもずっと一緒にいる限りは「あたしやっぱりパパのこと好きなんだなーと思ったー」というナナでいたほうが、ナナの精神衛生上よろしいのではないかと。
「で、あたし、そのことも今日話してしまったのですよ、パパに」 「なるほど」 「そのことがあったから、あたしが心底落ち込んでいるときは、あたしの気持ちをパパにわかってもらおうとは思わないけど、せめてあたしを追いつめるようなことを言ったりはしないでほしいって」
けっこう言ったな。 ちなみに、ワタシがこれを言われたら、かなりショックだと思います。 パパはどうだったんでしょうね。
「穏やかに話したんでしょ?」 「もちろん。 ケンカはしませんから。うちの夫婦は」 「パパはなんて言ってた?」 「何も言わなかった。だから、傷ついているんだと思うよ」 「ふむ」 「あたし、すごく慎重に言葉を選んで話したんだけど」 「うん」 「それでもダメ。 上手に伝えられないの。パパが傷つかずに、でもあたしの言いたいことを適切に伝えることができるはずなのに、あたしがバカだからできないの」 「バカじゃないよ。そんなの誰だって難しいよ」 「そんなことないと思うよ」 「ためないで、ちょこちょこと、そういう希望を伝えていけばいいんじゃないの? ためてて『言うぞ!』と思うと、重くなっちゃったりするしさ」 「言いづらい」 「『こういうところがイヤ』(ここに出てくる以外にも『パパのこういうところが、実はイヤなの』という話が出たのです)っていう言い方じゃなくてさ、『こういう風にしてくれると嬉しい』とか『そう言われるとさびしい』とか、パパが喜ぶような言い方で自分の言いたいことはちゃんと言うようにすればいいじゃないですか」 「やっぱり言えない。ガマンしているほうがラクかも」 「もしかして『つらい真実より、甘いウソ』のほうがうまくいく夫婦?」 「なんだそれ。(笑) でも、そうみたい」 「そうか・・・・でも思ったことは言った方が、その時はケンカしても、長い目で見てうまくいくと思うんだけどな」
ワタシときょんなんて、罵倒し合って暮らしておりますが。 今までのケンカでも「あのときこう思ったけど言わなかった」というのを今さら言うか!というのが一番お互い腹が立つので、「ムッとしたときはその場で口にすること」というルールのもと、ケンカしながら仲良くやっておりますけどね。トムとジェリーのように。
「その理屈はわかるんだけどさ。 うちの場合は、一度でも大きいケンカをしてしまったら、もうおしまいって気がするんだよね」とナナ。 「お、おしまいって?」 「だから、おしまい(笑)。離婚するとかしないとかじゃなくて、『おしまい』ってこと。 だからお互い、ものすごく『言ってはいけないこと』に神経を使って暮らしているような気がする。それらを言ってしまったら、きっと取り返しがつかなくなってしまうんだよ」 「そんな危なっかしい関係なの? 今までずっと仲良くやっていながら?」 「そうなんじゃないかな。 とりあえず、あたしがパパのプライドを傷つけるようなことを言ってしまったら、パパはあたしを許してくれないと思うよ」
このセリフは、再会してしばらく経った頃に聞いたことがあります。 なので、ナナも相当気をつかっているのでしょう。
・・・・ワタシにもこんなに気をつかっているのかな。 ワタシに対しては好き勝手言ったりやったりしているように感じていたけど。 案外、パパもワタシと同じように感じていたりして。
訊いてみたいけど、今、ナナがパパのことで悩んでいるのに「ワタシに対してはどうなの?」という話にもっていくのって、なんだか違う気がしちゃうし。
「とりあえず、小出しに穏やかに、自分の言いたいことは伝えていくようにしてみてはどうかな」
気を取り直し、話にもどるじょりぃ。
「うーーーーーーーーん・・・・・・」 「おしまいになんかならないよ」 「・・・・・あたしが今いちばん心配なのはね?」 「うん」 「パパが機嫌を損ねて、明日の運動会、やっぱり行かないとか言い出したらどうしようと思って (笑)」 「わはははははははは。なんだそんなことか。ていうかそれは確かに困りそうだ」 「困るよーー。 でも次女ちゃんが『パパが来るの楽しみ』って言ってたから、絶対行くだろうけど」 「次女ちゃんがそう言ってたなら大丈夫だね」
そのあと子供たちの話を少ししまして。
「もう寝たほうがいいよ」とワタシ。だって4時に起きなきゃならないんですからね。 「うん。寝ようかな。 元気も出てきたし」 「それはよかったね」 「なんか、ちょっとスッキリした気がする」 「そう」 「どうもありがとう」 「いえ。こちらこそ」 「おやすみなさい」 「おやすみぃ」
ちん。
夫婦のことは夫婦でないとわからないんだよ、とは母の弁ですが。
でもまあ、あの夫婦はなんだかんだ言っても、仲良く添い遂げてくれることでしょう。 ワタシの勝手を言わせてもらえば、そのほうがワタシの心の平安も乱されなくて済みますし。 「ナナには愛し愛されるパパがいる」という現実に直面し、そのことにやっと慣れ、パパのこともつきあいを深めていくうちに少しずつ尊敬できるようになってきたじょりぃとしましては、ナナがもしパパと別れて他の人と恋愛して結婚して・・・なんてことになったら、一からやり直すよりもさんざんな気持ちを味わわなければならなそうですからね。
結局何が言いたいのかよくわからない、やたら長い文章になってしまいましたが。
夫婦って、難しいんですね。
きょんに話したら、たぶん「別れちまえそんなの」って言うだろうなあ。 「あたしを認めず、おまけに言いたいことも言えないなら、一緒にいる意味なし」てな具合に。ズバっと斬るでしょう。
でも、まりあやなっちゃんは、どちらかというとナナ派という気もしますね。 日々の凪を大切にしたいという気持ちは、きっと彼女たちにはわかるのではないかと。 ワタシもこちらの気持ちはよくわかります。 特に「夫婦」であり「家庭」になってくると、ワタシときょんみたいに、いちいち問題提議してやりあってたらもう大変という気がします。
まあ、夫婦のことは夫婦でないとわからないんですけどね。 とりあえず、ナナ、がんばれ。
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