ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2003年09月07日(日) パパとふたりで出掛けたい?

久しぶりに、ナナと電話。

が、しかし。

最初の「もしもし」の声からして、ものすごく不機嫌そうなナナ。
あちゃー。
しばらく話してから、おそるおそる尋ねてみるじょりぃ。

「ねえ。 もしかして、不機嫌?」
「あたし? 別に」
「   そう」
「・・・・・・・・・やっぱ、不機嫌かも」
「そう。 なんで?」
「もう全てがイヤになった」
「全てって?」
「主に家族のことかな。なんだか失望感」
「失望か」
「もうイヤ。 あたしばっかり心配してさ。みんな好き勝手にしてるし」
「何かあったの?」
「話したくない」

これじゃ、まるでじょりぃです。
たいていのことは、話してスッキリしたいナナなんですけど。

「話したくないのか」
「なんかもう、思い出して話すのもおっくうなんだもん」

イヤなことを思い出すのもおっくうなんて、ますますじょりぃ化。

「気持ちはよくわかるよ。別に話さなくてもいいんだけどさ」
「・・・・・・」
「・・・電話、切った方がいい? 日を改めてかけ直そうか」
「別にいいけど。切らなくても」
「・・・・・・・・」 どうしたらいいのかな。
「もう何をするのもイヤなの。希望もないような気分。でもいつもと違ってイライラもしてないの。なんていうのかなあ・・・」
「虚無感」
「そう。それ。空っぽだけど、頭だけは考えてもしかたないことぐるぐる考えてるの」
「しんどそうだね」
「まあ、でも、もしかしたら朝が来ればケロッとしてるかもしれないんだけど。ここしばらくはこんな状態」

「不機嫌表明」をしたことにより、ちょっと気が軽くなったらしいナナ。
ボソボソといろいろ話し始めまして。
主に家族のこと。
そして、仕事に出たいのに、今はまだそれができない焦燥感。
かなり煮詰まっております。

そのうち、お互い忙しくてなかなか出掛けられないねー、とか、じょりぃの家一部屋空けてあたしが避難できるようにしておいてよー、なんて話をしているうちに、ナナがふいにあらたまって

「ねえ、あたし、訊いておきたいことがあるんだけど」と。
「なに?」
「気を悪くしないでほしいんだけどさ」

な、なんだろな。 あんまり聞きたくなくなったけど。

「うん」
「じょりぃがあたしと出掛けてさ、きょんさんは気を悪くしたりしないの?」
「え」
「あたし、いつも気になるの。じょりぃと出掛けるたびに、きょんさんがさびしい思いをしてるのかもしれないとか思っちゃうんだよね」
「それはないと思うけど」
「でもさ、このあいだも『久しぶりにきょんとドライブに行ったら、すっごく喜んでて、なんかかわいそーだなと思っちゃった』とか言ってたじゃないじょりぃ」
「う、うん」
「あたしあのときも気になったんだよね。あたしと出掛けるなら、きょんさんと出掛けてあげたほうがいいんじゃないの?」
「それとこれとは別だと思うけど」
「まあ、あたしがこんなこと言うのも差し出がましいんだけどさ。それにあたし、前にも何度か言ったことあると思うんだけど、きょんさんも一緒に出掛ければいいんじゃないの?」
「それは気にしなくていいよ」 ワタシが疲れ切ってしまいますし。
「あたしは一緒でも全然かまわないんだけどな」 ふうん。そうですか。
「きょんはいやがると思うよ」
「いやなのか」
「人見知りするし」
「気をつかっちゃうか」
「うん」
「ならいいんだけど」

どういうつもりで訊いてきたのかわかりませんが。
なんだかちょっぴりさびしい気持ちがしてしまうのは気のせいでしょうか。

「じょりぃときょんさんの、関係の距離感がよくわからないのよ、あたしには」

どっきり。

「そう言われても」
「なんであたしはこんなに気兼ねをしてしまうのかな」
「な、なんでなのかな」
「まあ、きょんさんが別に気にしていないのなら、あたしが心配する必要はまったくないんだけどさ」
「うん。心配しなくて大丈夫だよ」

ホントにどういうつもりで訊いているのか。
あまりどっきりさせないでください。

そのあと、「子供をおいて出掛けると、どうしても罪悪感が生じてしまうので、次からのお泊まりは子供も一緒に」というような話と、「たとえ日帰りでも、じょりぃと出掛けるのって特に罪悪感が」と。

なぜなら、「ママだけじょりぃちゃんと遊んでずるい!」と、現実に子供たちから責められてしまうからであります。
「あたしだって行きたかったのに、どうしてふたりだけで行っちゃうの?」と。

「でも、じょりぃは子連れじゃイヤでしょ? 休めないもんね。ていうか、疲労度が強くなるよね(笑)」
「イヤじゃないよ。そりゃ、疲れはするけど、子供たちと一緒に行くのはとても楽しいよ」
「ホント?」
「ホント」
「まあ、うちの子って楽しいもんね」
「うん」
「かわいいし(笑)」
「うん(笑)」

だいぶごきげんが直ってきたようであります。

そして、はたと思いついてしまったじょりぃ。

ナナは、パパと出掛けたくないのかな。ふたりで。
そして、子供たちがこんなになついてくれていて、末子ちゃんもとっくにトイレの心配がなくなったことだし、ワタシ、預かれるのか。
そうすれば、ナナとパパふたりで出掛けてこれるんだ。

でもな。

ふたりがいちゃいちゃするのに、ワタシがそこまでして協力しなくても。
お得意のラブホとか入ってこられたら、やっぱ気分悪いし。

なんて思ったんですが。

ナナがもしそうしたいのであれば、そうすればなんだかゴキゲンハッピーな気持ちになるのであれば、協力すべきだろうな。

「あのさ」とワタシ。
「なに?」
「パパとふたりで出掛けたいな、とか、思う?」
「んーーーーーー。  最近は思わない」
「思わないの?」
「うん。パパとは別にいいや」
「ふうん」 なんだか嬉しい、いやな人間じょりぃ。
「前はふたりでゆっくりできたらなとか思ったけど、今はいい。それならひとりで出掛けたいな」
「なるほどね」

「それならじょりぃと」と言ってもらえるはずはもちろんないのですが、一瞬期待してしまいました。

で、結局今日も3時間ほど話しまして。
最後の方は、ちょっぴり意地悪でひねくれたナナ節も復活してきて、「お。調子出てきたかな?」なんて思っていましたら

「ありがとう。じょりぃと話せて、かなり元気になったよ」 と。
「眠れそう?」
「うん」
「ワタシも話せてよかった」
「ところで何か用があったんじゃないの?」
「声聞きたかっただけ。どうしてるかなと思って」
「ふうん。じょりぃは? 何か話したいことがあったんじゃないの?」
「ないよ」

10月になったら、子供を連れてお出かけしましょう、と約束して電話を切りまして。


出だしは「うわあ、電話しなきゃよかった」とビビッたじょりぃでございましたが、
終わりはなんだかほんわりとシアワセでございました。
ナナもそう感じていてくれればいいのだけれど。
あのままじゃ、しんどそうですからね。


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